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チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

志村ふくみの桜色

2013年04月30日 | 身の回りのもの

曇り、25度、97%

 桜花の満開を20年以上も見ていません。

 今年のNHK WORLD は、桜の特集番組が一杯でした。日本の南から北まで何度も何度も同じ番組を流してくれます。桜花を見ている時は、テレビで見ているのに無心になっています。本当に何も考えていません。空っぽ。もしかしたら口もポカーンと開けているかもしれません。桜の花色をピンクとは呼びたくないわねと、そんな時思いました。

 桜色です。桜色と口をついて出た時、思い出したのが志村ふくみさんの桜で染めた、桜色です。桜で染めると言っても、花びらからではありません。信じられないことに、あの桜の木の皮から煮出した液で染めるのだそうです。木の皮を取るのは、まさに桜が咲こうとしている時期、桜の木全体が、木の皮も含めて春には桜色になることを知りました。

 桜で染上げた紬はどんな色合いなのでしょう。桜の皮を剥ぎ、時間をかけて煮出した液に絹糸をつけ、洗い乾かし、それを織り機にかける、なんとも気の遠くなるような手仕事です。随分以前に見た志村ふくみさんの紬、着物の着丈分などとても手の届くようなお値段ではありませんでした。桜色ではありませんでしたが、蘇方色と萌黄色の紬でした。

 15センチ四方の古袱紗。これぐらいの大きさなら、小さな私のお財布でも、志村ふくみさんの布を買うことが出来るようです。残っていた数少ない古袱紗の中にあった桜色。早速送っていただきました。 まさに桜色です。手に取って、まず私がしたこと、恥ずかしいことに思いっきり匂っていました。もちろん桜の匂いなどするはずもないのにです。

  片面は卵色との振り分けです。

 来年の桜花の季節、また、日本に帰れなくてもこの古袱紗を毎日眺めることが出来ます。桜の命を分けてもらって染められた布です。

 主人が買って来てくれた八女のお茶を点てました。 焼き締めの茶碗が、桜色を映して晴れやかに見えました。

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