曇り、22度、92%
シナモンロールって、アメリカンぽっいパンだと思ってきました。おかあさんが、手際よくくるくると巻いたシナモンロールを天板一杯に並べて焼き上げる、おまけにアイシングシュガーたっぷりかけられて、みんなが奪い合って食べるようなイメージがずっと私の中にありました。映画の中でも、スパーで大きな買い物かごにこれまた、大きなシナモンロールのローフを入れるシーンを目にします。しかも、これを厚めに切って、朝食にフレンチトーストにして食べています。ああ、アメリカね、と思うシナモンロールでした。
「カモメ食堂」という映画を見たのは2、3年前のことです。たまには日本の映画を見たくなって、息子にDVDを送ってもらいました。一連の同じメンバーで作られた映画を一遍に見たのですが、「カモメ食堂」はなぜか何度も見てしまいました。映画自体は、さして興味がなかったのですが、カモメ食堂のキッチンの道具とお客が入るきっかけになったシナモンロールが、私の気を惹きました。卵焼き器は何処のかしら?とかいう具合です。
私の焼くシナモンロールは天板一杯のアメリカンタイプ、ちょっと、不格好なシナモンロールでした。でも、焼き上げる時のあのシナモンの香りは、特別です。「カモメ食堂」でも道行くご婦人たちを立ち止まらせたほどのいい香りです。この映画のフードコーディネーターは、飯島奈美さんです。映画を観た後、早速飯島さんのウェッブをひいてみました。ありました、カモメ食堂のシナモンロールのレシピが。なんと、生地にガーダモンが入っています。 インドのチャイには欠かせない甘い香りの高価な香辛料です。いつか、このガーダモン入りのシナモンブレッドを焼こうと思っていました。
先日、TESSA KIROSという人が書いた料理の本を読んでいました。彼女のおかあさんはフィンランド人です。そして、そのおかあさんから受け継いだレシピに、なんとガーダモン入りのシナモンロールがありました。「カモメ食堂」の舞台は、フィンランドのヘルシンキ。フィンランドにも、昔から伝わるシナモンロールがあるのね、となぜかワクワクする私です。
そこで、ガーダモン入りのシナモンブレッドを焼いてみました。 ガーダモンは、上の写真のようなさやの中に小さな種が入っています。それを取り出して、細かくつぶして、パンの生地に混ぜ込みます。フィンランド式は、アメリカとは違って、大きなロールを切って、ひとつひとつ形作ります。
焼き始めて、8分ぐらい経つと、シナモンとガーダモンの香りの合唱会です。素晴らしい香り、「カモメ食堂」のシーンが思い出されます。フィンランドのご婦人たちが、カモメ食堂の前で香りに釘付けされたあのシーンです。
香りも形も気に入ったガーダモン入りのシナモンロールですが、パンの食感が私には今ひとつ。このレシピを、自分なりに作り直してまた作ってみるつもりです。
香りはおいしさの大きな要因ですね。