文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

鉄子の育て方 2

2023-05-11 08:34:13 | 書評:その他

 

 このお話、どマイナーな鉄道専門のケーブルテレビ局・鉄道テレビのたった一人の局アナの二郷あずさ(なんか懐かしさを感じる名前だな)の奮闘記である。

 何しろこのあずさ女子アナ志望で、ミスコン出場など、女子アナになるための布石を着々と打ってきたのだが、現実は厳しく、30局も落ちたあげくなんとか 鉄道テレビに潜り込む。元々は鉄道にまったく興味がなかったあずさだが、仕事を通して、色々な鉄道マニアとふれあい段々と鉄道の魅力に目覚めていく。

 鉄ヲタという言葉を聞いたことがある人も多いだろう。ディープな鉄道ファンに対して使われることが多いが、一口に鉄ヲタといっても、乗りテツ、撮りテツ、模型テツなど色々な種類があるようである。

 そのテツの区分として「音テツ」と言うのがあるのは知らなかった。音テツというのは、口から出す音で鉄道に関する色々なシーンを表現するものである。エアトレインともいう。

 鉄道テレビには、模型テツの専門家がいない。その理由は、奥が深すぎるので、飛び込むにはそれなりの勇気と覚悟がいるとのこと。ハマりすぎると家庭崩壊の危機も招きかねないという。

 ともあれ、あずさちゃん、順調に鉄子に育っているようです。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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幻影の手術室: 天久鷹央の事件カルテ

2023-05-09 11:53:07 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 現役の医師でもある著者の天久鷹央シリーズの一つ。この巻では、小鳥遊の天敵?の研修医、鴻ノ池舞がもう少しで逮捕されるところだった。

 舞が清話総合病院で虫垂炎の手術をしたのだ。なぜ、舞が自分が働いている天医会総合病院にかからなかったかというと、もし婦人科系の病気だったときに、知り合いに婦人科の診察を受けるのが恥ずかしかったらしい。天真爛漫、傍若無人に見える舞だが、そういった感情はあるようだ。普通は虫垂炎の手術は、日本では普通腰椎麻酔で行われるが、穿孔して、腹腔内が汚染されている可能性もあるということで全身麻酔で行われた。

 ところが、その手術が行われた第八手術室で、麻酔科医の湯浅春也が殺される。手術室には湯浅と舞しかいなかった。そして湯浅が殺される直前透明人間と格闘しているような姿がモニターに映されていた。湯浅はなぜか舞に筋弛緩剤を投与しようとしていた。

 舞が犯人とされたのは、湯浅と舞以外に手術室には誰もいなかったこと。湯浅が舞の元彼だったこと、そして舞が血だらけのメスを持っていたころからだ。しかし、全身麻酔から覚めたばかりの患者が、果たして殺人なんかできるだろうか。

 日本のミステリーには一つのパターンがある。警察が頓珍漢な決めつけをして誤認逮捕をするか、しようとする。専門家に意見を聞けばいいのに、プライドばかり高く、思い込みだけで無茶苦茶なストーリーを作って、無実の人間を罪に落とそうとする。そういったとき、正義の味方の名探偵役が現れ、見事事件を解決に導くのである。その名探偵役が鷹央と小鳥遊という訳だ。もちろん舞は無実。

 面白いのは、事件を捜査するため、小鳥遊が天医会をクビになって、スパイとして清和総合病院に送り込まれること。いつも鷹央に振り回されている小鳥遊だが、お守りも大変だねえ。まあ頑張れとしか言いようがないが(笑)。

 著者の持ち味である医療知識を取り入れた、医療ミステリーだろう。ミステリーマニアには、トリックを推理するのが楽しみと言う人がいる。でも、余程医療関係の知識がないとこのシリーズに出てくるようなトリックは見抜けないのではないだろうか。裏を返せば、そういうこともあるのかといい刺激になると思う。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

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フィナンシャル・タイムズ式 図解の技術

2023-05-07 11:56:58 | 書評:学術・教養(人文・社会他)

 

 「丸い卵も切りようで四角」とか「四角い豆腐も切り様で丸く」とか言う言葉を聞いたことがないだろうか。要するに同じことを表すにしても、表し方次第で効果が異なるということだ。そして何かを表すときに図解にするということはものすごく大切なことだ。「目は口ほどに物を言う」と言う言葉もある。本来の意味とは少し違うようだが、言葉で長々と説明されるよりは、図解にすると一目で分かるという経験をした人も多いだろう。これは理系の人が、言葉で長々と説明されるより数式一つ示してくれた方が、理解しやすくなおかつ厳密だということに似ている。
 本書は、著者がフィナンシャル・タイムズで使ってきた(ドラフト段階でボツになったものもあるようだが)データ・ビジュアライゼーションについて紹介したものである。このような場合には、こういったように図解した方が分かりやすいというように紹介されているので、常に本棚においてすぐに参照できるようにしておくことを推奨したい。
 残念なことに、データ・ビジュアライゼーションを悪用する人もいる。捏造はもっての他だが、データは正しくても自分に都合のいいような見せ方をしているものもある。本書を読めばそういった欺瞞を見抜くにも役立つだろう。また目立てばいいというようなものもある。例えば20頁に紹介されているようなもので、本書では「精巣円グラフ」と呼んでいるが、地の図としてパンツ(ブリーフ)が使われており、パンツの両側と脚の付け根の部分にグラフが描かれている。でもパンツを使う必然性はまったくない。こういったものも時折目にするのでご用心。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

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赤人の諦観

2023-05-05 11:52:25 | 書評:学術・教養(人文・社会他)

 

 山柿(さんし)の門という言葉がある。つまり山とつく人と柿のつく人は、歌人が参考にすべき人たちであり、歌の道とほぼ同義で使われる。柿はほぼ柿本人麻呂だとされているが、山の方は多くが山部赤人としているものの、山上億良と言う説もあるようだ。本書では山を山部赤人として扱っている。柿本人麻呂も山部赤人も代表的な万葉歌人である。そしてタイトルにある赤人とは山部赤人のことである。この書で展開されるのは故梅原猛さんの赤人論。

 定説では、赤人は自然詩人・情景詩人とされている。闘う哲学者である梅原さんは、これに異を唱える。赤人は、自然の背後にある神々や霊魂をみており、自然詩人というよりは、歴史詩人、叙事詩人、鎮魂の詩人と呼ばれるべきものだという。なにしろ「水底の歌」において、人丸刑死説を唱えた梅原さんだ。赤人論においても、定説に対して反旗を翻している。この辺りは、梅原さんの面目躍如というところか。

 梅原さんは、歌の解釈としての定説に異論を唱える。しかし、この方面には賀茂真淵の影響が強いことが分かる。これも大ボスの言う事が定説として扱われる人文系の学問の一つの特徴か。

 ただ、やはり扱う題材のせいだろうか。柿本人麻呂論と比べると、それほどショッキングな内容と言う気はしない。また、梅原節の特徴として、騙りすぎるのだ。この本にしても、文庫本ではじめにからあとがきまで450頁近くもある。しかし、よほど慣れた人でないと意味を取りにくいのではないかと思う。少なくとも私にはそうであった。そして多くの部分に柿本人麻呂がひき合いに出されるので、いったい梅原さんは赤人について述べたいのか人麻呂について述べたいのかと思ってしまう。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

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イジらないで、長瀞さん(6)

2023-05-03 10:14:12 | 書評:その他

 

 この物語は美術部の草食系男子八王子直人(通称センパイ)と1つ年下の肉食系ギャル長瀞早瀬(直人の呼び方は長瀞だが、友人からはハヤっちとかトロちゃんと呼ばれている)の織りなすラブコメである。

 実は二人は相思相愛なのだが、この長瀞さんなんともウザい。とにかくセンパイのことをキモキモとか言ってイジッてくるのだ。でもイジルのはセンパイ限定。興味の無い他の男に対しては塩対応。

 この巻では、部長(♀です)と美術部の存続をかけて文化祭で勝負をする。なにしろこの部長、美人なうえにボンキュボンという見事なスタイル。昨年は、後ろ向きの自分のヌードで文化祭6位になったらしい。ちなみに、有名な展覧会にも入賞しており、芸術作品として認められたから展示OKになったらしい。

 でも、今年の文化祭では、部長張り切りすぎて、長瀞フレンズに言わせると、エロ魔人がエロ魔王に進化したらしい。

 勝負は、部長の絵が風紀を乱すということで、風紀委員会からストップがかかりまさかの不戦勝。めでたく美術部は存続することになったとさ。

 部長の直人の描いた長瀞さんの絵を見て、「愛がある」と言われて二人は真っ赤。長瀞さん、ウザいのだが、読んでいるうちにだんだん可愛らしく思えてくる。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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桐谷さん ちょっそれ食うんすか!? : 15

2023-05-01 08:37:13 | 書評:その他

 

 桐谷さんは、フルネームを桐谷翔子といい、芝蘭高校一年の女子高生だ。普通の女子高生と違うのは、雑食つまりゲテモノ食いに命を懸けている(ちょっと大げさかw)ところ。容姿端麗なのだが、雑食に対する姿勢はすごい。なにしろ、ゲテモノの味が気になって仕方がないのである。雑食と見ると、とりあえず食べてしまえという感じなのだ。

 そして、そんな桐谷さんに巻き込まれて、雑食につき合わされるのが、芝蘭高校の生物部顧問の榊伸一先生。実は桐谷さんの兄である翔馬と榊先生は親友同士。この翔馬君、桐谷さん以上のゲテモノ好きで自由人。世界各地を飛び回りながら、妹のために変な食材を送りつけてくる。

 この巻では6つの珍食材が紹介されている。まず、ヒマラヤ山脈でとれる驚異のハチミツであるマッドハニー。合法的にトリップ出来るらしい。次に、小笠原諸島の貴重なタンパク源であったアオウミガメ。そして羊の胃袋を使った爆発するスコットランドの伝統料理ハギス。ジャコウネコの糞から取り出すコーヒーのコピ・ルアク、千葉県に増えているというキョン、そして、ハエの幼虫であるウジ。

 コピ・ルアクについては知っていたが、他にもブラジルのジャクー・バード、ペルーのハナグマ、ベトナムのタヌキの糞を使ったコーヒーもあるらしい。激レアとしてはゾウの糞を使ったコーヒーもあるらしいので興味のある人は探してみるのもいいだろう。

 キョンについては、昔「八丈島のキョン」というギャグがあったが、ついに千葉県にまで上陸したかという感じ。ウジも食べれば結構美味いらしいが、どうもあの見た目がちょっと。いや考えてみると、蜂の子とあまり変わらないのだが、やはり住んでいる環境を考えるとちょっと手を出す気にならないな。

 ともあれ、雑食に興味がある人には参考になることも多いだろう。あっ、これ食べられるんだという発見も。ぜひ試して欲しい、私は遠慮するから(笑)

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

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