本書はタイトルの通り、電験三種試験における理論科目の過去問を集めたものだ。電験三種とは、第三種電気主任技術者試験の通称であり、電気主任技術者試験は明治から続く歴史のある試験である。
実はこの上に1種と2種があり、一応1種は大卒程度、2種は高専卒程度、3種は工業高校卒程度となっているが、大学の大衆化に伴い、大卒でもなかなか第三種電気主任技術者試験に合格できないというのは良く聞く話である。
よく電気工事士と混同されるが、電気工事士が実際の電気工事を行うのに対して、この資格は電気設備に関する保安の監督を行うものだ。準拠している法律も違う。電気工事士は電気工事士法に基づいているのに対し、電気主任技術者は電気事業法に基づくものである。
この資格を取ると、5万ボルト未満の電気的設備の工事、維持及び運用に関する保安の監督ができるので、電気技術者のとりあえずの目標として取り組まれるものである。この試験合格後に上位資格を目指す人も多い。
ただ、この資格は、学歴+実務経験で認定されると言う方法もあり、扱える範囲は試験によるものと変わりはないため、認定で資格を取る人もいる。ただ試験に合格すると、必用な知識を持っていることが証明されるし、認定手続きに比べると面倒くさくないので試験を受ける人は多い。
解答も丁寧に書かれており、これを理解すれば、理論的な話ではそう不便な思いをすることはないだろう。電気は一歩間違えると命に係わる。前例踏襲よりも、きちんと理屈が分かって業務を行っている方が、自分でも安心だろうと思う。そう、大事なことは単に問題を解くのではなくきちんと理解することなのだ。
平成7年からこの資格は科目合格制度が導入され、従来より受けやすくなっているので、皆さんもチャレンジされてはいかがかと思う。
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※初出は、「風竜胆の書評」です。