なんだかどう読んだらいいのか分からないような難しい漢字が使われているが、「なんそうしゅう」と読む。三好達治の第二詩集に当たる。形式は各詩を4行で表す4行詩という定形で描いていることだろう。ただし、各行の字数には決まりはないようで、かなりのばらつきがあり1文字のこともある。
檸檬などで有名な梶井基次郎は彼の盟友であり、彼と同じく三高から東京帝国大学へ進んでいる。この詩集にも彼が亡くなった時の追悼の詩が納められており、梶井君と呼び掛けている詩も二つばかりある。友を喪ふ 四章の部分だ。
<梶井君 君はそのまま昇天した
友よ ああ暫らくのお別れだ…… おつつけ僕から訪ねよう!>
(首途)
<梶井君 今僕のかうして窓から眺めてゐる 病院の庭に
山羊の親仔が鳴いてゐる 新緑の梢を雲が飛びすぎる>
(展墓)
ただ全体的には、情景をそのまま歌っているような詩が多く、意味も分かり難いところがあり、私のような詩心のない人にはそれほど心に響かなかったのは残念。
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