文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
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霊視刑事夕雨子1 誰かがそこにいる

2020-07-27 08:55:27 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 主人公は大崎夕雨子という、警視庁中野署の刑事課に勤める若手女性刑事。彼女は、他の人とは違う。そうタイトルの通り、「視える人」なのだ。普段は、亡き祖母からもらった念のこもったストールでその力を抑えているが、ストールを外すと、視える人になる。彼女とペアを組むのは警視庁捜査一課から異動してきた野島という女刑事。噂によれば、何かをやらかして、捜査一課から所轄に飛ばされてきたらしい。作者は「浜村渚の数学ノート」などで知られる青柳碧人さん。

 夕雨子はただ視えるだけで、除霊などの特別な力はない。でも彼女に関わってくるのはこの巻に関しては悪霊は出てこないのだ。寧ろ夕雨子を助けてくれるような霊もいる。夕雨子は野崎といっしょに、事件の解決を図ることにより、霊の心残りを解決するのだ。

 実は夕雨子が警察官になったのには理由がある。小学生のころ参加した子供キャンプで、仲が良くなった荒木公佳という児が行方不明になった。それを解決するための情報が欲しいからだ。

 残念ながら、それは群馬県警の管轄。警視庁に入った夕雨子には群馬県警の情報に直接触れることはできない。しかし、野島が捜査一課に復帰するのに協力すれば、その暁には、群馬県警から情報を貰ってあげるという。そういう目的があるんなら、最初から群馬県警に入ればいいと思うのだが。どうも夕雨子、警察の仕組みをよく知らなかったらしい。

 この作品は、野崎や霊たちに助けられて、夕雨子が刑事として成長していくという話なのだろうか。次巻以降がどのような展開となるのか楽しみである。

 もちろん、敵役も出てくる。野島が捜査一課時代にペアを組んでいたという有原という男。事件があると所轄に乗り込んでくるのだがこれがなんとも偉そうなのだ。

 夕雨子の階級は巡査というのは書かれているが、野島や有原の階級ははっきりしない。しかし、偉そうな態度といい、部下がいることから、有原は班長クラスだと思う。ということは階級は警部補ということか。そして野崎も有原とタメ口で言い争っていることから、同じような階級だと思われる。まさか有原が管理官ということはないと思う。管理官だとしたらその階級は警視だ。野崎が同じような階級だとしたら、所轄の課長(階級は警部)の下に配属されることはないだろう。

☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

 

 

 

 

 

 

 

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