曇り、18度、79%
日本の家庭に観葉植物の鉢植えを置くようになったのは、いつごろからでしょうか?小さいながらも家に住んでいた日本人が、公団住宅などの地上から離れた庭もない生活故に、緑の鉢植えを家の中に置くようになったのかもしれません。
私が育った家などは、花は活けてありましたが、鉢植えの植物を家の中に飾ってはいませんでした。大学に入って一人暮らしを始め、初めて買った鉢植えは、観葉植物ではなく、ホークシャーの鉢でした。花が終わると、鉢は惨めになってしまいます。水やりを怠ると、すぐに枯れてしまいました。
そこで、目を付けたのが観葉植物。ポトスやエビネのようにグングン増える、育て方のやさしいものばかりでした。少し留守にしても、水をたっぷりあげると、また、元気になってくれます。育てるのが難しいとされていた観葉植物に、カポックやアジアンタム、フィカスプミラなどがありました。ひと鉢のお値段も、随分高かったものです。アジアンタムのやさしい葉の形が好きで、買っては枯らし、買っては枯らしてしまいます。そんな時、何かの本に、アジアンタムは、お風呂場で育てるのが良い、と書いてありました。高温多湿を好むからだそうです。お風呂場には、鉢が置ける場所などありませんでした。
香港に住むようになって、散歩の時などに見かける石垣に普通に生えている緑の葉っぱ、どう見てもアジアンタムです。しかも、鉢植えの小さいものしか見たことのなかった私、ゆさゆさと風になびくアジアンタムに感激しました。やさしげな葉の形もうす緑の色も、アジアンタムのそれです。香港では一年中、アジアンタムが石垣や塀の隙間に顔をのぞかせています。そうです、ある本に書いてあった通り、アジアンタムは高温多湿がお好きです。香港では、何処にでも見られせいでしょうか、アジアンタムの鉢植えなどありません。
所変わればとは、よく言ったものです。流石に私もアジアンタムは鉢植えでは家においていません。それでも、いろんな緑の植物をセッセと家に持ち込んでいます。ここも、土から離れたコンクリートの家です。緑のものを側に置いて、心も体も何か中和を計っているようです。