文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

書評:ドレスな僕がやんごとなき方々の家庭教師様な件4

2015-04-16 10:32:55 | 書評:小説(その他)
ドレスな僕がやんごとなき方々の家庭教師様な件4 (ファミ通文庫)
クリエーター情報なし
エンターブレイン


 “文学少女”シリーズで有名な野村美月による、女装少年コメディ、「ドレスな僕がやんごとなき方々の家庭教師様な件」(ファミ通文庫)の第4巻。主人公は、シャールという17歳の男の子。天才と評判の高かった双子の姉グリンダが姿をくらましたため、身代わりとして友好国の王族の家庭教師として送り込まれ、男の娘として暮らす毎日。

 この巻では、グリンダ(実はシャール)が大好きな、11歳の竜樹王子に縁談が持ち上がる。相手は6歳歳上の、オーランド大公の姫君で、付いた二つ名がなんと「鮫殺し」。なんでも、領海を荒らす人食い鮫と槍一本で三日三晩戦って退治したらしい。いきなり、こんなネタで吹き出させてくれる。

 そして、竜樹の前に現れたのは、シャールの言葉を借りれば、、「30歳、おっさん、職業狂戦士」と突っ込んでしまうような、重量感満点のお姫様。もう、笑い死にしそう。もちろん、これにはオチがあるのだが、女の子と周りから思われていることで巻き起こる珍妙なエピソードは、爆笑の連続。

 天才の姉と違って、お肌スベスベ以外は、何の取り柄も無かった女装少年が、お城で起こる色々な事件を解決していく。そして、女装しているにも関わらず、なぜか事件が終わった後には、彼のことを好きな女の子が増えていく。これは、シャールの一種の成長物語なのだろうか?

☆☆☆☆

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書評:マツリカ・マジョルカ

2015-04-14 10:30:04 | 書評:小説(その他)
マツリカ・マジョルカ
クリエーター情報なし
角川書店(角川グループパブリッシング)


 相沢沙呼の青春ミステリー「マツリカ・マジョルカ」(角川書店)。

 主人公の柴山祐希は高校1年生。中学の時にひきこもり歴があり、クラスにも溶け込めない。姉に対しては、極度のシスコン。そんな彼が、ある日、廃墟のような雑居ビルに住むマツリカという謎の美少女と出会った。このマツリカという少女、なぜか、そのビルからずっと学校を観察しているという変人で、かなり高ビー。祐希は、柴犬と呼ばれて、完全にパシり扱いだ。

 祐希がマツリカから命じられるのは、ヘンなことばかり。学校で目撃されたという原始人や手すり女、ゴキブリ男などを見張れというのだ。ところが、その最中に、決まって、これまた奇妙な事件が起きる。これをマツリカが、祐希から聞いた情報を元に、解き明かしているという、一種の安楽探偵ものだというのが、本作品の基本的な性格である。

 上から目線で、かなり口が悪いお姫様と、下僕扱いされる少年。そしてお姫様は、名探偵でもある。この構造は、「GOSICK」(桜庭一樹)の世界と似ている。違うのは、同じ美少女でも、ヴィクトリカがちっちゃいビスクドールのような女の子なのに対して、こちらのマツリカさんは、すらりとしたモデルのような娘だというところ。そして、その相棒となる少年も、ヒロインに振り回されるのはいっしょでも、久城一弥には特に問題はかかえてないのに対して、こちらの祐希は、色々と抱え込んでいるようだ。

 マツリカの横暴さに辟易しながらも、彼女に魅かれている祐希。時には、彼女の無防備な姿にドキドキしたりもしているのが、いかにもこの年ごろの少年らしい。マツリカは、ヘンな命令ばかり下しているが、祐希に勉強も教えてくれ、おかげで、低空飛行だった彼の成績も上がった。

 そして、もう一人のヒロインとも言える、同じクラスの小西さん。ボーイッシュで、男のような言葉づかいだが、おしゃれをすればかなりの美少女のようだ。彼女は、なにかと孤立している祐樹をを構ってくれる。こちらも、なかなか気になる存在だ。

 ある出来事がきっかけで、心に苦しみを抱え、人と関わることを避けてきた祐希。そんな彼が、マツリカのおかげで心の傷が癒され、小西さんをはじめとするクラスの生徒たちとも、次第に人間関係ができてくる。そんな祐希の再生と成長を描いた物語だというのが、この作品の、もうひとつの性格だろう。

 しかし、なぜ、マツリカは廃墟ビルに住んでいるのか、祐希と小西さんとの関係に何か発展はあるのか。気になることを色々と残しながら、この巻は終わっている。この作品には、「マツリカ・マハリタ」という続編があるようなので、また機会があれば、そちらも読んでみたい。

☆☆☆☆☆

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書評:窓際OLトホホな朝ウフフな夜

2015-04-12 10:27:20 | 書評:その他
窓際OL トホホな朝ウフフの夜 (新潮文庫)
クリエーター情報なし
新潮社


 北杜夫氏の娘さんで、自他共に窓際OLと認める斎藤由香さんの、面白エッセイ、「窓際OLトホホな朝ウフフな夜」(新潮文庫)。ネタになっているのは、精力剤マカ、会社のヘンな人たち、父親の躁病の凄まじさなど。

 斎藤さんは、入社以来十数年在籍した広報部から、健康食品事業部に、突然異動を命じられる。それがマカとの出会いになった。マカとは、ペルー原産のアブラナ科の根菜で、天然のバイアグラとして注目されているらしい。以後、勃起不全に悩む男たちを救う「マカの伝道師」の道をまっしぐら。今ではすっかり、勃起障害や勃起不全に悩む殿方に、愛の手を差しのべる「マカ教」の教祖さまだ。

 それまで、あまり注目を浴びていていなかったマカだが、スポーツ新聞の記者に売り込んだら「硬化バツグン!愚息ムクムク」という記事がデカデカと出たそうな。これでマカの人気はウナギ登り。斎藤さんも、精力剤をテーマに「週刊新潮」にエッセイを連載することになったり、日本初の女性ED評論家として、健康セミナーで講演することになったり。

 斎藤さんの勤める会社もなかなか面白い会社のようだ。なんでも、新しい事をやるときは、「面白いかどうか」が、最後の決め手らしい。社員の方も、自由気まま。会社員の枠に収まりきらないヘンな人がいっぱいのようだ。

 例えば、海外のCM撮影でNYに行ったプロデューサーとスタッフが、モデルが都会的すぎてイメージに合わないからと、中南米に飛んで、1週間の予定が1ヶ月も連絡がとれず、いつ帰国するんだと、宣伝部長がオロオロするという事件があったという。上司とけんかするのが生きがいと言った人や、忘年会の二次会で、副社長室に忍びこんでカラオケで大騒ぎした人もいたらしい。

 それにしても、斎藤さん、「勃起不全」だとか「中折れ」といった言葉がためらいもなく出てくる。これは慣れなのか、開き直りなのかは分からないが、その堂々たる態度は清々しいほどだ(笑)。もう全編爆笑の連続。読むときは、お腹の筋肉のよじれにご注意を。

☆☆☆☆

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放送大学特別公開講座「科学革命前後の物質概念」

2015-04-11 20:00:00 | 放送大学関係
 放送大学の広島学習センターで開催されている、「特別公開講座」に参加してきた。他の学習センターでもやっているかどうかは不明だが、この講座は、毎月90分で各専門分野の講師が、その分野に沿ったテーマで講義を行うというもの。情報以外の5つのコースから、毎土曜日ごとに、ほぼ2科目づつ講義が行われている。受講は無料で、学生ばかりでなく、一般の方も受講できるそうだ。

 以前から行われていたものだが、参加するのは初めてである。出不精なもので、休みになると家でのんびりしていることが多いため、最近は、「引き籠り防止」として、できるだけこういったものに参加するようにしている。

 今回が、H27年度の第1回目となり、テーマは、「科学革命前後の物質概念」。内容は、古代から中世の化学史の概要と、近代化学の発展に貢献したボイルの業績といったところまで。この回は、電話で申し込みをしたが、来月からの講義も、事務室で受講申し込みを行ってきた。
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書評:ヒルベルト訪問記 1932年10月8日,ゲッチンゲンに於て

2015-04-10 10:24:29 | 書評:学術・教養(人文・社会他)
ヒルベルト訪問記 1932年10月8日,ゲッチンゲンに於て
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メーカー情報なし


 この文章は、高木貞治が、恩師ヒルベルトを久しぶりに訪問したときの思い出話である。高木貞治とは、我が国の近代数学の草分けで、類体論という数学理論を確立した、世界的な数学者である。また、ヒルベルトの方も、世界的に高名な数学者であり、貞治はゲッティンゲン大学で、その教えを受けている。表題に、1932年とあるが、貞治はこの年、国際数学者会議に副議長として参加するため、チューリッヒに行っているので、その際ドイツのゲッティンゲンにも立ち寄ったのだろう。

 貞治は、1875年生まれなので、還暦がそこまで迫っている年齢だ。一方ヒルベルトの方は、1862年生まれだから、貞治より一回り以上年上である。計算してみると、このとき70歳となる。個人差はあるが、現代ならまだまだ元気な人も多い年代だ。しかし、やはり時代が違うのだろう。さすがのヒルベルトも、貞治の眼には老いたと映ったようだ。

 ヒルベルトは退職後も、大学で週1回の講義を行っているようだが、「助手たちが存外批判的でね」などと言いながら、数学基礎論について、くどくどと独り言をつぶやくのを見て、貞治は、暗涙を禁じえなかったようだ。そして話は、どんどん超越的なものになっていく。その話は最近ゲッティンゲンで有名なようで、貞治は、C氏と言う人物から「君も聞かされたか」と言われたという。

 その他にも、こんな話が紹介されている。ヒルベルトが、客が来るからといって、ネクタイを替えに2階に行ったきりいつまでも降りてこない。なんと、ヒルベルト先生、すやすやと眠っていたそうだ。そしてもうひとつ。講義中にヒルベルトのズボンに穴が明いているのを見つけた学生。毎日注意してみていると、ずっと穴が明いたままである。なんとか角の立たない方法で、その学生が先生に穴の明いていることを伝えたところ、ヒルベルト先生曰く、「アア、この穴か、これなら前学期にもあいていたようだよ」。ヒルベルト先生、なかなか愛すべきキャラだったようである。

☆☆☆

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「和歌文学の世界(’14)」のレポート終了

2015-04-08 21:17:35 | 放送大学関係
 今学期受講している放送大学科目のうち、「和歌文学の世界(’14)」のレポート問題を解き終えた。といっても、提出は5月25日受付開始なので、とりあえず、いつでも出せる状態になったというだけ。提出は郵送でもできるが、Web提出の方が手っ取り早いので、今回もそうするつもりである。それにしても、細かいことを聞いてくるものだ。

 近いうちに、「文化人類学(’14)」の方もやっておこう。

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書評:有頂天家族 二代目の帰朝

2015-04-08 18:39:11 | 書評:小説(SF/ファンタジー)
有頂天家族 二代目の帰朝
クリエーター情報なし
幻冬舎


 あの毛玉たちが、7年半の時を越えて帰って来た。1200年の歴史を誇る平安の都を舞台に、狸、天狗、人間が入り乱れて繰り広げる阿呆囃子。森見登美彦による「有頂天家族」(幻冬舎)の第2部、「二代目の帰朝」だ。

 主人公は、矢三郎という、狸界の名門である下鴨家の三男坊。父親総一郎は、京都の狸を束ねる偽右衛門という地位にあったが、体に流れる「阿呆の血」が災いして、人間たちに狸鍋にされてしまった。矢三郎は、他の兄弟たちの誰よりも、その「阿呆の血」を受け継いでいるようだ。総一郎を狸鍋にしたのが、メンバーのそれぞれが七福神の名前を名乗っている、「金曜倶楽部」という謎の集団。仕向けたのが、下鴨家の宿敵である夷川家の当主で、矢三郎にとっては実の叔父である夷川早雲だ。

 今回の物語は、「赤玉先生」こと如意ケ嶽薬師坊の息子が、英国から帰ってきたことから幕を開ける。この赤玉先生は、かって力のある大天狗だったが、その力も無くしてしまい、すっかり落ちぶれている。今では、かって自分の生徒だった矢三郎の世話を受けながら暮らしているのだが、困ったことに、プライドが高くて扱いにくいうえに、弟子の弁天という美女の色香に迷いまくっているのだ。弁天は、元々は人間だったのだが、赤玉先生に浚われて天狗になってしまった。その性格は傍若無人。天狗としての力も相当なものだ。その名前からも察しがつくように、彼女は、金曜倶楽部のメンバーでもあり、総一郎を狸鍋にして食った者たちの一人でもある。しかし、「阿呆の血」のなせる業か、矢三郎はこの弁天に恋をしているようだ。

 この第2巻のテーマを一言で表せば、「愛と戦い」ということだろうか。まず「愛」に関して一番大きな出来事は、下鴨家長男の矢一郎と南禅寺家の娘玉瀾が結婚したことだろう。それだけではない。矢三郎と夷川家の娘海星との婚約も復活する。二人の婚約は、叔父であり、宿敵夷川家の当主である早雲が、一方的に取り消したものだった。なぜか自分の前に姿を見せず、おまけに口がとっても悪い海星との婚約復活に、矢三郎は、あまり乗り気ではなかったのだが、彼女が自分に姿を見せたとき、その可愛らしさにすっかり考えが変わったようだ。さすがに、阿呆の血筋である。そして、旅に出ていた二男の矢二郎にも、四国の金長狸の娘・星瀾という気になる相手が。

 次に「戦い」だが、こちらもなかなか壮大だ。まず、下鴨一族と夷川一族の宿命の対決。今回下鴨一族は、大ピンチになるが、その裏には、夷川早雲の恐るべき陰謀があった。次に、金曜倶楽部対木曜倶楽部。木曜倶楽部というのは、元金曜倶楽部のメンバーで、本当の狸愛に目覚めた淀川教授が金曜倶楽部に対抗するためにつくったものだが、なにしろメンバーは彼と矢三郎のみ。こちらの戦いは、殆どワンサイドゲームである。そして、二代目対弁天の天狗同士の戦い。この巻で描かれている2回の戦いは、いずれも二代目が制したのだが、彼が弁天を嫌っている訳が、なんだかとてもなさけない。しかし、愛と憎しみは裏返し。これは、もしかしたらもしかするかもという予感が。

 古都京都を舞台に繰り広げられる馬鹿騒ぎはなんとも面白い。しかし、笑いの中にも独特のペーソスが感じられ、なんともユニークな作品に仕上がっている。おまけに、単なる困ったちゃんキャラだと思っていた天狗の赤玉先生も、最後は、なかなかいい味を出していた。

 特筆すべきは、最後のページに、第三部の予告が掲載されていることだ。いったいどのような展開になっていくのか楽しみではあるが、第1部が出てから第2部が出るまでの年月を考えると、いったいいつまで待てばいいんだろうか。なにしろPRの言葉が「天地鳴動 執筆未定」だそうだから、たぶん忘れたころになるんだろうなあ。ますますヒートアップする森見ワールド、早く次にお目にかかりたいものだ。

☆☆☆☆☆

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書評:虫たちの生き残り戦略

2015-04-06 18:20:43 | 書評:学術教養(科学・工学)
虫たちの生き残り戦略 (中公新書)
クリエーター情報なし
中央公論新社


 実は私、昆虫大好きで、子供のころは昆虫博士になりたかった。だから、昆虫図鑑や虫に関する本を読むのが大好きだった、さすがに、中学生くらいになると、この道で飯を食べていくのは大変だと気づき、この夢はすっぱり諦めたのだが、「三つ子の魂百まで」の言葉があるように、今でも、昆虫関係の本があると、つい読みたくなってしまう。

 昆虫の種類数は、全動物の70%以上を占め、未発見の者まで入れると300万種以上にもなると言われている。本書、「虫たちの生き残り戦略」(安富和男:中公新書)は、その昆虫たちの繁栄の秘密を探ろうとするものだ。

 本書中には、24種類の昆虫たちについて、生き残っていくために、どのような巧妙な仕組みを身につけているかが語られている。そのなかから、いくつか興味深いものを紹介してみよう。

 まずは、鶏糞のなかで育つガイマイゴミムシダマシという甲虫。鶏糞だけでなく、イエバエの幼虫や卵なども食べてくれるという、人間にとってはありがたい虫だ。イエバエの発生を抑制するのに、シロマジンという殺虫剤が使われるのだが、なんとこの薬は、ガイマイゴミムシダマシにとっての強壮剤となり、繁殖力が増すというのだ。

 次に、どこでも見かける蝶の代表のようなモンシロチョウ。この蝶は、はるばる海を渡って、大陸から日本に移住してきたという説が有力らしい。あの可憐な姿からは想像できない、驚くような飛行能力だ。人間には、モンシロチョウの雌雄の区別はぱっと付かないが、彼らの目で見ると、雌の翅は紫外線が輝いているため、雄は容易に識別ができるという。

 マダラチョウの生態も面白い。雄は、毒であるピロリディン・アルカロイドを植物から摂取し、これを性フェロモンの材料として使うのみならず、交尾の際にメスに分け与える。メスは更に、卵にピロリディン・アルカロイドを移して、外敵からの防御に使うのである。

  「雪虫」とも呼ばれるトドノネオオワタムシは女性優位だ。通常は単為生殖でメスを生み、晩秋のころになって初めてオスが出現する。これは、冬越しのため、有性生殖により、卵を生産するためなのだ。

 このほか、シロアリには、働き蟻や兵蟻にも雌雄の区別があるとか、カマキリは原ゴキブリ類から進化をしたということなど、興味深い話題が満載である。本書を読めば、昆虫たちが、実はすごいやつだったということが実感でき、彼らが愛おしくなってくるのではないだろうか。しかし、最近は、これだけ環境への適応性に優れた昆虫たちも、見かける種類がどんどん少なくなっている。一度失った生態系を回復するのはほとんど不可能である。たまには、本書のような本を読んで、自然環境の大切さに思いを寄せてみることも必要だろう。

☆☆☆☆

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インド料理のアナンドローク(広島市を歩く147)

2015-04-06 18:01:31 | 旅行:広島県
 今日は、数年前に手術した眼の定期検診日。眼圧検査、視力検査、眼底写真や、網膜のCTを撮ったあと診察。以前は、昼過ぎまでかかったこともあったが、最近は以前より速く終わり、11時ごろには解放された。

 ちょっと用足しをして、それから、どこかで昼食を取ろうとうろつく。見つけたのが、大手町にある、下の写真のインド料理の店、「アナンドローク」。




 注文したのが、ランチメニューのうちBセット。これだと、カレーは5種類から2つ選択できる。選んだカレーが、チキンとキーマ。サラダ、ナン、ライス付だ。値段は、確か830円だった。小さい皿に載っているのは、サービスで出てきたもの。名前は聞いたけど、忘れてしまった。





 カレーを食べたせいだろうか。今日は、いやに体がぽかぽかしているような気がする。


○関連過去記事
広島東照宮(広島市を歩く146)
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書評:手にした人だけが次の時代に行ける黄金のボタン

2015-04-02 15:54:21 | 書評:ビジネス
手にした人だけが次の時代に行ける黄金のボタン (ALL WIN出版)
クリエーター情報なし
ALL WIN出版


 格闘家あがりだという著者が、自らのビジネス成功体験を綴った、「手にした人だけが次の時代に行ける黄金のボタン」(小楠健志:ジコサポ出版)。著者は現在「ジコサポ保険整骨院」を経営するとともに、「NPO法人ジコサポ日本」の理事長を務めているという。

 著者のビジネスの出だしは、格闘技を指導していたジムの1室に開業した「整骨院」だったが、いっしょに整骨院をやってみたいという人が現れたため、2号店をオープンした。ところが、立地が、田んぼのど真ん中というようなところ。6年間その場所でやってきて、「通りがかり」で来店した人は、0人だったという。開業2年目に、経営を任せていた人が独立することになり、自分が経営しようと通帳の残高を確認したところ、利益は2年かけて、わずか数十万円。これはいかんと、経営を立て直すため、ビジネス書を読んだり、治療技術を高めたり。ここから著者の経営者としての奮闘が始まる。

 しかし、色々やってみてもなかなか経営状況は改善せず、なんとか集客しようと、「マーケティング」に全力を注いだ。無料治療体験会を開催したり、ホームページを強化したり、ブログやツイッターを始めたり、野立て看板を出したり。でも、どんなに努力しても、患者はレントゲンのある病院の方を信頼してしまう。

 ちょっと注意が必要なのだが、ここで著者が言っている「マーケティング」とは、限りなく「プロモーション」に近いものだ。本来のマーケティングとは、日本マーケティング協会の定義によれば、「マーケティングとは、企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である。」とかなり幅広いものである。そして、この「顧客」をどう定義するかによって、行うことも変わってくる。

 著者が可能性を見出したのは、交通事故の自賠責保険を使う治療だ。それまでは、患者に自賠責の知識がないため、必要な治療を途中で打ち切ってしまうこともあったという。交通事故による患者が必要としているのは、治療技術だけではなかったのだ。著者は、行政書士とタッグを組んで、治療だけでなく、賠償についても相談に乗れるような仕組みをつくる。それが、現在の「NPO法人ジコサポ日本」の活動に繋がっていく。

 ここで著者の言う「黄金のボタン」の正体が明らかになる。それは「公共性」ということだ。自分と直接の顧客だけでなく、関係する人すべてにとってメリットのある仕組みを考えることなのである。

 著者の歩みを俯瞰してみると、事業のドメインをどう定義するかといったことや、企業理念をしっかり持つということの重要さが分かるだろう。著者は、当初、事業のドメインを「怪我をした人の治療」というところに設定していた。これを「交通事故のすべての関係者を良くすること」というところに定義しなおしたことにより、事業の発展につながったのではないだろうか。そして、その定義は、確固とした企業理念にもつながるのだ。たどった道筋は逆だったかもしれないが、結果として著者の行ったことは、極めて理にかなっているといえる。経営戦略の一つのケーススタディとして読めば、なかなか参考になるだろう。


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