テレビドラマでは、故萬屋錦之介の代表作といえる「子連れ狼」。大合本というのは、元の本をいくつか合わせたという意味だ。この第1巻は元の本の1,2.3巻を合わせたものとなっている。つまり、この1冊が通常の単行本3冊という訳である。
内容は、柳生烈堂率いる裏柳生に陥れられた、元公儀介錯人拝一刀が一子大五郎と共に、復讐の旅を続けるというもの。この1巻では、裏柳生との因縁、妻を裏柳生の因縁で殺されたこと、大五郎誕生の様子そして一刀父子の刺客旅の様子が描かれる。
一刀は、依頼を果たすためなら、わざと相手に捕まったり、大五郎を囮に使ったりする。大五郎を囮にするのは、
「父なればこそ 子なればこそといったはずだ 親と子が手をつないで生きてゆくこと これすなわち生間!親と子の間を命かけた目的に使ってこそのこと…………」
ということらしいが、よくわからないというのが本音だ。
しかし、こんな劇画調の作風は、最近あまり見ないので、帰って新鮮かもしれない。小池さんも小島さんも既に鬼籍に入っているので、もうこのような作品は発表されないと思うと少し残念だ。
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※初出は、「風竜胆の書評」です。