主人公は、魔導師(ソーサラー)のターニャ・アルテミシオフ。なんと、幼馴染で一緒にパーティを造ったリーダーのライアン・ダースから、女であるという理由にもならない理由でパーティを追放されてしまう。それ以外にも、報酬の分け前で差別されていた。女性はパーティの花として回復術師(ヒーラー)になるのが普通である。おまけに、女性のアーマーは、「魔力の感受性を高めるために、なるべく肌を露出するのが好ましい」(p58)という出鱈目な理由で、着用者が恥ずかしがるくらい露出度が高い。
もちろん現代社会なら、立派なセクハラになるのだが、ここは異世界。そんな理屈が一般に浸透してしまっている。ターニャはヤケクソで、大荒野で大魔法をぶっぱなしていたが、その時、伝説の大魔女ラプラスが300年もの間封印されていた岩山も吹き飛ばしてしまった。つまり伝説の大魔女ラプラスが復活してしまうのだ。もちろん魔女なのだから女性である。決して女装したオッサンではない。大魔女というと怖いイメージが湧くが、このラプラス、美女のうえ、どうもターニャのことが気にいったみたいだ。
二人は、パーティを組んで、ランキング戦でライアンたちをボコボコにしようとするのだが、二人の能力はどちらもSランクとものすごく高い。このままでは、パーティはSランクパーティとなってしまう。異世界もので、冒険者登録をすると、どれだけ実力があっても一番下のランクからはじめるというものが多いが、この作品では実力相当のランクから始められるようだ。この辺りは現実的で評価できる。実力関係なしに、一番下のランクからというのは、大学生に小学校の内容からやらせるようなものだ。あまりにも形式主義だといえよう。しかしランキング戦にはCランク以下のパーティしか出られない。果たして、二人はどのようにして、ランキング戦にでるのか。
そして皇室魔道学院の入学試験で行われていた女性差別。二人が学院理事連中にするお仕置きとは。さてさて二人は、女性に対して偏見の強いこの世界でどう生きていくのだろう。
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