文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
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書評:釣りキチ三平 平成版(1)

2019-01-17 10:06:54 | 書評:その他
釣りキチ三平 平成版(1) (週刊少年マガジンコミックス)
クリエーター情報なし
講談社

・矢口高雄

 「釣りキチ三平」といえば、1973年から10年間にわたり週刊少年マガジンに連載されていた漫画だ。三平三平という釣り大好き少年が、各地でいろいろな魚を釣りまくるという漫画で、当時かなり評判になった。

 その釣りキチ三平が平成になって帰ってきた。この平成版の第一作には、2001年7月20日脱稿と書かれているので、18年ぶりということになる。

 記念すべき第一作の副題は、「地底湖のキノシリマス」。キノシリマスとはクニマスのことだ。田沢湖の固有種だったが、昭和15年に国策の電源開発のため強酸性の玉川の水を流し込んだことにより、姿を消した。田沢湖町(現仙北市)が1995年から1998年にかけて賞金を懸けて探したが見つからなかったいう。

 このクニマスが、生き残って繁殖していたというのがこの巻の内容である。一平じいちゃんは故人になっているが、三平君は魚紳さんといっしょに釣り三昧。クニマスが繁殖していたというのは地図にもない双子池という場所。地底湖で二つの池が繋がっているという設定だ。

 そしてここにクニマスを放流したのがなんと一平じいちゃん。田沢湖でクニマスを食べてあまりにうまかったのと、田沢湖に玉川の水が流し込まれるためクニマスが絶滅するということを知ったためだ。三平は一平からこのことを知らされて魚紳さんといっしょに確かめに行く。

 実はクニマスは山梨県の西湖で再発見されている。2010年のことだ。この発見にさかなクンが大きく関わっていることが、新聞などで報道されたのを記憶している方も多いだろう。田沢湖から試験的に放流されたものだという。

 この作品は時期的にいえばその10年も前のもので、平成版第一作としてクニマスを取り上げた矢口氏の慧眼には恐れ入る。一度失った自然を元に戻すのは不可能に近い。しかし今は多くの淡水域でブラックバスやブルーギルなどの外来種の影響などにより、我が国固有種は絶滅している。その流れは意識して止めなければならないだろう。この作品には、自然の大切さといったものが、メッセージとして含まれているように感じる。

☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。


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