本書も、「なろう」系異世界ものを原作とするものの一つだ。主人公は佐藤七郎という28歳の引きこもりニート。ネトゲのVRMMORPG「メビウス・オンライン」でぶっちぎりの世界1位となったことが自慢。ところが上位3000人分のデータがクラックされ、佐藤のメインキャラであるセブンのデータも消えてしまった。
絶望した佐藤は死んだはずが、気が付いてみればメビウスの世界にサブキャラのセカンドとして17歳の体で生まれ変わっていた。なお、サブキャラとは、メインキャラの他に作っておくキャラだが、セカンドの場合は成長させていない。しかし、佐藤はセカンドで再び世界一を目指す。
二つの特筆しておきたいことがある。まず、異世界ものとしては珍しく将棋がベースになっている。例えば剣術や弓術のような大スキルの下に、歩兵、香車などの小スキルがあるのだ。例えば歩兵剣術とか香車剣術という具合だ。そして、各々に16級から9段まである。また魔術は火、水、風、土の4属性の魔術が壱から伍の型までの5段階あるという設定だ。
異世界ものに出てくるゲームといえばリバーシが定番だと思うのだが、直接ゲームとして出てきている訳ではないが、将棋が作品中に取り入れてあるようなものを他には知らない。
もうひとつは、主人公と行動を共にすることになる女騎士のシルビアさん。時々ポンコツなんだが、とっても可愛らしいのだ。特に騎士らしく、鎧を着ている姿ではなく、私服姿がなんともいい。
ところで、女騎士と言えば、「くっころ」だが、残念ながら少なくともこの巻にはそういう場面はない。たぶんこの後も期待できないと思うので、そういった場面を期待している向きは、変な期待を持たないように。ちなみにシルビアさんの口癖は「ななな」。彼女が驚いているときに使うようだ。
さて、この巻では、主人公の初期のレベル上げ、シルビアさんが主人公と一緒に行動するようになったいきさつなどが書かれている。果たして、主人公はサブキャラでも世界一位になれるのか。
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