文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
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書評:60代から簡単に頭を鍛える法: 「生涯現役」のためにやるべきこと

2017-10-25 12:11:59 | 書評:学術・教養(人文・社会他)
60代から簡単に頭を鍛える法: 「生涯現役」のためにやるべきこと (知的生きかた文庫)
クリエーター情報なし
三笠書房

・高島徹治

 歳を取ったので物覚えが悪くなったということを、時に聞くことがある。しかし本当にそうだろうか。本書によれば、幾つになっても、工夫次第で記憶力は維持・向上できるという。

 しかし、ここで大きな疑問が湧いてくる。「頭の良さ」とは「記憶力がいい」ということだろうか。確かに「記憶力」のいい人は、一見頭がよく見える。

 もちろん「記憶力」もあるに越したことはないが、それだけで頭の良さが決まるわけではない。いくら記憶力が良くても、それに論理力、判断力、推理力などが伴っていなければ、単なる記憶術の見世物をするくらいしか役に立たないだろうと思う。

 しかし、「頭を鍛える法」と唄いながらも、本書には、最初から最後まで、どうしたら「記憶」できるようになるのかといったようなことしか書かれておらず、それ以外の「頭の鍛え方」については特に触れられていないのだ。もちろん、記憶力を鍛えればその副次的効果で、その他の能力についても鍛えられる可能性はあるのだが、それも保障の限りではない。

 いくら頭に知識を詰め込んでも、それだけではだめだ。それをいかに運用していくのか。それが上手くできてこそ、本当に「頭の良い人」と言われるのではないかと思う。

☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

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