週刊ダイヤモンド 2017年 10/7 号 [雑誌] (これなら続けられる! 「独学力」) | |
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実家に帰る際に、駅に併設されている書店で、特集が目についたため購入した本誌。その特集とは、<これなら続けられる!「独学力」>というものだ。
私自身、何かを勉強したいと思ったら、独学しかないと思う。最近のように、何から何まで教えてもらうという風潮には正直眉をひそめている。小さなころから塾でお勉強を教わって、大きくなっても、何か分からないことがあったら誰かに教わって・・・。そんなことで、どうして独創性が育つのだろう。
さて、特集の方だが、最初に総論があって、そのあと各論が続いているという感じだ。東大教授の柳川範之さんがなかなか興味深いことを書いている。柳川さんは、大学までは独学で学び、その後東大の教授になった人だ。<僕の場合、本を端から端まで全部読むことは少ないかもしれません。 (中略) 本を読むのはあくまで自分の思考を深めるためで、全部読むことが目的ではないと割り切っているからです。>(p34)
本を買ったら、一応全部読まないともったいない気がする貧乏性の私としては耳が痛いところだが、これは、読書を勉強のためにするか、楽しみのためにするかということも関係してくるように思う。振り返ってわが身を考えると、どうもそのどちらでもなく、中間あたりをうろうろしているような感じで、それなら今のような貧乏性の読書を続けてもいいのかなと思ったりもするのだが。
ただ、柳川さんが独学するテーマ選びの指針として示している3つの項目には異論がある。理系分野が全く入っていないのだ。我が国の理科オンチの蔓延ぶりは、「1万ボルトの電流が流れている」といったようなバカな表現をあちこちで目にするくらいひどいものだ。理科の教養こそ、待ったなしで社会人が真っ先に身につけなければならないものだろう。柳川さんは、ものの見方を広げるために学ぶものとして「哲学」などを挙げているが、何の役にも立たない「哲学」(これはハイデガーの研究者で知られる故木田元さんが、著書の中で明記しておられた)なんかを学ぶ暇があるのなら、その前に色々な場面で社会に役立っている「理工学」を学ぶべきだと思う。
そのほか、本は3回読むことや、アウトプットの大切さなど、勉強のやり方をあまり身に着けていない人には参考になることが多いだろう。ただ、勉強のできる人は、自然に身に着けていることも多いだろうから、それほど参考にはならないかもしれない。
最後に強調したいのは、勉強の仕方について色々と人に聞いても良いが、学ぶ内容は誰かに教わるのではなく自分で勉強していくということと、学んだことをそのまま鵜呑みにするのではなく、自分が考えるための材料にすることが大切だということである。
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※初出は、「風竜胆の書評」です。