曇り、19度、73%
上用でない和菓子、桜餅、柏餅、草餅などを食べたくなるのは、決まって香りです。ふっと思い出す香り、甘みより香りを食べているのかもしれません。
日本にいた頃、まだ小さかった息子と犬を連れて、多摩川の土手にヨモギを摘みに行きました。犬は、泳いで多摩川を川崎まで行き戻ってくるような犬でした。息子も一人で自転車で遊んでいます。私はヨモギ摘みに専念出来ました。葉先の柔らかいところだけを摘みます。家に戻って灰汁を抜いて、休みます。寝床の中でも、手の爪の先からはヨモギが香っていました。
母が入所する老人施設は、食べ物に寛容です。歳をとると少なくなる楽しみ、食べ物の楽しみが一番になるからでしょう。出される食事以外の物を摂る時は、自室で食べます。母が楽しみにしているのは、あん物です。しかも、小豆の粒あん。
香港から、昼前に福岡行きの直航便に乗ります。施設の夕食前に母のいる施設に着きます。母は私の顔を見るや、良く来たね、とか、お疲れさま、とかの挨拶もなく、持って来た?と聞きます。もちろんあん物です。空港から車に乗ると、お饅頭屋がないところを通ります。少しでも早く母のところに着くためには、香港から、あんもの持参です。
昨日は、昼過ぎから草餅を作りました。ヨモギは乾燥の物を使いますので、香りが頼りなげです。布巾に包んで形をとっていると、横から家人とモモさんが、ひとつふたつ、持って行きます。まだ暖かさの残る草餅は、ヨモギの香りが強くします。 会う度に食べられる量が減って来た母、今日は何個持って行きましょうか、草餅片手に飛行機に乗ります。