文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

銭形平次捕物控 013 美女を洗ひ出す

2022-06-09 08:25:01 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 このシリーズには、珍しく八五郎が平次のところに飛び込んできて始まるというのとは違っている。事件は芝三島町の學寮の門出、疾風の綱吉という土地の遊び人が殺されるという事件が起きた。

 犯行現場あたりを縄張りとしている御用聞きは柴井町の友次郎だが、八五郎は川崎大師からの帰りにこの騒ぎに出くわしたのだ。つまり今回の事件のへぼ探偵役は、ドラマに出てくるいつもの三ノ輪の万七ではなく、柴井町の友次郎という訳だ。この友次郎、へぼ探偵のくせに、誤認逮捕は当たり前という迷惑な奴らしい。

「まアね。後學の爲に話して置かう。ネ、八兄イ、よく見て置くが宜い。これはお前、脇差や匕首を突立てた傷ぢやねえ、肉の反り具合から言ふと、槍でなきア、よく磨いた鑿のみだ」


ということで、友次郎は、露月町の大工の棟梁で、辰五郎をお縄にしてしまう。綱吉と辰五郎は、水茶屋のお常という美女を張り合っていた。

 もちろん自信たっぷりに言った友次郎の推理は大外れ。そして辰五郎は昔八五郎が世話になっていたことから平次が事件に関わってくる。

 それにしても、平次の以下のセリフ

「柴井町の友次郎を向うへ廻すのは厭だな」


 平次にはこんなところがある。他の岡っ引きに極端に気を遣うのだ。これは最近の警察小説で、警察の縄張りを気にするシーンがあることと共通しているのかもしれない。

 そして、なぜか平次は、お常の水茶屋に入り浸りになる。そんな平次が襲われたことで、辰五郎は無実ということが判明して解放されるが、こんどはその辰五郎が殺される。

 その後も犯行は続き、それにつれてなぜかお常はどんどんみすぼらしくなっていく。平次が真実に行きついたときとった行動とは。最近のミステリーには、警察は「犯人を捕まえるのが俺たちの仕事だ」とばかりに、十分な情状があっても逮捕してしまう。しかし平次はそんなことはしない。死人に口なしとばかりに、悪人にすべての罪をなすりつけ、情状がある人間は、たとえ殺人でも見逃す。このあたりも、平次の魅力の一つだろうと思う。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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元・世界1位のサブキャラ育成日記 ~廃プレイヤー、異世界を攻略中!~ (1)

2022-06-07 09:09:59 | 書評:その他

 

 本書も、「なろう」系異世界ものを原作とするものの一つだ。主人公は佐藤七郎という28歳の引きこもりニート。ネトゲのVRMMORPG「メビウス・オンライン」でぶっちぎりの世界1位となったことが自慢。ところが上位3000人分のデータがクラックされ、佐藤のメインキャラであるセブンのデータも消えてしまった。

 絶望した佐藤は死んだはずが、気が付いてみればメビウスの世界にサブキャラのセカンドとして17歳の体で生まれ変わっていた。なお、サブキャラとは、メインキャラの他に作っておくキャラだが、セカンドの場合は成長させていない。しかし、佐藤はセカンドで再び世界一を目指す。

 二つの特筆しておきたいことがある。まず、異世界ものとしては珍しく将棋がベースになっている。例えば剣術や弓術のような大スキルの下に、歩兵、香車などの小スキルがあるのだ。例えば歩兵剣術とか香車剣術という具合だ。そして、各々に16級から9段まである。また魔術は火、水、風、土の4属性の魔術が壱から伍の型までの5段階あるという設定だ。

 異世界ものに出てくるゲームといえばリバーシが定番だと思うのだが、直接ゲームとして出てきている訳ではないが、将棋が作品中に取り入れてあるようなものを他には知らない。

 もうひとつは、主人公と行動を共にすることになる女騎士のシルビアさん。時々ポンコツなんだが、とっても可愛らしいのだ。特に騎士らしく、鎧を着ている姿ではなく、私服姿がなんともいい。

 ところで、女騎士と言えば、「くっころ」だが、残念ながら少なくともこの巻にはそういう場面はない。たぶんこの後も期待できないと思うので、そういった場面を期待している向きは、変な期待を持たないように。ちなみにシルビアさんの口癖は「ななな」。彼女が驚いているときに使うようだ。

 さて、この巻では、主人公の初期のレベル上げ、シルビアさんが主人公と一緒に行動するようになったいきさつなどが書かれている。果たして、主人公はサブキャラでも世界一位になれるのか。

☆☆☆☆

 

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社畜が異世界に飛ばされたと思ったらホワイト企業だった 1

2022-06-05 09:25:54 | 書評:その他

 

 そういえば昔「24時間働けますか」というCMがあったのを覚えている人はいるだろうか。今なら完全にブラック企業と後ろ指をさされるだろう。私などあのCMをテレビで視る度「アホか! 時間も働いたら死んじまうわい!」と思っていたものだ。

 さて、この作品の主人公は、粕森三日月(かすみ)というOL。高校を卒業して就職したのはいいが、そこが最低のブラック企業のブラックシステム。そんな環境で3年近くも過ごした主人公だが、すっかり洗脳されてしまっていたようだ。

 そんな彼女が風に当たろうと屋上に出たところ、流れ星に打たれてしまい、気が付いてみれば、超ホワイト企業のホワイト製作所に途中入社していた。ちなみに違法上等の体質だったブラックシステムは倒産したらしい。

 以下ブラック企業とホワイト企業の差を見てみよう。
〇休暇
ブラック企業
・有休をとろうとしたら怒られる。

ホワイト企業
・ちゃんと有給をとらないと怒られる。

〇勤務時間
ブラック企業
・新人は始業3時間前に出社し、最後まで残る。もし終電を逃したら、会社に泊まる。残業手当はなし。

ホワイト企業
・ほぼ残業なし。もし突発的な仕事で残業をした場合はきちんと残業手当が払われる。もし終電を逃したら、タクシーで帰ってきっちり清算。

〇新入社員研修
ブラック企業
・耐久マラソン。穴を掘って埋める。上司に否定的な言葉を浴びせられる圧迫研修。

ホワイト企業
・きちんとその会社のやり方を教える。

〇給料
ブラック企業
・安い。その分は「やりがい」ということを刷り込んで搾取しようとする。

ホワイト企業
・高いかどうかはわからないが、働いた分はきっちりもらえる。

〇セクハラ
ブラック企業
・乳揉み、パンツを見るのは当たり前。

ホワイト企業
・セクハラをしたら飛ばされる。


 この他にもいろいろあるが、ブラック企業に洗脳されていたかすみがホワイト企業でカルチャーショックを受けるのがなんとも面白い。ちなみに、ホワイト製作所の口コミ評価は4.9ブラックシステムの評価は1.2だそうだ。これだけ福利厚生が充実しているんだからホワイト製作所は5.0でもいいと思う。ブラックシステムは、この話を読むと良くマイナス評価にしなかったと思う。むしろ1.2もあったことの方が驚きだろう。さてさて果たして、かすみの洗脳は解けるのか?

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

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リザードマンの奴隷になったけど想像と何か違う

2022-06-03 08:38:27 | 書評:その他

 

 著者の名前(すずきぐんじ)を、事前に何の知識もなく所見で読める人がそういるとは思えないが、結構同人としての活動をしているようだ。アマゾンで検索すると、作品がいくつか出てくる。

 これは異世界でのお話。奴隷も獣人もいる世界。ある若い娘奴隷がリザードマン(蜥蜴人)に買われました。決めたのは、奴隷商人の「夜の共」にぴったりという言葉。

 それを傍で聞いていた娘は、あんなことやこんなこともやられるのではと思ってけど、実際にやったことは寒さに弱いリザードマンに膝枕をして暖かく眠らせること。おかげで、リザードマン君、暖かくて寝付きもよかったらしい。

 食事は、もしかしてリザードマンなんだから虫を食べさせられるかもと思っていたら、果物が主食。遠慮なく食べろと言われる。

 仕事をしてもらうと言われたので、どんな酷い強制労働なのかと思っていたら、畑仕事の手伝いと雌鶏の管理。

 彼女が思っていたのよりはずっと優しい生活。絵は必ずしも自分の好みというわけではないが、読むとなぜかほっこりしてくる。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

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2人だけのオフ会に大人なおねえさんがきた

2022-06-01 10:50:04 | 書評:その他

 

 ゲームなどのオンラインで繋がっている人とリアルで会合を持つことをオフ会という。初めての相手だったら、どんな人が来るのかわからない。もしかしたら、女性と思っていたのに、実際にはおっさんかもしれないし、アブナイ人かもしれない。そういったアブナイ面も結構あるようだが、その一方、期待以上の相手が現れてハッピーな場合もある。

 この話は後者である。もともとはツイッター連載のカラー漫画だったらしい。主人公はゲーム友達と二人でオフ会をすることになったが、来たのはなんと大人なおねえさん。まあ、こういったケースはほとんどないだろうから念のため。ちなみに主人公のハンドルネームは「師匠くん」、おねえさんは「アルルンさん」。

 このお姉さん、美人でナイスバディ、性格もいいようだ。九州弁(たぶん博多弁かな?)をしゃべっているのもポイントが高い。しかし、こういった人が来ることはまずないだろう(大事な事だから二度言った)。

 二人で会うことも多くなり、どんどん距離が近くなる二人。なにしろバレンタインのチョコをもらったり、二人で初詣に行ったり。主人公の年齢は良く分からないが、お姉さんの方が大分年上のようだ。だから完全に弟扱い。でも最後の方にある書おろし漫画でおねえさんがぽつりともらした「・・・同い年やったらなあ・・・」。いや世の中には、圧倒的に男が年上というケースが多いが、中には女性の方が大分年上の夫婦やカップルもいる。諦めたら、そこで終わりだよ。さてさて二人の仲はどうなっていくのかな。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

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