この作品は、静岡県立夢ヶ丘高校に学ぶダイビング部の生徒たちを描いたものだ。主人公は1年生の小日向光(通称ぴかり)と大木双葉(通称てこ)だが、この他にも、1学年上にダイビング部の先輩で双子の二宮愛・二宮誠(通称姉ちゃん先輩、弟くん先輩)、ぴかりたちの担任である火鳥真斗(通称真斗ちゃん先生)など重要な登場人物がいる。
まず、7巻では終わりの方に伊東の秋祭りの様子が描かれている。これは伊東駅の近くにある湯川神社と松原神社の例大祭で、室町時代から続いており、海の安全と大漁を祈願して行われているという。
この祭りが面白いのは、神輿を無言で担ぐこと。普通は神輿を担ぐ時には掛け声が付き物なのだが、この祭りでは神輿を担ぐ男衆は声を出さないよう切り紙をくわえているのだ。そして、神輿を担いで海に入ることだ。弟くん先輩も神輿を担ぐメンバーに入っている。
そして姉ちゃん先輩だが、こちらは巫女舞メンバーに入っているのだ。これが普段と違いとても綺麗なのである。なにしろぴかりから「別人28号」と言われているくらいである(7巻p165)。おそらくこの場面で姉ちゃん先輩ファンが増えたのではないかと思う。ぴかりとてこも来年は姉ちゃん先輩といっしょに巫女舞をやることになったようだ。
8巻では、ぴかりの家族勢ぞろいである。特に面白いのがぴかりの祖父。一年中黒いウエットスーツで海に潜っている。(普通は寒い時期は、ウェットスーツだと凍えるのでドライスーツ着用)。この祖父、巨大な体(縦も横もデカい)にも関わらず、海の中ではものすごくすばやいことから、付いた二つ名が漆黒の人魚じゅごんちゃん。伝説になっているらしい。
そして9巻では真斗ちゃん先生(ただし高校生のころ)と姉ちゃん先輩が夢の世界で出会う。この夢の世界の住人は真斗ちゃん先生の名付けたピーター。このピーターに真斗ちゃん先生も、姉ちゃん先輩も恋心を抱くのだが、ピーターの正体は意外な人だった。結局真斗ちゃん先生の恋は叶い、姉ちゃん先輩は失恋したことになる。いや姉ちゃん先輩ならきっとまたいい出会いがあるよ。
出てくるメンバーが皆魅力的である。不思議な出来事は時々起こっているが、それほど大きな事件が起こる訳ではない。それにも関わらず続きが気になってしまう。そして夢ヶ丘高校の女子生徒の制服も優雅でいいと思う。
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