小雨、19度、96%
香港にやって来た25年ほど前、小さな店先、スーパーの棚に並んでいるようなお菓子までもが物珍しく、お値段が安いのも手伝って、隅から隅まで食べ尽しました。あの頃はまだ、パイ地のようなお菓子はラードで作られていました。バタークリームだって有塩のマーガリンで作られていた時代です。今では、そんなお菓子探してもなかなか見つかりっこありません。ラードの香ばしさ、マーガリンのバタークリームの塩気が、なんとも懐かしく私の味覚に残っています。そんな中、スーパーの棚にあった新東陽というメーカのパイナップルケーキを買いました。裏を見ると、台湾のお菓子です。
パイナップルケーキは、 外側は、クッキー地。中にパイナップルのジャムが詰められています。初めて食べたとき、これが中華圏のお菓子かしら?と思ったほど新鮮でした。決して洗練された洋菓子のようなというのではありません。アメリカなどのジャムサンドクッキーとも違います。
長く香港にいるうちに、お土産でいただくことも多いパイナップルケーキです。地元の方達、皆さん贔屓のお店があるらしく、ここの店のがお勧めですと、お持ちくださいます。
確かにお店によって、外のクッキー地の堅さ、中のジャムの柔らかさなどが微妙に違います。ジャムとクッキーの量のバランスだって違います。このパイナップルケーキは、ホテルの手作りのものです。ジャムがたくさんで、外のクッキーはフォロフォロと崩れるくらいの固さです。
不思議なことに、パイナップルケーキは、どんなお茶にも合います。ブラックのコーヒー、緑茶、ストレートの紅茶、冷たいミルクだって。
外は毎日雨です。家でゆっくりと、パイナップルケーキでお茶をしていて気が付いたのですが、白状いたします。私、何処のパイナップルケーキもおいしく思われるのです。お持ちいただいたたくさんの方達には申し訳ないのですが、どれも美味しい。クッキーが堅かろうが、ジャムが少なくたって、どれもおいしく感じます。これは、私がよほどの味音痴なのか、もしくはよほどパイナップルケーキが好きなのか、いずれかでしょうね。まだ、結論が出ません。
昨年、やはり有名な李家のパイナップルケーキを5箱もいただきました。出来るだけ家人やモモさんにはあげずに、一人でせっせと食べました。二人とも太ってはいけません。食べ終わる頃、きっともう二度とパイナップルケーキはごめんだ、と思うだろうと思っていたのに、またしても、せっせと食べています。
初めて食べたパイナップルケーキの最初の一口、ミルクパウダーの香りがしました。