文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

憲法議論で思う事

2017-10-24 10:57:33 | オピニオン
 選挙も終わり、自公で衆議院の2/3を占めた。要するに衆議院では、自公だけで憲法改正の動議を可決できるということだ。(もっとも参議院でも2/3の賛成が必要だが)

 しかし、この憲法改正に関する報道で、不満に思うことがある。それはいかにも国会だけで憲法改正ができるかのような報道ぶりだ。また、憲法改正に反対の政党ももちろんはっきりとは言わないものの、見る限りは改正を言い出すことすらタブー視するような姿勢である。

 しかし、憲法改正は、国会だけでできるものではない。最終的には国民投票(まだ実施されたことはないが)で過半数の賛同が必要なのである。つまり、国会は、憲法改正を提案できるだけで、最終的に決めるのは国民なのである。そこに行く前には、当然色々な議論を積み重ねる必要があるだろうが、改正の意見そのものをタブー視することは許されない。それは、単なるイデオロギーであり、また憲法に定めている「言論の自由」を冒とくするものだからだ。「あなたの意見には反対だが、あなたがどんな意見を言おうと、その権利は保証する」というのが、近代民主主義国家の在り方である。

 日本は、民主主義国家であり、言論の自由を保障された国のはずだ。しかし、憲法に関しては、改憲の意見さえもタブー視する声を時折耳にする。果たしてこれが、民主主義国家といえるのだろうか?? それともまだまだ日本には民主主義は根付いていないということか?
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書評:国語、数学、理科、誘拐

2017-10-24 10:55:00 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)
国語、数学、理科、誘拐 (文春文庫)
クリエーター情報なし
文藝春秋

・青柳碧人

 「浜村渚の計算ノート」などで知られる著者による、とある進学塾を舞台に起こった、ヘンな誘拐事件を扱った本書。

 舞台になるのは、JSS進学塾という個人塾。塾長の加賀見成一が30年以上も前に立ち上げた、地域密着型でアットホームな雰囲気が売りである。ある日、この塾に通う生徒である山下愛子が誘拐された。なぜかその脅迫状が、親や学校ではなく、塾のPCに送られてきて、身代金はなぜかたったの5千円。

 5千万円ではなく只の5千円である。そしてそれを全部1円玉で5つに分けて用意し、塾の5人の学生講師たちが、犯人が用意した問題を解いて、所定の受け渡し場所に持っていくのである。いやいや、そんなヘンな誘拐事件なんてないだろうと思ってはいけない。これにはちゃんとオチがあるのだ。

 塾講師たちが問題を解いて、身代金5千円を犯人に渡して一件落着と思ったら、今度は、1円玉5千枚を用意してくれた塾生の近衛美郷が誘拐される。身代金の額も上がるが、それでも2万円。いったい犯人の目的は何か。

 実は、この事件の裏には、ある優しさが隠されていた。本書の説く、「勉強ができることは、心に余裕が生まれ、誰よりも優しくなれる」という考え方には賛成だ。世の中には、運動で一番になると褒めたたえるくせに、勉強で一番になると貶めるという風潮があるように思える。もっと、勉強ができることに価値を持たせても良いのではないか。どうして世間は、甲子園に感動しても(私は興味がないので、まったく視ないのだが)、数学オリンピックの結果には感動しないのだろう。

 ところで、この作品もそうなのだが、近年は塾に通って当たり前のような風潮が感じられる。田舎育ちで、塾なんかとはまったく縁の無かった(そもそも塾なんてものが存在しなかった(笑))我が身を思うと、少し複雑な気持ちになってしまう。

☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

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