雨、21度、97%
数日家を空けて帰って来て、家の中に枯れかけた切り花を見るのは、惨めな思いがあります。それと同時に、旅の疲れまでもが一遍に体を重くします。
私が留守の間、家の世話をしてくれる人に、幾度となく花殻の始末を頼みました。タイ人の彼女、どうも私の旅から帰った時の心情など理解してくれないのか、枯れかけた花が残っていました。以来、家を空ける前には、切り花をドライフラワーにしたり、思い切って始末して出かけるようにしています。
日本で、春の花をたくさん見てきました。帰って来た香港は、もう半月近く雨続きです。家の中に花を迎えに、九龍サイドの花市に出向きます。この時期は、栽培もののあじさいや露地物の牡丹が出ているはずです。アレンジ用に1、2本から売ってくれる店もありますが、大概こうした店の花は古いものが多く、荷をおろしたばかりの12本、20本の新鮮な花の大束を求めます。それぞれの花の大きな束が、菊などは30包み以上もひとつの店の前に並びます。日本の花市を知りませんが、この光景は圧巻です。
目的もなく、花の束を覗き込みます。花市をひと回りして、今日は何を買うか決めるのです。こんなお天気ですから、出来るだけ明るい色の花を探します。ところが、トルコキキョウの花の中に、見慣れない色の花を見つけました。なんと表現したらいいか、そうそう、秋色あじさいのような色の花です。 華やかさとは対極にあるような花色です。初めて見る色のトルコキキョウ。明るさを求めてやって来た花市です。随分と、この色の花の前で悩みました。
トルコキキョウの中でも、新種のアンバーシリーズの八重咲きの花です。なんと、日本の方が一人で品種改良を試みているのだそうです。このアンバーダブルワインは、日本では3年ほど前から市場に出ていて、やっと香港にもお目見えです。私が求めたアンバーダブルワインは、中国の昆明から輸入されたものです。