本作は、著者による「法医昆虫学捜査官」シリーズの第7弾となる。法医昆虫学とは、昆虫の生態を犯罪捜査に活かしていこうというもの。主人公はもちろん法医昆虫学者で大学准教授(大学名不明)の赤堀涼子先生。前作から警視庁の組織である捜査分析支援センターに所属しているが、大学にも籍があり、兼任のようである。
この作品では、最初にウジの洗礼を受けるというのがお約束なのだが、今回はそれに加えて、謎の虫刺されに、被害者の解剖の場にいたものが襲われる。この虫に刺されるととにかくものすごくかゆいのだ。おまけに、薬はまず効かない。実はこれ台湾などにいる小黒蚊という吸血性の昆虫なのだが、痒みを和らげることができるのは、ハッカ油だけ。
今回の事件の被害者は、72歳の飯山清志という一人暮らしの老人。なんと宝くじで1億を当てている。今回の事件はそれを狙った犯行のようだ。犯行現場には、大量のクチグロ(カバキコマチグモ)がいた。
小黒蚊やクチグロも別にそれほど作品中に大きな役割を占めておらず、これなくしても話は組み立てられるんじゃないかと思う。この作品では、ツバメが運んできたことになっているが、それにしては数が多すぎるような気がする。
事件の解決に繋がったのは、3番目に出てきたシバンムシ。これとて、聞き込みの途中で偶然出てきた感が強い。
なお表題にあるスワロウテイルとは、ツバメの尾と言う意味で、転じて、燕尾服やアゲハ蝶のことなどを言う。この話、確かにツバメは出てくるのだが、テイルの部分はあまり関係ないかな。消失点も、ツバメが巣作りをしなかったことを指すのかもしれないが、分かり難い。
このシリーズでは赤堀先生か岩楯刑事のどちらかが、ひどい目に合うというもうひとつのお約束がある。今回は岩楯刑事の番のようだ。
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