![]() | いまさら聞けない! 「経済」のギモン、ぶっちゃけてもいいですか? |
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実務教育出版 |
・高橋洋一
本書は、経済数量学者だという著者が、焼き鳥屋で出会った家具メーカー勤務の経子の疑問に、経済学的な観点から答えていくというものだ。さわりの部分がマンガ形式で、その後は焼き鳥屋の大将や従業員の金田も含めた対話形式で進んでいく。
解説されているのは、「三面等価の原則」やGDPと景気や失業率の関係、市場での需要と供給の関係、外部経済や外部不経済と言った概念、銀行の役割や信用創造のプロセス、日銀の金融政策や、比較優位による国際分業の考え方など。本書には、マクロ経済学の初歩的な部分はほぼ網羅されているものと思う。
著者は、巻末の略歴を見ると、最初に数学を学んだ後に、経済学に鞍替えしたようだ。旧大蔵省出身で、現在は株式会社政策工房代表取締役会長、嘉悦大学教授も務めているという。
元々は数学出身ということからだろうか、感覚的な話ではなく、数量的なことを大事にしているようだ。我が国は国の借金が莫大だとか、年金が破たんするとかよく言われるが、本書によれば前者は、収入と支出のみを見ても仕方がなく、どのくらいの資産を持っているかといういわゆるバランスシートも併せて見ないといけないという。また後者については、破たんしないような制度設計をしているから大丈夫だということらしい。どちらも、増税をしたいお役人(財務省)に騙されてはいけないということのようだ。
確かに、あれだけの天下り先が用意されている国なんて、そうあるものではない。増税よりは、あれを始末する方が筋だという論調には賛成だ。ただ、示されているバランスシートは、通常の企業でいえば債務超過状態にあるので、あまり安心という訳にはいかないのだが。
著者は、元官僚だが、お役人には厳しい。確かに、著者の言うように、許認可だけ行っているお役人に、まともなビジネス活動ができる訳がない。だからこそ「民活」などという言葉ができるのだろう。
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※初出は、「本が好き!」です。