チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

生活の音

2013年04月09日 | 日々のこと

雨、18度、97%

 私の母が入所している老人施設は、ひとつのユニットに10人の老人が生活しています。食事をしたりする共有スペースの周りに、10の個室があります。施設内の廊下も含めてどの空間も、車いす歩行を考えたスペースのある作りです。ユニットの真ん中の共有スペースには、オープンタイプのキッチンがあります。ここで、10人の年よりの食事を、その時その時の担当の看護士さんが作ります。キッチンの脇には、洗濯機も備え付けられて、10人の老人の洗濯もします。ご飯を食べて寛ぐ場ですから、テレビも、昼間は一日中ついています。

 10人もの今まで違う環境で生活して来た人が、一堂に生活するのですから、生活の時間帯だってそれぞれです。何時から一斉に朝ご飯などではなく、起きて来た人、お腹の空いた人から順にご飯を食べます。ご飯が終わると、部屋に戻って自室のテレビを見る人、共同スペースで軽い朝寝をする人と、これまた自由です。

 共同スペースの外のベランダに、みんなの洗濯物が風に揺れる午後になると、午後の担当の看護士さんが、掃除機片手に各部屋を廻ります。ツルッとしたリノリュウム張りの床のほこりは、簡単に小型の掃除機で吸い取られて行きます。

 福岡に戻っている間は、時間があれば一日に時間帯を問わず、母の元を訪れます。一日中いたことはありませんが、空港に着いてそのまま一直線に施設に向かえば、夕飯の始まる時間ごろ母の顔を見ることが出来ます。

 各自の部屋のドアが閉まっていても、共同スペースの音は耳に入ってきます。洗濯機が廻ってるなとか、電子レンジの音だとか、甲高い看護婦さんの明るい笑い声まで聞こえます。普通の家庭での生活で聞こえる音、備え付け電話の音以外は全て聞こえてきます。午睡をとる母の側で椅子に座ってそれらの音を聞いていると、なんと落ち着くことか。

 先月、家人が体調を崩して家で数日休んでいました。疲れが溜まっています。寝るのが一番のお薬です。体が欲しているのでしょう、昼夜関係なく眠ります。

 こんなに長く家人が家にいたことがありません。いつもの時間に、掃除機をかけようとすると、ベットの上の家人は眠りに落ちたばかりです。我が家の掃除機は、電話の音も玄関をたたく音ですら聞こえないくらいの爆音を発します。家人が起きてくるまで待つことに、ところが、起きて来たので掃除機をかけますよ、と声をかけたものの、疲れている神経には掃除機の音が耐えられないようです。洗濯機の脱水時の金属音もジュウサーの音も、普段ならなんでもない音ですら、ズンと響くようです。

 我が家の掃除機や洗濯機、日本のメーカーのものではありません。香港で売られている日本メーカーの電気製品、中国やベトナムで作られたものは、日本製と仕様が違うようです。音がやさしい装置などついていないものが売られています。

 母の施設で聞く生活の音は、安心感を抱きました。同じような生活の音でも、体調が悪ければ、苦痛でしかありません。施設で使われている電化製品は、そういえば日本のメーカーのものばかりです。

 昔は洗濯機も掃除機もないのが普通の生活、生活の音も時代とともに変わって来ています。やさしい音、静かなこと、そういうことを考える年齢になってきました。

コメント
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