![]() | 高校数学でわかる流体力学 (ブルーバックス) |
クリエーター情報なし | |
講談社 |
・竹内淳
タイトルには「高校数学でわかる」と銘打っているのだが、偏微分などが出てくる時点で、高校数学を超えているだろうとちょっと突っ込んでしまう。もっとも概念自体はそう難しいものではなく、高校数学をちゃんとやっていれば理解できるものだ。もっとも微積分が全く分からないというのなら、匙を投げざるを得ないのだが。もっともそういう人は、そもそもこのような本を読まないか。内容的には、大学の初学年程度のレベルだろうと思う。
電気工学でも、水力発電の場合は、いきなりベルヌーイの定理が説明なしに出てくるのでびっくりするのだが、ちょっと考えれば、エネルギー保存則の変形であることが分かる。
流体力学自体は、大学で履修したことはないが、多くの概念は電磁気学に出てくるものとほぼいっしょである。だからある程度電磁気学をやった人なら、初めて流体力学を学んでもそう違和感はないものと思う。
本書は、いわゆる通俗的な科学書とは少し趣が異なる。文系読者のためと銘打って、多くの一般科学書が数式を使わないことを売り物にしている。これは理系読者にとっては、なんともまだるっこしいものだろう。しかし本書にあっては、きっちり数式を使って、流体力学が解説されている。本書を一通り理解すれば、流体力学の基礎的な部分は、理系的な意味で身につくと思う。ここで言う理系的な意味でというのは、文系的に言葉で理解したつもりになって、実際の問題は解けないのに対して、きちんと計算して問題を解くことができるという意味である。
理系の一般書というのは、文系の素養しかない人でもわかるように、なるべく数式を使わないで説明したものが多い。このブルーバックスシリーズもほとんどがそうだ。しかし、本書を同じような感覚で読み始めると、かなり面食らうだろう。最初から最後まで数式のオンパレードなのだ。だから、数式の苦手な人、根っからの文系人を自認する人には向いてないだろう。しかし、通常の理系の一般書のまだるっこしさにうんざりしているような人には向いていると思う。このような本を読んだ後、もっと詳しい専門書を勉強するという道もあるのではないか。
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※初出は、「風竜胆の書評」です。