本書の原作は至道流星さんによるラノベで、これまで3人の漫画家によりコミカライズされている。一人目は川村一真さんという人で、星海社のウェブサイトに連載されていたらしい。
二人目は「舞-HiME」などで知られる佐藤健悦さん。「チャンピオンRED いちご」に連載されていた。現在吉野弘幸さんの原作で「神呪のネクタール」を「チャンピオンRED」に連載している。
そしてこの荒木宰さんが3人目ということになる。「ヤングマガジンサード」に連載されていたものだ。
ヒロインは高校2年の神楽日毬という超絶美少女。グラビアアイドルをやっているが、普通のアイドルとは一味も二味も違う。なにしろその思想はバリバリの右翼。なにしろ
「真正なる右翼は日本に私ただ一人である!!」
なんて街頭演説をするくらいなのだ。アイドルをやっているのも、自分の主張を聞いてもらうためには、メディアへの露出が不可欠だと思っているからだ。
だから日本史の教師とは良く衝突している。歴史観が全くかみ合わないのだ。
しかし教師の中にも熱心なファンがいる。例えば、地歴科の橋本という年配の教師だ。心の中では「ひまりん」と呼んで応援している。ただ残念なことに、彼はマルクスの大ファン。つまり思想的にはかなり左ということだ。思想的には左なのに、右翼のひまりの大ファン。いっそのことマルクスはマルクスでも、喜劇映画のマルクス兄弟だったらどれほどよかっただろうと思っている。
可愛そうなのは、斎藤というクラスメートの少年。実際は斎藤ではないらしいのだが、日毬が間違って斎藤と呼んだことから、すっかり定着してしまった。本名は出てこないので分からないのだが、もう斎藤でもいいや。
まあ、思想的にはちょっとアレだが、笑えるところも多い。一読すれば、以外に可愛らしいところのある美少女日毬にすっかり夢中になるだろう。
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※初出は、「風竜胆の書評」です。