文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
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半七捕物帳 23 鬼娘

2020-08-12 09:58:42 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 鬼娘といってもラ〇ちゃんではない。そして、タネも仕掛けもある話だ。確かに犯人は娘だったのだが、服装も白地の浴衣に跣足(はだし)で、決して、トラ模様のビキニなんて来ていない。なにしろ江戸時代の話だ。あの時代にはビキニがあったとは考えられない。ましてや宇宙人などではない。

 と前置きはさておき、本作も岡本綺堂の「半七捕物帳」の中の1作だ。江戸で3件の連続殺人事件が起きた。被害者は若い娘で、いずれも喉笛をかみ切られていた。鬼なら、ムシャムシャと被害者を食べそうなものだが、みな喉笛をかみ切られただけ。

 この作品、ミステリーとしての出来はどうだろう。正直に言うとあまり良いとは言えない。読んでいると、なんとなくネタが想像できるのだ。

半七は袂をさぐって、鼻紙にひねったものを出すと、庄太は大事そうにそれを開けて見た。
「こんなものをどこで見つけたんですえ」
「それは露路の奥の垣根に引っかかっていたのよ。勿論、あすこらのことだから何がくぐるめえものでもねえが、なにしろそれは獣物の毛に相違ねえ」



 想像通りの結末になるのは、予定調和というところだろうか。この半七捕物帳には、最初ホラー風味の味付けがされ、結局タネも仕掛けもありましたというものが多い。この話もその芸風を継いだ作品と言えるかもしれない。

☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

 

 

 

 

 

 

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