小雨、18度、88%
イースターの4連休も、明日の清明節(日本のお彼岸にあたる先祖の墓を参る日)もずっと雨混じりの曇ったお天気です。例年のこととはいえ、少しは晴れ間が欲しくなります。そして、このジトジトが終わると、ドッと夏にになってしまうのです。この時期に、早く生まれて来た蝉たちは、雨の合間を縫っては鳴き、短い地上での生活を終えるのだろうと思います。
朝まで降っていた細かい雨が上がったので、ちょっと山へ足を向けてみました。舗装された道と高い高いビルばかりの間で生活していると、どこか生まれ持っている感覚が麻痺してしまいます。まさか、ビルの谷間で深呼吸する人はいないでしょう。そんな感覚です。
あいにく、山道だって舗装されています。 薄霞のひんやりとした空気の中を歩くうちに、体が息づき始めます。ゆっくり歩いているのに、額にはうっすら汗が。こんな空気の中をせかせかと歩くのは、もったいない。
土の匂い、春の落ち葉の湿った匂い、新芽の芽吹きの匂い、胸一杯に吸い込みます。ゆっくり歩いているので、足元の小さなものまで目に留ります。
蜘蛛の巣が、至る所にかかっています。雨上がりでなければ見落としてしまう蜘蛛の巣。雨が蜘蛛の巣にかかり、キラキラと光っているおかげで、その存在に気が付きます。
福岡の実家には、名前も知りませんが大きな蜘蛛が一杯いました。蛇の次に苦手なのが蜘蛛です。それでも、小さな頃は縁側に座って、蜘蛛が巣を張る様子を飽かず眺めていました。距離があるので怖くないのです。いつもボーッとした子でしたから、ボーッと感慨もなく見ていたのだと思います。
蜘蛛の巣のきれいさに気が付いたのは、大人になってからのことです。しかも、雨に打たれた後の蜘蛛の巣はひと際きれいに見えます。雨上がりがくれる幸せのひとつです。