雨、21度、91%
香港から日本に向かう飛行機に乗ります。小1時間ほどすると、どんなにお天気が良好な日でも、少し揺れがくる場所があります。飛行機の窓から外を眺めると台湾の中部から南部にまたがる高い山の頂が見えます。雲が山の頂よりも低くたなびいています。
この光景を目にする度に、台湾の高い山に生えるお茶の木を思います。霞がかったような高地に生えるお茶の木の葉を摘むには、木に上って摘むのだと聞いたことがあります。
台湾の対岸中国の福建省からの一帯は、有名なお茶の産地です。必ずしも、中国茶ばかりではありません。紅茶も緑茶も作られています。そうは言っても、高地で採れたお茶の葉から作られるウーロン茶は、一度その魅力に憑かれると忘れられなくなってしまいます。そのお茶をどう表現したらいいものか。そう、熱いお茶を一口含むと、すっと透明な甘い香りがが拡がります。そして、体も頭の芯にも、お茶のように透明感が拡がって行きます。
台湾からのお土産で、王徳伝(伝は、古い字体の方です。)の阿里山の金菫のお茶をいただきました。王徳伝は古くからのお茶屋さんだそうです。
茶っ葉は、 しっかりと丸まったこの形。熱い熱い湯を注ぎ、時間をかけて葉を膨らませます。 茶の色は、薄からず、いい香りです。
口に含むと、全身に透明感が行き渡ります。ところが、飲み込むその前にフワッとやさしい香りがしました。お持ちくださった方が、ミルクのようなと仰っていた香りは、これでしょうか。不思議なバランスの良さを感じます。
こういういいお茶は、幾度も煎じることが出来ると言います。茶殻は、葉先の柔らかい部分を使っていることを物語っています。
一杯のお茶に、長い歴史や茶園で働く人のことを思いあわせて、時間を過ごします。
お茶は、毎日いただくものですから、自分では日常用のお茶には贅沢をしません。私のお茶好きをご存知の方が、こうして、珍しいお茶を運んで来てくださいます。
ひとしばらく、いいお茶を楽しませてもらいましょう。