チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

アンバーダブルワイン トルコキキョウ

2013年04月20日 | 

雨、21度、97%

 数日家を空けて帰って来て、家の中に枯れかけた切り花を見るのは、惨めな思いがあります。それと同時に、旅の疲れまでもが一遍に体を重くします。

 私が留守の間、家の世話をしてくれる人に、幾度となく花殻の始末を頼みました。タイ人の彼女、どうも私の旅から帰った時の心情など理解してくれないのか、枯れかけた花が残っていました。以来、家を空ける前には、切り花をドライフラワーにしたり、思い切って始末して出かけるようにしています。

 日本で、春の花をたくさん見てきました。帰って来た香港は、もう半月近く雨続きです。家の中に花を迎えに、九龍サイドの花市に出向きます。この時期は、栽培もののあじさいや露地物の牡丹が出ているはずです。アレンジ用に1、2本から売ってくれる店もありますが、大概こうした店の花は古いものが多く、荷をおろしたばかりの12本、20本の新鮮な花の大束を求めます。それぞれの花の大きな束が、菊などは30包み以上もひとつの店の前に並びます。日本の花市を知りませんが、この光景は圧巻です。

 目的もなく、花の束を覗き込みます。花市をひと回りして、今日は何を買うか決めるのです。こんなお天気ですから、出来るだけ明るい色の花を探します。ところが、トルコキキョウの花の中に、見慣れない色の花を見つけました。なんと表現したらいいか、そうそう、秋色あじさいのような色の花です。 華やかさとは対極にあるような花色です。初めて見る色のトルコキキョウ。明るさを求めてやって来た花市です。随分と、この色の花の前で悩みました。

 トルコキキョウの中でも、新種のアンバーシリーズの八重咲きの花です。なんと、日本の方が一人で品種改良を試みているのだそうです。このアンバーダブルワインは、日本では3年ほど前から市場に出ていて、やっと香港にもお目見えです。私が求めたアンバーダブルワインは、中国の昆明から輸入されたものです。

  シックな色合いは、心弾むものではありませんが、花を身近に置くこと、花と一緒に呼吸出来ることに幸せを感じます。

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星期美點 陸羽茶室 香港

2013年04月19日 | 香港

雨、25度、98%

 香港のセントラル、二階建てトラムが走る道から2本ほど山よりの道沿いに、古くからの飲茶を食べさせる店があります。陸羽茶室、 茶経を書いた中国の陸羽の名前をとったお店です。80年近く続くお店だと聞いています。店の作りもさることながら、出される点心もオーソドックスな物が多いお店です。通りがかりにちょっとと思っても、予約で一杯です。格式があるというより、古くからの店構えにも、出す一皿にしても誇りを持った店といつも思います。

 早朝から10時30分、11時近くまでは、飲茶のトレイを年配のおばさんたちが押して来るスタイルの飲茶です。中身がなにか解らなくても、小振りな蒸篭の蓋を取って見せてくれます。トレイの前には、料理の名前が下がっています。この名札、私たち日本人が読んですぐに解るものです。材料の列記とでもいった方がいいでしょうか。翡翠のように青い、なんて装飾語が付いていません。

 香港の朝の飲茶は、こうした点心と熱いポットに入ったお茶を前に、ゆっくりと新聞を読みながら時間を過ごします。陸羽茶室では常連の席があり、どんなに人が並ぼうとその席は確保されています。

 さあ、11時が過ぎると、トレイを持ったおばさんたちは姿を消して、各テーブルには、その1週間のメニューが書かれた紙の束が鉛筆と一緒に、ポイッと投げられて行きます。それが、星期美點です。 この紙の上には、何月何日から何日までと記されています。星期、1週間のことです。美點、おいしい点心。つまり、星期美點は、1週間のおいしい点心のことです。一皿、ひと蒸籠がいくらと書かれるようになったのはここ数年のこと。

  こちらは、20年以上前の星期美點です。値段も、注文の個数を書く括弧もありません。このメニューも、早朝のトレイの名札と同じで、材料が書かれています。定番のメニュウ、塩味の点心、麺やご飯もの、甘い点心とそれぞれ区切られて書かれています。

 香港にやって来た当初から変わらぬもののひとつが、この星期美點です。大きな飲茶屋さんでもトレイを廃止して注文スタイルに変わったところもあります。同じ注文スタイルでも、陸羽茶室は一貫してこの星期美點スタイルです。

 我が家から歩いても15分ほどの陸羽茶室ですが、そんなに頻繁に訪れるわけではありません。大事なお客様をお連れする時だけです。そんなわけで、流石の私も大事なお客様を前にして、点心の写真を撮ることは出来ません。でも、この星期美點、必ず一枚ちょうだいして来てとってあります。お客様たちにも、記念にお持ち帰りください、とお勧めします。旅の思い出にと思うのですが、本当に大事に思っているのは私だけかもしれません。この25年以上で少し溜まりました。

 少し暗めの店内、夏になれば天井の大きなファンが舞います。昔はテーブルの足元には痰壷が置かれていました。流石に10年前のサーズ以来、姿を消してしまいました。

 11時前はおばさんたち、11時を過ぎるとおじさんたちが忙しく立ち働いています。ピーク時には、あのうるさい広東語が部屋中を満たします。こちらだって、負けずに声が大きくなります。フュージョンされた飲茶ではありません。ゆっくりと周りの人たちを見ながら、同じペースで飲茶するには、本当にいい空間です。

 電話での英語の予約は、かなり難しいと思います。平日の11時前ならば、飛び込んでも座れる確率が高いようです。香港の古き良き時代の名残をとどめた飲茶屋です。

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春の花 日本

2013年04月18日 | 

小雨、24度、99%

 桜が満開に時期に、日本に戻りたいなと毎年思います。今年は、月に一度帰国しているにもかかわらず、その桜の一番きれいな時を逃してしまいました。まだ息子が小さくて、東京に住んでいた頃のことです。我が家から一歩道に出るとお向かいの玄関先の桜が、坂のある道沿いの家々に桜の花が見られます。朝息子を幼稚園に送って行くのは、犬の散歩も兼ねていました。息子を幼稚園に入れたあとは、てつという名前の犬と二人、桜咲く公園を散歩します。あの頃は公園にも犬が入ることが出来ました。そんなに桜で有名な公園ではありませんが、多摩川を見下ろす高台にあるその公園の桜は見事でした。早朝、夜中に通れば、うっすらと桜が匂います。あの頃の毎年の桜が、もしかしたら、私にとって一生分の桜だったのかな、と思えるくらい桜を身近に感じていました。

 でも、3月4月にかけては、桜ばかりが花ではありませんね。香港にいると、四季の花の移り変わりに疎くなってしまいました。一年の4分の3も咲き続ける花がある土地です。福岡では、日当りのいい場所のツツジは満開でした。香港のツツジの倍もある大きさです。

 コデマリが、 垣根に咲く花だなん忘れていました。花市にほんの僅かの間だけ入って来る買ってくる花だと思い込んでいましたからね。

  ドウダンツツジの花も久しぶりに見ました。

  アメリカンハナミズキの花です。まだ、低い木なのでこうして写真が撮れましたが、とても高い木になるようです。土佐ハナミズキより花が小振りでしょうか。

  この花と見出し写真の花の名前が解りません。どなたか教えてください。

 花を見て怒る人はいないでしょうが、この季節の新緑は、花とは違った美しさを感じます。桜が終わったあとの桜の新芽、柳の柔らかな新芽。 実は香港には、モミジがありません。秋のモミジもきれいですが、新緑のモミジはまた別の趣です。小さな種がもう付いています。葉の形も可愛いモミジです。

 考えてみると、昨年もこの時期に帰国しています。でも、これほど花や緑を思う間のない帰国でした。花や緑を愛でるのは、心の余裕が必要なのですね。来月もまた日本です。実家の荷物の搬出で、私の心は余裕がなくなっているはずです。今回の帰国、短い時間でしたが、きっと神様がくれた余裕の時間だったと思っています。

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ブタのぬいぐるみ

2013年04月17日 | 日々のこと

ガス、24度、93%

 私は、一人っ子です。そのうえ、家の近くの公立小学校に通っていませんでした。学校から家に戻っても、遊び相手はいませんでした。何をして、午後の時間を過ごしていたのでしょうか?いくら思い返しても、何をしてたか思い出せません。毎日のことだったから、それが当たり前でした。必ず、1匹か2匹はいる犬と話すこと、あとはボーッとしていたに違いありません。今でも、よく独り言を言うのは、小さい頃からの習慣です。

 その独り言の聞き役だったのが、ブタのぬいぐるみ、じろうです。ベットの枕元にたくさんのぬいぐるみがあったことは覚えていますが、その顔のひとつすら記憶にありません。もちろん、一緒に寝るのは、このじろうでした。旅行に行く時も、私のボストンバックを開けると荷物の一番上にじろうはいました。

 いつごろ、じろうが家に来たのかは覚えていませんが、父の東京からのお土産でした。自由学園で作られたぬいぐるみです。この赤いチョッキもその時のまま。耳の裏のピンクの色も、目のブルーも当時と変わりありません。何処にでも連れて行くので、すり切れたり、新しく来た子犬に噛まれたり、下手な手で繕われています。昔のぬいぐるみです、中に入っているのは、藁です。繕わないと、その藁がちくちくと肌を刺しました。

 実家の改築のため、本当に今後使う物だけを残し、改築の間、1年近くその荷物はよそに預ける事にしました。残すのは、家具と大きな焼き物、少しだけ残した本と当座使う食器ぐらいです。すっかり空になった本棚にここ数ヶ月、じろうは入ったままでした。最後は、残さない荷物に入れるつもりにしていました。

 来月、荷物の搬出をします。箱詰めした物をテープで閉める作業を、この2日の福岡滞在中していました。じろうを残して行くにしても、どんな形で置いて行けばと悩みながら、本棚を見上げます。硝子戸を開けて、じろうをしっかり見ました。小さい頃のように片腕でぎゅっと抱きしめたら、やはり、手放すことなんか出来ません。

 藁入りのブタのぬいぐるみ、よく今まで虫もつかずにいたものだと感心します。搬出する荷物に防虫剤と一緒に入れました。次に会えるのは一年近く先のことです。

 実家の整理のために、たくさんの思い出も随分捨ててしまいました。捨てるのが必要な物もありますが、捨ててしまって心の片隅に穴があいた物もあります。せめて、このブタのぬいぐるみじろうだけは取って置きましょう。

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萬行寺のとら その後

2013年04月16日 | 日々のこと

腫れ、16度   福岡

 福岡に帰って来ると、歳とった両親たちや実家の改築といった細々したことを片付ける合間を縫って、必ず行く所があります。私の父のお墓です。博多の真ん中、お墓掃除をしているとお寺は外は高いビルばかりです。大きなクスノキの下に墓はあります。春先はこのクスノキの落ち葉が多く、クスノキで一休みするからすや鳩の糞で墓石が汚れることもしばしばです。

 父が亡くなった歳をもうすっかり上回った私です。父がガンで闘病中、まだ中学生だった私は、家で休む父のことを疎ましく感じていました。病人が家にいるとある、あの重い空気がどうも嫌いでした。そんな私の気持ちは、きっと、父は知っていたと思います。こんなこと、私もこの年になるまで人に言えませんでした。申し訳なかった、と思う気持ちがあるからでしょう、今回みたいな短い滞在中でも、お墓の門が閉まる時間の前には滑り込みます。門前の花屋さんも、社務所の人も小さい頃からの顔なじみです。

 あと一人ここ数年の顔なじみが、こちら  とらさんです。

 2年ほど前から体調を崩したとらさん、お寺の門をくぐると必ずとらさんを探します。今年に入って、家のことで、ひと月に一度は福岡に戻っています。それでも、衰えのひどくなったとらさんに、この次はもう会えないかもしれない、この冬を乗り切って欲しい、とか思いながらお寺をあとにします。

 昨日の昼間はかなり気温が上がって、木の芽が匂う春の日でした。時間ギリギリにお墓に向かいます。私が出てくるまでは、お寺の人は門を閉めません。それを知ってるだけに、花を抱えて小走りです。走りながらとらさんの名前を呼びました。駐車場の入り口にいました。写真なんて撮ってる場合ではないのですが、パチっ。

  お墓から出て来ると、もうこれ以上お寺を尋ねてくる人はいないと知っているのか、本堂の前にのびのびと休んでいました。大きな猫です。大きいだけに、お腹の落ち込みや毛艶がなくパサパサしているのがかえって目立ちます。まだ、一週間に一度、病院通いだそうです。

 先月、まだ寒かった夕方、 社務所の前で私を見送ってくれたとらさん、来月も来ますよ、元気でいてちょうだい。

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オンライン チェックイン

2013年04月15日 | 旅行

晴れ、13度      福岡

 昔、海外に旅行に行くとなれば、まず、エアーチケットを、旅行代理店やエアーアラインで買いました。横長の、小切手より大きめのチケットでした。旅行中の全てのチケットが1冊になっている場合もあって、これを無くすわけにはなりません。このチケットを持って、飛行場のカウンターで、チェックイン。やっとここで、飛行機の座席が決まって、やはり横長のボーディングパスがもらえます。チケットを買う時は、まだ、現金でした。

 そのうちに、旅行代理店やエアーラインの窓口まで出向かなくても、エアーチケットを予約すること出来るようになりました。それでも、発券されたチケットは、配達されたり、取りに店まで出向きました。そこで、現金なりカードでエアーチケットを買いました。

 ここ数年、オンラインで、エアーチケットを買うと、支払いは、カードで自動的に引き落とされます。発券された、eチケットは、 メールに添付されて送られてきます。このeチケットを持って、飛行機に乗る前にチェックインして、ボーディングパスをもらいます。eチケットは、プリントアウトして携帯したほうが無難です。なくても、パスポートだけでもボーディングパスを発券してくれますが、オーバーブッキングなどの問題が起きた時には役に立つようです。そして、家庭にプリンターがあるというのが前提の話です。

 香港について言えば、エアポートエクスプレスの香港、九龍の2つの駅と空港でチェックインが出来ます。ここで、ボーディングパスをもらい荷物も預けることが出来ます。

 昨日、福岡に戻ってきました。ひと月ほど前に、旅行会社からeチケットが送られて来ていました。旅行会社が気を利かせてくれて、最近は既に私の座席は決まっています。ところが、4日前、航空会社からメールがやって来ました。 家のPCから、チェックイン出来るというのです。座席は既に決まっているのですが、私はもっと前方に座りたかったので、この画面を進めて行きました。座席を前方に変更、さて、ボーディングパスはどうするのかな?2通りの選択がありました。携帯に、ボーディングパスを転送する方法。もう一つは、家でプリントアウトです。携帯に転送したのですが、あいにく私の携帯はQRコードを読み取ることが出来ないので、不可能。そこでプリントアウトしたのが、 こちらです。荷物を預けない人は、この紙切れを持って、ゲートに30分前までに行ってください、と書かれています。ちょっと、不安でした。チェックインのために並ぶことを考えると、時間の節約です。

 ペーパーレスにはまだまだですが、昔のことを考えると本当に便利になりました。

 

 

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草餅

2013年04月14日 | 菓子

曇り、19度、73%

 上用でない和菓子、桜餅、柏餅、草餅などを食べたくなるのは、決まって香りです。ふっと思い出す香り、甘みより香りを食べているのかもしれません。

 日本にいた頃、まだ小さかった息子と犬を連れて、多摩川の土手にヨモギを摘みに行きました。犬は、泳いで多摩川を川崎まで行き戻ってくるような犬でした。息子も一人で自転車で遊んでいます。私はヨモギ摘みに専念出来ました。葉先の柔らかいところだけを摘みます。家に戻って灰汁を抜いて、休みます。寝床の中でも、手の爪の先からはヨモギが香っていました。

 母が入所する老人施設は、食べ物に寛容です。歳をとると少なくなる楽しみ、食べ物の楽しみが一番になるからでしょう。出される食事以外の物を摂る時は、自室で食べます。母が楽しみにしているのは、あん物です。しかも、小豆の粒あん。

 香港から、昼前に福岡行きの直航便に乗ります。施設の夕食前に母のいる施設に着きます。母は私の顔を見るや、良く来たね、とか、お疲れさま、とかの挨拶もなく、持って来た?と聞きます。もちろんあん物です。空港から車に乗ると、お饅頭屋がないところを通ります。少しでも早く母のところに着くためには、香港から、あんもの持参です。

 昨日は、昼過ぎから草餅を作りました。ヨモギは乾燥の物を使いますので、香りが頼りなげです。布巾に包んで形をとっていると、横から家人とモモさんが、ひとつふたつ、持って行きます。まだ暖かさの残る草餅は、ヨモギの香りが強くします。 会う度に食べられる量が減って来た母、今日は何個持って行きましょうか、草餅片手に飛行機に乗ります。

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栗と鶏のシチュー

2013年04月13日 | 料理

曇り、17度、64%

 香港は亜熱帯です。ややはっきりしない四季があります。地元で採れる野菜や果物も、日本のように季節感あふれるものではありません。例えば、タケノコも一年を通して、市場で売られています。栗だって、真夏を除いて皮付きの栗があります。実際に生っているところを見るわけではありませんが、冷蔵保存で一年中出荷などと言う、日本のようなハイテクは存在しないようです。

 今回使った栗は、そんな香港の栗ではありません。 フランスのすぐに食べられるようになった真空パック入りの栗です。500g入り、250gがふたパック入っています。春先に栗なんて買おうとは、私なら思いません。しかも随分のお値段です。当然これを買ったのは、家人。支払いも家人ですが、これを使って料理するのは私だとは、すっかり忘れていました。私が思いつくのは、栗のお菓子ばかりです。なにか、料理を作って、とご希望の家人。そう言えば、フランスの煮込み料理にブタと栗を使ったものがあるのを思い出しました。フランスだって栗は、秋の産物です。正式なレシピによると、豚肉と栗、山のように一杯のきのこを使うと書かれています。きのこまで入れると、まるで秋の一皿になります。そこで、ブタを鶏に代え、きのこを省いて作ってみました。

  フレッシュなハーブをガルニして、よく脂を落とした鶏肉とワインで煮始めます。栗は、そのままでも食べられるようになっているので、最後に加える事にします。コトコトと、1時間以上煮ます。 本を読んでいても、お昼寝をしていてもガスのことを気にしなくてもいいように、フィンランドからやって来たトナカイさんに、煮こぼれ防止の番をしてもらいます。

 味付けは、我が自家製デミグラスソースです。日本の煮物、中華の煮物と違って、洋風な煮込みものは家の中のにおいがぐっと良くなります。きっと、お醤油を使わないからでしょうね。最後に、栗を加えて塩こしょう。

 この栗は、ホックリした栗ではありません。お豆にも2種類あるように、小豆タイプではなく、黒豆のような食感です。栗の甘みが全体に拡がっています。 一晩置いたせいもありますが、鶏にも栗にも、ソースの味が馴染んで、上出来です。

 あと半分残った栗、さて何に使いましょうか。

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血圧計

2013年04月12日 | 日々のこと

雨、16度、99%

 まだ、走り始めたばかりの頃でしたから15,6年前の話です。長距離なんて走れないと思っていただけに嬉しくて、タイムウォッチ付きのGショックなど付けて走っていました。走り始めて、ピッ。終わると、ピッ。家に着くと、ご丁寧に書き留める始末です。そうすると、前日より遅いと、なぜか気になります。どうして遅くなったのかな?早い分には、気にならないのに遅くなると、一日なぜかな?と考えている有様です。レースに出るわけではありません。そんなに数字にこだわらない自分のはずでした。なんだか、縛られているようで嫌になって、ちょっと珍しいGショックは、教えていた子供にもらってもらいました。

 体重を落とさなくてはいけない人が、毎日体重計に乗っても変化がなかったり、逆に増えていると、やる気をなくすと思います。それでも、体重を減らさなくてはいけない人に、体重計に乗って、記録をつけなさいというのを耳にします。糸井重里さんは、一日2回体重計に乗るだけであの体型を維持なさっているとのこと、何かで読みました。維持するのと、体重を減らすのとでは意味が違います。たった、500gという数字に、縛られるのはごめんです。体重計に乗れさえすれが体重が減るのならいざ知らず。

 我が家に、血圧計がやって来たのは10年以上前のことです。シンガポールから、予定より一日遅れで戻って来た家人の荷物の中にありました。詳しい事情は忘れましたが、具合が悪くなった家人は、空港の医師に、一日飛行機を遅らせるように言われたそうです。その医師の勧めで買った物かどうかは、定かではないのですが、持ち帰ったこの血圧計を使っている家人を見たことは一度もありません。

 理由を家人に尋ねたこともありません。毎日計れば、血圧が下がるものでもないし、調子が悪くなって、血圧を測れば、その数字にビックリするだけです。これまた、数字にがんじがらめにされてしまいます。この血圧計を、 定期的に使っているのはこの私です。ただ、チェックのためだけに使います。もともと低い血圧です。低くて、支障が出たこともありません。数字を見ても、何の感情もなく、血圧計をもとの場所に。糸井重里さんの体重計と同じです。

 何事によらず、数字が持つ意味は大きいものがあります。受け留める側の意識の違いで、サラッと流せる数字と、思考回路をぐるぐる回りする数字があるわけです。

 若い頃だと、数字にこだわるのもいいかもしれません。この年になると、数字より、それに縛られることの方が負担になります。体重なんて増えると、スカートのウェストが知らせてくれます。アバウトにものを捉えることの、大切さに気付き始めました。

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おから

2013年04月11日 | 料理

小雨、18度、74%

 中華圏に住む日本人にとって、お米、お醤油、お豆腐が味は異なっても手に入ることは、西洋圏に住む人たちと違って大きなメリットです。体調を壊したりすると、欲しくなるのはご飯です。日本のものが少なかった頃から、長いことこうして香港に住んでいられるのは、食の基本が似ていることにあると思います。

 お豆腐、西洋でも高タンパク、低カロリーと人気の食材で、日本から牛乳パックのようなものに入ったお豆腐は以前から輸出されていました。香港の地元のお豆腐、スーパーなどで売られているパックに入ったもの、市場で売られている目の前で切ってくれるお豆腐があり、堅いのから、柔らかいもの、味のついた保存用のお豆腐まで、好みで選ぶことが出来ます。

 それだけ、お豆腐があるのにおからを見かけたことがありません。市場のお豆腐屋さんには暖かいお豆腐が並びます。でも、売っているだけで、お豆腐は何処からか車で運ばれてきます。スーパーのお豆腐は工場の量産品です。そういえば、おからの料理が存在しないことに気が付きました。

 香港は豆乳の消費も多く、夏は、冷たい豆乳を飲ませてくれるスタンドもあります。そんな店の店先におからが発泡スチロールの入れ物に入って、かんかん照りの中道端に置かれているのを見つけたのは、20年以上も前のことです。自分の店で大豆を絞っていたのですね。そこで、おからを分けてくれないかと、へたくそな広東語で頼みました。頑として、断られます。何度かその店の前を通るうちに、おからを回収して行くトラックを見ました。どうも、ブタのえさに売っていたようです。この永い香港生活で、地元のおからを見たのは後にも先にもこの店だけでした。

 日系のスーパーが、日本人が作る豆腐屋をオープンしたのは、15年ぐらい前でしょうか。豆腐一丁の値段は、市場で買うものの5、6倍します。それでも、おからのおまけがついてきます。時には、思いきって高いお豆腐を求めます。

 昨日も、卯の花作りに励んでいました。家人の健康を考えて、薄味に仕上げなくてはなりません。冷蔵庫を覗くと、前日に作ったおそばの出しで使った、味がついたおかかが一杯残っています。鰹節から自分でひいたおかかです。決して粗末にしません。そうだ、このおかかで味付けを、見事な主婦発想です。勢いよくおかかを、おからの中に入れました。かき回しているうちに、卯の花にしては少し色黒です。味も薄い上に、色黒の卯の花じゃねえ、とまた冷蔵庫を覗き込みます。

 そこで、蝦と錦糸卵をのっけて、 色黒卯の花をおめかししました。

 きっと、香港中のおからは、今でもブタのえさになってるでしょう。私たち、日本人がこんなふうに食べるのを知ったら、香港の人たち、大笑いですね。

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