本書の主な登場人物は二人。「絡新婦の理」に出てきた、呉美由紀と京極堂・中禅寺秋彦の妹で中禅寺敦子。 美由紀は、「絡新婦の理」での事件のあと、別の学校に転校していたが、そこでの1学年上の友人片倉ハル子は、「片倉の女は代々刀で斬り殺される運命にある」と恐れていた。そして、その言葉通り、最後の7人目の被害者として切り殺される。
扱われるのは昭和の辻斬り事件と呼ばれるもの。次々に犯人とされた宇野憲一だが、実は色々と疑問点があった。最後に思わぬ辻斬りの犯人が明らかになる。
出てくるのは鬼の刀。ここでの鬼とは、新選組鬼の副長と呼ばれた土方俊三のことである。(いやそれは二つ名で、妖怪の鬼ではないだろうというツッコミはなしで(笑))
このシリーズは昨年3か月連続で出版社を変えて出たものの最初の1冊である。ちなみに他の出版社とは角川、新潮社で、それぞれ「河童」、「天狗」というタイトルが付けられている。
知らなかったが、「京極堂シリーズ」もいつの間にか「百鬼夜行シリーズ」に組み込まれて、あの凶器になりそうな厚さから一転普通の文庫本の厚さになっている。だから読むときの苦労を考えれば、大分楽になっているが、その分京極堂も榎木津礼二郎も直接は出てこない(間接的には話の中で出てくる)ので、それを期待している人にはちょっと物足らないかもしれない。
それにしても「鵺の碑」はどうなったんだろう。
☆☆☆
※初出は、「風竜胆の書評」です。