チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

ブタのぬいぐるみ

2013年04月17日 | 日々のこと

ガス、24度、93%

 私は、一人っ子です。そのうえ、家の近くの公立小学校に通っていませんでした。学校から家に戻っても、遊び相手はいませんでした。何をして、午後の時間を過ごしていたのでしょうか?いくら思い返しても、何をしてたか思い出せません。毎日のことだったから、それが当たり前でした。必ず、1匹か2匹はいる犬と話すこと、あとはボーッとしていたに違いありません。今でも、よく独り言を言うのは、小さい頃からの習慣です。

 その独り言の聞き役だったのが、ブタのぬいぐるみ、じろうです。ベットの枕元にたくさんのぬいぐるみがあったことは覚えていますが、その顔のひとつすら記憶にありません。もちろん、一緒に寝るのは、このじろうでした。旅行に行く時も、私のボストンバックを開けると荷物の一番上にじろうはいました。

 いつごろ、じろうが家に来たのかは覚えていませんが、父の東京からのお土産でした。自由学園で作られたぬいぐるみです。この赤いチョッキもその時のまま。耳の裏のピンクの色も、目のブルーも当時と変わりありません。何処にでも連れて行くので、すり切れたり、新しく来た子犬に噛まれたり、下手な手で繕われています。昔のぬいぐるみです、中に入っているのは、藁です。繕わないと、その藁がちくちくと肌を刺しました。

 実家の改築のため、本当に今後使う物だけを残し、改築の間、1年近くその荷物はよそに預ける事にしました。残すのは、家具と大きな焼き物、少しだけ残した本と当座使う食器ぐらいです。すっかり空になった本棚にここ数ヶ月、じろうは入ったままでした。最後は、残さない荷物に入れるつもりにしていました。

 来月、荷物の搬出をします。箱詰めした物をテープで閉める作業を、この2日の福岡滞在中していました。じろうを残して行くにしても、どんな形で置いて行けばと悩みながら、本棚を見上げます。硝子戸を開けて、じろうをしっかり見ました。小さい頃のように片腕でぎゅっと抱きしめたら、やはり、手放すことなんか出来ません。

 藁入りのブタのぬいぐるみ、よく今まで虫もつかずにいたものだと感心します。搬出する荷物に防虫剤と一緒に入れました。次に会えるのは一年近く先のことです。

 実家の整理のために、たくさんの思い出も随分捨ててしまいました。捨てるのが必要な物もありますが、捨ててしまって心の片隅に穴があいた物もあります。せめて、このブタのぬいぐるみじろうだけは取って置きましょう。

コメント
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