曇り、15度、65%
日本にいると、中華料理は中華料理ひとつに納められてしまいます。中国は、あれだけ大きな国です。民族だって、56民族も住んでいます。一口に中華料理と言っても、地方地方によって違います。ここ香港は、広州、つまり、広東料理に属します。海に面したこの土地は、海のもの、山のもににも恵まれた土地です。広州の人は、昔から、この地で採れる牡蠣を食べて来たそうです。確かに、大きなものから小さな牡蠣まで生でも売られています。大きなものは、干物にしてスープの材料、小さな牡蠣の干物は、調味料として使われています。この干物を作るとき、一度茹でるのだそうです。この茹で汁のうまみを利用して作られたのが、牡蠣ソース、オイスターソースです。つまり、オイスターソースは、広東料理特有の調味料。
私たち日本人だって、牡蠣のおいしさはよく知っています。やさしい香りといい、自然な甘みといい。香港ではよく、オイスターソースを、さっとオイルを入れた湯で湯がいただけの葉物にかけて食べます。葉物は季節のものなら何でも良く、手に入りやすいレタスなどでも美味しくいただけます。
このオイスターソース、香港では、4つほどの会社からいろいろなものが出ています。食べ比べてみましたが、オイスターソースの老舗、李錦記のものをずっと使っています。李錦記は、広州からマカオを経て香港に拠点を移した、オイスターソースで身を興した会社です。李錦記からですら5種類のオイスターソースが売られています。見出し写真のものが、一番高いもので、安いものはこの値段の半分です。オイスターの成分や防腐剤、化学調味料が入る入らないで、値段が違うようです。
私がよく作る干焼伊麺、卵麺を揚げた伊麺と黄色いニラだけで作る簡単なものです。伊麺も黄色いニラもとってもやさしい味です。それを損なわないように、味付けは、オイスターソースだけでします。 料理の本には、お醤油や砂糖を加えたレシピーを見ますが、オイスターソースだけの方が、それぞれのうまみが際立つようです。
ピーマンと牛肉を炒める、チンジャオロースー。これだって牛肉の下味をつけるのに醤油を使う以外は、オイスターソースだけで美味しく仕上がります。
日本のスーパーマーケットの棚にも、李錦記のオイスターソースが見られるようになりました。国産メーカーのものよりお値段は高めですが、一度お試しください。中華の隠し味としても、味に奥行きを作ってくれる優れものです。