チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

シルバ-クロス

2015年04月10日 | 日々のこと

小雨、17度、91%

 今年の香港のイースタの休暇は、いいお天気に恵まれました。お天気がいいばかりか、空気がカラッとしていました。3日ほど、窓を開け放します。お天気がよくても、湿度が今日のような日は、窓が開けられません。除湿器がフル回転。お天気がよくて、気温がグングン高くなれば、これまた、窓を全部閉めて、クーラーフル回転。今日は肌寒く、湿度も高いので、窓を閉めて除湿器です。

 窓を開け放って、春の明るい日差しが家の中に入って来ると、何となく家の隅々の薄汚れが急に目立ちます。お掃除をさぼっていたわけではありません。寒いのと冬場の日差しと体を縮こめているからでしょうか、春になると感じる家の汚れです。汚れてるなと思うと、気になります。でも、お休みで、掃除をしてると嫌がる方が家に滞在しています。いない時を見計らい、いざ掃除。食器棚の前に立つと、これまた、食器棚の中が薄暗く見えました。それもそのはずです、銀器が薄黒く、物によっては黄ばんだような変色が出始めています。要するにピカーンと光っていません。銀器を売っているお店の方など、毎日使えば磨く必要がありませんよ、などとおっしゃいますが、いえいえ、気温差、湿度の差で銀器には変色が出ます。シルバ−クロスという、研磨剤入りの柔らかい布を出して来て磨き始めたのですが、思うようにピカーンと行きません。このシルバ−クロス、もう一年は使っています。

 そこで、シルバ−クロスを新調しようと近くのスーパーに行きました。地元の大きなスーパーが2つ近くにあります。掃除用具の棚、シルバ−磨きのものが一つもありません。そこで、日系の大手スーパーに、またしてもシルバ−クロスが見えません。そんなにお安いものではありませんが、中国返還前は何処の小さなスーパーにも置いてあった商品です。つまり、シルバ−好きのイギリスの方達、ピカピカに磨くのがお好きです。返還後、確かにイギリス人が減って来ているのは感じます。あれほどあった洋食器屋さんも今では、当時の四分の一ほど。シルバ−を扱うお店もぐっと減りました。香港で一番お金を使う中国からの旅行者は、食器にも銀器にも目を向けそうにもありません。

 シルバ−クロスは、所詮、掃除用具で使い捨てです。クリストフルで高いシルバ−クロスを買う気のない私は、探しに探しました。見つけたのが見出し写真のドイツ製。まあ、買い易いお値段でした。厚手のネルの布でとても大きく、半分に切って使いました。お買い得だったようです。液状の汚れ落としは家にあるのですが、スプーンやフォークの口に持って行くものに使うのには抵抗があります。イギリスの方達は液状のシルバ−磨きにドボンと漬けて拭き取るだけで使います。

 5日間のお休み、主人がゴルフに出かけた隙に、家中のシルバ−を出して来て磨きました。新しいシルバ−クロスの仕事ぶりは上々。片端からピカピカになります。ピカピカを見ていると、自分の心までピカピカになったような嬉しい気持ちです。皆さん勢揃いして記念撮影、パチリ。

 シルバ−磨きが面倒でと言われます。シルバ−クロスで磨いただけでも、私の指先は真っ黒。研磨剤のせいで、乾燥したようになります。それでも、ピカピカのシルバ−が好き。磨いている時間も好き。ゆっくりした時間の流れでした。

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ブログを始めて五年ほどになりました。

2015年04月09日 | 日々のこと

小雨、16度、90%

 ほぼ毎日ブログを書くようになって五年が経とうとしています。Wi-Fiなんてこんなに普及していませんでしたから、旅先ではアップできないこともありました。私自身のモバイル環境もこの五年間で変わってきました。ブログのために調えたモバイル環境ではありません。ブログがTwitterやFacebookに連携されるようになったのも、そんなに古いことではありません。知らない方に見ていただけるようなことも書いてはいません。自分の半径3m以内のことしか目が届かない私です。遠くにいる友人、香港を離れた友人、そんな少しの私の友人に宛てた毎日の手紙のようなものでした。

 知らない方からコメントを頂いて、びっくりするやら嬉しいやら。コメントのお返事の書き方すら初めは戸惑いました。そんな私に、飽きもせずコメントを続けてくださる方が二人います。このお二人は、私のブログのよき読者です。そして、きっと書いている本人よりも客観的に見てくださって私の日々の移ろいや、心情の変化も見逃さないでいてくださるような気がします。その上、ありがたいことに、香港にまで会いに来てくださいました。こうして振り返れば、五年ほどのしかも、PCの字面だけのお付き合いですが、なんだか、凄く長い付き合いの友人のような気がします。子供の頃から知ってる友人、若くて朝まで遊んでいた頃を知っている友人、そんな懐かしさを時にはこの二人に感じます。

 朝、PCに向かってキーを叩くとき、お二人のうちのどちらかをはっきりと思いながら書いていることがあります。コメントをくださるといっても、皆さんお忙しいから毎日ではありません。私も都合で書けない日もあります。そして、私のアップが少しでも遅れると、私の体調を心配してくださいます。

 先日、お一人の方から、最近の私のブログが難しくなって来たと指摘を受けました。そういえば、この2年のうちに身内を二人見送りました。息子が結婚をし孫が生まれ、家族の数は変わりません。そんなことをつらつら考えていました。

 取り留めも無くつらつら考えていると、膝の上ではモモさんが寝ています。モモさん、元気ですが歳をとりました。主人も今まで以上に忙しい仕事の反面、家で寛ぐ時間が増えました。私だって、仕事を辞めて2年、体力的なことを考えると、いい時に辞めたかなとも思います。仕事を辞めるのを待っていたように、母が逝き、その残務整理にかかりました。やっと一仕事終えたかなと思うと、義父が逝きました。雑務は全て私が片付けます。きっと、仕事を続けていたら、出来なかったことばかりです。日本に帰っても友人に会うどころか、ちょっと足を伸ばしてどこかに行くこともありません。

 パンを焼く、お菓子を作る、チクチクをする、考えれば今に始まったことではなく、仕事をしていた時も自分のパンは自分で焼いていましたし、チクチクもやっていました。友人が、最近の私のブログが難しくなったと言ったこと、もしかしたら、私の中で沈滞していいたことが年齢とともに出たのかもしれません。それは、取りも直さず、私の疲れではないかしらと思います。ちょっと、心に苦しい所を感じます。行き詰まりとでも言いましょうか。

 五年間といえば、香港の生活の6分の一近くの時間です。昨日、時折通る公園の木に白い花を見つけました。その木の名前を知りません。これだけいるのに、広東語がまだうまくなりません。急に涙がこぼれました。私って、こんなものかなって。

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抹茶とバニラのマーブルアイスクリーム

2015年04月08日 | 菓子

小雨、19度、74%

 長い連休がやっと明けました。晴れ渡った気持ちのよい天気に恵まれた香港ですが、日本同様、今朝起きると急に涼しく感じます。昨日まで、短パンにノースリーブだった私も、今朝はいそいそと袖付きの服を出してきました。日本の友人の家の周りは雪景色。天気予報では、大型といわれていた台風が、フィリッピン沖で消滅したそうで、台風の心配は無くなりました。ここ数日、涼しい天気が続く香港です。

 暑くなると家の中でも、ハッ、ハッ言って歩く方がおります。それを聞いているだけで、こちらまで暑くなります。その上、暑くなり始めると、甘いものも餡ものよりはクリームものが欲しくなるのも必定。で、アイスクリームを作りました。

 卵の黄身とお砂糖、ミルクのミックスしたものをアイスクリームメーカーに入れて作ります。抹茶のアイスクリームを作ろうと思ったのですが、抹茶ばかりでは飽きがすぐにきそうです。それに、ハッ、ハッの君のモモさんに抹茶ばかりでは申し訳ない気がします。そこで、抹茶とバニラを別に作って、冷やし固める時にグニュグニュとかき混ぜて、マーブル模様にしてみました。 アイスクリームは混ぜるもので色々楽しめます。抹茶バニラ、なかなか美味しい。ゴルフからお戻りの人も早速ご試食を。

 でも、しばらくまた冷凍庫で待っててください。涼しい風がそよそよ吹いている、連休明けの香港です。

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国境を渡る 2

2015年04月07日 | 香港

曇り、24度、87%

 私が、深圳に足繁く行かなくなったのはモモさんがやって来たからです。この10年、中国は大きく変わりました。中国人が観光や買い物で香港にやって来ます。日本でもさんざん言われている通り、中国人観光客のマナーは最低です。30年近く昔の香港人のそれよりひどいとまで思います。その中国人を見るにつけ、私は段々中国の人がイヤになっていました。ここ香港の人たちですら、中国人の観光客を歓迎しないのです。小さな日の丸の旗を持った日本人が世界中に団体旅行で行っていたあの様子とは、全く違います。イヤな気持ちは、私に中国に行く気を失せさせていました。

 日本にいれば、国境を越えるということは、飛行機、船に乗ってに限ります。日本を出国して、しばらく乗り物に乗り、他所の国に入国するのです。ヨーロッパや南北アメリカのように、陸路、他の国に行くことが出来ません。ですから、降り立った他所の土地が空気も違う、光の色までも違って感じるのは当たり前のことです。ところが、たった境界線を越えただけで、吹く風の重さまで違って感じるのが、国境を越えることだと、今回初めて感じました。

 深圳に入った翌朝、主人は自分が深圳に泊まった翌朝散歩をするコースを案内してくれます。ホテルの前から続く街路樹の木陰を歩きます。一体何処まで続くのかと思うほどに長い歩道です。土曜の朝、会社も3連休(昨日は、清明節、中国のお彼岸に当たります。)に入ります。人通りは少ないのですが、ジョギングをしている人と出会います。日本や香港のジョガーのような派手な出立ちではありません。普通のシャツとジャージで走っている姿が、好ましい。朝も早いのに、道を掃除するおばさんたちは働いています。 まだ、リヤカーで、町中のゴミ箱のゴミを集めています。昔と変わらないなあ。忙しない中国の一面は、こうしたのんびりとした一面の裏側です。

 主人がいつも行くという大きな公園、 太極拳をする人の姿が見られます。これは中華圏を旅すると、朝、必ず目にする光景ですが、香港と大きく違う所は、このスペースです。人々の向こうにこんもり見えているのが、街路樹です。 こんな建物が山頂に見えています。

  公園の入り口のお土産物屋さんです。プラスチックのこんなおもちゃを中国の子供たちは喜んで使っているのかな、と訝しく思います。見出し写真は、この店の横に置いてあった、子供用の乗り物です。日本では、殆ど姿を消しましたね。この虎さんに、孫を乗せてやりたいと思いました。

 乳母車を押して散歩する人を見ました。とてもびっくりしたのです。中国で乳母車を見たことはありませんでした。香港人が乳母車を使い始めたのも最近のことです。 しかも、素晴らしくカッコいい。

 早朝の広い公園では、思い思いのことをしています。 このおじさん、水を含ませた自家製の長い筆で、石畳に漢詩を書いています。 この字を書く呼吸といい、達筆なのは言うまでもありません。そして、陽が上ると、この字は空気の中に消えてなくなるのです。

  一輪車のようなものを胸に抱えてるおじさんがいました。よく見ると丈夫な細いロープが付いています。そのロープの先の先、 青い空に米粒みたいに凧が揚がっていました。

 中国の都市の中で、住民の平均年齢が一番若いのはここ深圳です。周りの町から、深圳を目指して仕事を探しに若者が集まってきます。日本同様高齢化社会が進む中国の中では、活気のある都市の一つです。

 この大きな公園の中、時折私のスマホにWi-Fiが入ります。でも、携帯も持たない人がいるのでしょうか、 町中には公衆電話が見られます。このブース、裏にももう一つ電話が付いています。

 私は、ポストが好きで旅行に行くとポストを撮ります。相変わらずの、中国グリーンのポストですが、 少し昔より細めで、装飾が施されています。

 香港、基本、広東語を話します。国境を越えたこの深圳の町は、広東省ですが話し言葉は北京語です。そして深圳よりまだ北の広東省の省都、広州では、広東語が話されています。国境を越えたこの町は、若い中国人の憧れの都市でもあるそうです。

 一日ほどの滞在でした。帰って来て2日が経ちました。私の中で、イヤだった中国が少しずつ動き始めました。

 この話、まだまだ続きます。

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ブイヤベース

2015年04月06日 | 料理

晴れ、23度、90%

 2月だったと思います。主人が日本から、 こんなものを買って来ました。ゆうに8センチはある大きなはまぐりです。主人はグリルにでもして欲しかったのですが、私は大きすぎるけど桃の節句に使おうと思っていました。3月3日には主人は出張でした。で、すっかりはまぐりが家にあることを忘れています。袋を見ると、賞味期限までにはまだ時間がありますが、お鍋にと書かれています。香港、今日は30度まで上がるそうです。お鍋にする気はありません。そこでブイヤベースを作ることにしました。

 昨日はイースターホリデーの3日目、市場に行くとあらあら、お魚屋さんがみんな閉まっています。流石に漁師さんもお休みなのでしょう。仕方ありませんスーパーで揃えられる魚やエビで作ることにしました。

 ブイヤベースというと、なんだかカッコいいのですが、所詮、南仏の漁師さんの料理のはずです。と、鷹を括っています。今では一般にトマトベースの魚のフォンで作られていますが、トマト自体がフランスに入る前はただの水で煮た残り物の魚だったそうです。今回は海老の頭もありません。 でも、こちらは買い置きがありました。サフランです。使う前に白ワインに浸すとかいいますが、ちょっとオーブンで乾燥させてパラパラ入れてもいい香りです。ブイヤベースなんて、人の力ではなくお魚さんたちの力の結集で出来上がる味です。あまりいじくらない方がストレートに美味しいはずです。

 ひと月ほど前に、お外でブイヤベースを頂きました。 ソフトシェルカーブのフライが一番上にのっています。サービングは良かったのですが、肝心のスープにぐっと来るものがありませんでした。中の全ての魚や貝類が作り出す、濃厚なハーモーニーともいいたくなるあのスープのお味です。

 正式には、スープと中の魚介は別々にサーブされ、アイオリーソースというニンニクソースとパンが添えられます。が考えてみれば、だいたい漁師さんの料理に正式も何もないはずです。我が家はお鍋のままテーブルに、当然魚介よりもこのスープがお目当てですから、付け合わせには湯がいただけのスパゲッティ。

 ソースの段階まで作っておけば、あとは食べる10分ほど前に火の通り難い魚から順次入れて行けば出来上がり。特別な魚を使わずとも、あるものを種類多く入れる方が美味しいと思います。ああ、頭付きの魚と頭付きの海老があったらもっとおいしいスープがとれていたはずです。

 モモさんにはエビや貝はあげられません。白身のお魚で満足、満足。

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国境を渡る

2015年04月05日 | 香港

晴れ、23度、94%

 香港、先週の金曜日からイースターの休暇に入りました。明日は清明節、4日続けてのお休みです。金曜日の夜、主人の深圳の会社の内輪の集まりがありました。久しぶりに私にもおいでと言ってくださいます。そういえば、モモさんが我が家にやって来るまでは週一回は深圳に行っていました。いえ、至る所に泊まりがけで出かけていました。ところがこの10年以上、モモさんをいくらお手伝いさんに見てもらっていようとも、出来るだけ家に戻って来たい私です。深圳などは夜遅くとも戻って来れる範囲です。本当に泊まりがけで出かける深圳は久しぶり。

 香港は中国です。でも、中国ではありません。香港、中国の行き来には、パスポートが必要です。香港自体、国内線はありません。飛行機に乗ることは全て海外旅行です。香港の北、新界に行きその北の深圳を眺めても、何にも見えなかったのは20年ほど前までのことです。今や国境近くに行かなくても、深圳のビル群が香港側から見られます。高さももちろん高いうえに、その数も日に日に増えているような気配です。

 深圳に入るには家を出てから、一時間半ほどで国境に達します。車、バスの乗り継ぎです。以前は電車とフェリー 、一部の車輛の出入りしか出来なかったのですが中国側の道路整備、道路拡張に伴い、大型バスは頻繁に行き来しています。一般車輛もダブルスッカーを付けて相互に乗り入れ可能です。

 昔は深圳に一歩足を踏み入れると、そののんびりとした田舎ぽっさ、ゆっくりした時間の流れがホッとさせてくれました。深圳駅の周りに物貰いの子供たちがいたその昔、駅の周辺に行くのはとても辛かった覚えがあります。それでも、少し車を走らせればそれこそライチの山です。道なんて舗装もされてなく凸凹。数少なかったホテルだって、コーヒーは美味しくないうえに、五つ星だってどことなくカビ臭く感じたものです。今や、ライチの山は切り開かれて、高速道路です。高速電車で北京まで行くことも出来ます。高速道路は蜘蛛の巣のように日に日に大きくなり、その上を走る車もドイツ車や日本車です。

 道路の上ばかりではありません。地下鉄だって走っています。地下鉄の工事も止む所を知りません。つまり、郊外に郊外に延びて行く地下鉄、同じように郊外に住宅用のビルが立ち続けています。その様子を見れば、中国の計り知れない力を感じます。最近は購買力も落ちて来た、中国もバブルがとか言われますが、いえ、人の数の持つ力は、なにものにも代え難いとひしと身にしみる国の力です。日本人のように起用でないかもしれません。日本人のように見た目はよくないかもしれません。そんなことより実質の力を感じる中国です。

 中国の国境を越えると、いつも感じることがあります。たった国境を越えただけ、一本の線を超えただけなのに、空気がガラッと変わります。においが違います。肌に当たる日差しが違って感じられます。迎えてくれたの、 黄色風鈴木、キバナノウゼン。

 空気は乾燥して、日差しはチクチク感じるのですが、今回は、一つ何かが違うと感じます。今まで、車に乗っていても眩しく感じた町並みが、しっとりと落ち着いて見えます。そうなんです。街路樹が、グングン成長して歩道に心地よい木陰を作ってくれています。まだ植えたばかりだった木々は、華南の暖かな気候で生長し、眩しいほどの人工的な町並みは優しい風が流れていました。

 香港に居ても、この地に長く住んだものだと感じますが、それ以上に、深圳の発展ぶりを目の当たりにすると、つくづく、時間の長さを感じない訳にはいきません。主人の深圳の事務所が新しい所に移転していました。何やら会議の間中、手持ち無沙汰な私は、ぼんやり窓の外を眺めます。 そろそろ日没。深圳湾越しに見える、ビル群は香港の北、新界のマンション群です。

 毎日のようにこの深圳と香港を行き来している主人です。話を聞いてもやはり自分の目で見るのとは違います。しばらくぶりに入った深圳、滞在時間は短かったのですが、私の中で少し変化が起こり始めました。また、明日にでも話の続きをします。

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サバ子の南蛮漬け 

2015年04月04日 | 香港

曇り、24度、85% 深圳

 春告魚、というと一時代前までは、ニシンだったそうです、ニシンが不漁の昨今は、メバルだともいわれていますが、地方によって春を連れて来る魚は違うはずです。九州育ちの私は、おそらく大学で東京に出るまではニシンという魚を知りませんでした。

 香港の市場の魚屋さん、一年中同じ魚が並んでいるように見えます。微妙に季節の魚があるのですが、2年度前からは、サケが丸のまま並んでいます。どう考えても近海で捕れることのないサケです。何もかも輸入に頼っている香港ですが、魚屋の店先に輸入物の魚が並んでいる様子は、どうも納得いきません。

 香港の中華料理、海鮮料理も有名です。ハタを蒸したものなど美味しいうえに、お値段も結構な品です。ある時、生け簀で様々な魚を泳がせて、その中の魚を選んで料理してもらう店に行きました。ちょっと夕飯にしては早い時間でした。すると、空気を注入したドライアイスに詰めれれて空輸された生きた魚が、次々に運ばれてきました。送り元の国はベトナム、マレーシアです。びっくりする私。近海で捕れた魚ではなかったのです。

 地元の漁師さんが捕る魚、サワラ、ボラ、鯛、金目鯛、甘鯛、イトヨリ、小エビ、小さいイカ。スズキ、キス、カツオ、サバは海流によって上がって来る時期が違います。でも、カツオやサバは、暖かな海流の中で油が抜け切った状態で水揚げされますから、美味しいとはいえません。そうした中、春先、しかもこの3月下旬から4月の初めの頃にかけての短い間に魚屋に顔見せするのがサバ子です。香港近海、イワシもアジも捕れません。アジに似た魚はありますが、味がアジではないのです。サバ子の目はどんな魚よりきれいです。 そんなわけで、毎年必ずサバ子を買います。サバ子が食卓に上がると、私にとって香港の春です。10センチより小さいものの方がいい味をしています。ちょっと大きくなると、味も大雑把になってしまいます。コトコトとお酢で煮ることもありますが、やはり南蛮漬けが一番美味しいと思っています。手開きにしてもいいのですが、頭と内蔵だけを取って、ゆっくりと揚げると骨まで食べれます。しかり味を付けると主人好み、今回は残り物のレモンを使い上げようと、さっぱりタイプにしてみました。 南蛮漬けを作るとき、いつもタッパを使います。魚をいちいち裏返しにしないでも、タッパの蓋をしたまま、上下に置き換えて味を馴染ませます。

 殆ど毎朝市場に足を運びます。それでも、身辺忙しいとき、このサバ子を見落とすことがあります。サバ子の南蛮漬けを食べなかった春は、忘れ物をしたような気分です。

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オレンジピールのパン

2015年04月03日 | パン

曇り、24度、84%

 日本に帰って楽しいことの一つ、なーんだと思われそうですが、デパートの地下に行くことです。ちょっとお世話になった方に贈り物や自宅で使うちょいといい調味料などを見に行きます。全国の有名なお菓子屋さん、たまには物産展もやっています。日本のスーパーだって、感激するくらい嬉しいのですが、それ以上の満足感をデパ地下は与えてくれます。デパ地下文化というのがあると思うほどです。どんなに日本が不景気だと叫ばれている時も、6時近くともなればデパ地下は一杯、私年配のご不婦人方があれこんなにと思うほど買い物をなさっています。常に滞在が短い私は自宅用に買い物はしますが、そのとき食べれるものなどは買いません。お惣菜や出来立てのパンなどです。パンは香港に持って帰る途中、ペンしゃんこになるのが落ちです。

 それでもデパ地下には必ず行きます。急いでいますから、じっくりと見ることはありません。きちんとどのケースも見て回ります。つまり一巡するわけです。この原動力は一体なんなのかといつも思います。刺激です。香港のどんないい高級な食材屋さんに行ってもない刺激をたくさんもらいます。和菓子、洋菓子、パンにデリカテッセン、お弁当。どれを取っても、日本らしく季節が反映されています。季節の商品、新商品、定番のもの、工夫を重ねて作られている品々、デパ地下で生き延びるためには必要条件です。刺激を受けた私は、アイディアを頂戴して帰ってきます。デパ地下を廻りながら、香港に戻ったら、これを作ってみよう、あれを作ってみようと思うのです。帰りの飛行機の中、メモをしておきます。先月は、3つメモがありました。桜色のシフォンケーキ、抹茶の餡を作ること。オレンジピールの柔らかいパンを作ってみること。

 香港に戻った翌日、早速桜色のシフォンケーキに挑戦。手持ちの桜の花のフレークの量が少なすぎて、ピンクに染まりませんでした。桜の花のフレークなんて、香港じゃ手に入りません。次回もう一度挑戦するつもりです。抹茶の餡は、白餡が冷凍庫に寝ているのを片付けたくて作りました。さて、オレンジピールの柔らかいパン、何故柔らかいか、オレンジピールを使ったパンは、どの店もルスティックなハードなパンに焼き上げられています。何故、フワッとしたパンにオレンジピールを使わないのかなあと食感を想像します。いけそうよ、というわけで焼いてみました。

 オレンジピールのパンを焼こうと思っていますから、ついでに、オレンジピールもデパ地下で見て回りました。殆ど日本製です。その中にブラッドオレンジのピールを売っている店がありました。ブラッドオレンジ自体お値段がいいオレンジですが、なんと普通のオレンジピールの倍の値段が付いています。皮までいい値段です。いつも香港で買うオレンジピールはアメリカ、ヨーロッパのものですが、それらと比べると一応にベタベタしているように思います。いつも使うピールはパラパラとしています。

 いつもの私のパンにお砂糖をやや減らして、オレンジピールをパラパラ。オリーブオイルではなくバターで焼いてみました。 ハードなパンのオレンジピールが口に当たるとき、きっと、何かホッとするものを感じるのかもしれません。我が家の柔らかいパン、オレンジピールは違和感なくちょっといたずらっぽく顔を出します。ハードなパンほど際立った味の面白さはありませんが、柔らかく優しい味になりました。

 このパンを食べながら、やっぱり日本のデパ地下は凄いとつくづく思います。

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霧の中を歩く

2015年04月02日 | 香港

曇り、23度、89%

 日本の学校が春休みに入ったその日に息子と私は香港にやって来ました。30年近く前のことです。春休みの間で香港に慣れて、新学期を迎えようと思ってのことでした。船便で送り出した荷物もまだ着きません。息子も私も友人など一人もいません。挙げ句にお天気は朝から霧がかかっています。夜景で世界の五本の指に入るといわれているピークに上っても何も見えません。ちょうどこの季節のことです。

 昨日も外が白んで見えるほどの霧がかかっています。車でこの霧の中を走れば、フロントガラスには細かい水滴が付くほどです。LEDのおかげで前方を走る車も確認できます。昔はフォッグランプが付いていたなあと思いながら、香港島の東へと車を走らせました。

 まだ霧が深い山道を上へと向かいます。朝が早いうえに、霧の水滴のおかげで肌寒く感じます。気温、23度。霧で遠くは見えないのですが、その中を歩いて行くと目の前だけ道が開けて行きます。慣れ親しんだ山道、朝早くから山に上る人が多い香港だからできる早朝登山です。ひと月に一度、だいたい一日にこの山に来ます。20年近く続けていますから、毎朝上る人とも少しずつ顔見知りが出来ました。挨拶しては立ち話、おじいちゃん、めっきり痩せたわねと心配しながら上ります。

 まるで  水墨画の世界です。新緑が所々異常に鮮やかに目に入ってきます。この霧のおかげでこの時期にしか聞けないものがあります。しかも、ビクトリア湾をめぐる香港島の北、九龍半島の南に限ります。それは船の汽笛です。ボーッと一つだけ長い汽笛が、ビクトリア湾から聞こえてきます。このボーッ、を聞きながら霧の中を歩きます。まるで、幻想的な雰囲気です。狭いビクトリア湾です。しかも行き交う船の数は多いときています。霧がなければ、汽笛を鳴らすこともないのですが、この汽笛だけが安全の頼みです。それでも、何年かに一度衝突事故があります。初めてのあの春、母に無事に着いた知らせの手紙を書きました。その中に、「船の汽笛が聞こえます。さすが港町香港です。」と書いたのを、昨日歩きながら急に思い出しました。船の汽笛が聞けるのは、この霧が出ている時だけだとはたと気が付いたのは、香港に住んで10年も過ぎた頃でした。

 昼近くになると、霧も上がります。時折、一日中霧ということもあります。 山を下り始めると、緑の中に「香港桜」と呼ばれるブーへニアの花が見られます。

 昨日の香港版読売新聞に、香港人は春が嫌いという記事がありました。この霧です。このジトジトの天気が香港人ですら疎ましく感じるようです。私の誕生日も毎年朝からこんな霧の天気です。こんなに長く霧の春を迎えようとは思ってもみませんでした。日本の桜の春を香港で思います。でも、きっと日本に帰ったら、この香港の霧の春をどんなにか懐かしく思い返すかと今から思っています。

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薯蕷饅頭 2種

2015年04月01日 | 菓子

曇り、22度、94%

 大和芋、長芋を使って作るおまんじゅう、薯蕷饅頭。粘りの強さを利用して作るお饅頭です。長芋より大和芋の方が断然粘りが強い、香港にも長芋はありますが、地元の大和芋は見たことがありません。香港、地元では長芋を乾燥させたものをスープに入れます。このスープ、家庭のスープです。スープは健康を調える食べ物として、家庭では四季それぞれ、家族の健康状態でスープを作ります。長いもの効能は、こちらでは痰を切る、産後にもいいといわれています。干した長芋のスープはこれが長芋?と思うほど生とは違った食感です。

 日本から買って来た大和芋がありました。ちょっと頂戴して薯蕷饅頭を作ります。

 餡を2種類にしてみました。一つは抹茶の餡。もう一つは普通に漉し餡。小ぶりに作った抹茶餡には桜を、ひと回り大きい漉し餡にはぜんまいの焼き印を捺しました。

 初めて作ったおまんじゅうは蕎麦饅頭だったのですが、意外にお饅頭は簡単に出来ます。よくすり鉢で当たった大和芋にお砂糖と上用粉を入れて饅頭の皮を作ります。餡は市販のものを使えばより簡単。蒸かしたての熱々のお饅頭は、これまた違った美味しさです。今回の抹茶餡は白餡にお抹茶を混ぜました。お家で作るものですから好きなもの、残っているものを利用します。長芋もすり鉢で長く擂っているとそれ相当の粘りが出てきます。お芋を使わなければイスハタや重曹を入れて皮を作れば、フワッとします。

  この方、和菓子洋菓子なんでも来い、いつもおやつも一緒です。

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