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映画マリーゴールドホテルを観に行ったのは、2週間ほど前のことでした。もちろん2話目、前作は2年前に公開されました。前作は、インドの高級リゾートホテルで余生を過ごすつもりでやって来た白人の男女が見つけたのはおんぼろホテル。そんな出だしでした。もちろんそこはお話、おんぼろホテルはいろんな問題をはらみながらも、居心地のよいホテルへと変わって行きました。
舞台はインド ジャイプール、私がいつかは訪れたいインドの町です。今回の2作目、さてお話がどう展開するやら、まあ、リチャードギヤがゲスト出演ですから、そのあたりも見物です。
経営が軌道に乗って来たマリーゴールドホテル、拡張をと考えてアメリカの会社に融資を頼みに行く所から話は始まりました。インドからアメリカにやって来たのは、デブパテル演じる若い支配人とマギースミス演じるミュリエルです。この会社での会議のシーン、マグカップに入れられたティーバックにアメリカの男性がポットからお湯を注いで廻ります。すると、ミュリエルがやおら、「紅茶にはグラグラにたぎったお湯を注ぐものよ。」と声を張り上げます。ハハン、やっぱり出たは、イギリス人。と心の中で思います。マギースミスはハリーポッターでも有名な女優ですが、イギリス人です。彼女が言うから重みがあります。私も紅茶好き、何を一番に考えるかと言うと、お湯の温度です。あのシーンを見て以来、ますます紅茶を入れる度に、お湯のグラグラには気を使います。
リチャードギアはホテルのランクを決める本の特派員だったり、支配人の結婚話などで華やかな話の展開です。この映画のもう一人の主人公は、ジュディディンチ演じるイヴァリン。このジャイプールの町で布の買い付けを始めます。ジャイプールの町は、ウッドプリントで有名な町です。私もインドに行く度に、ウッドプリントの布を買い求めてきます。イヴァリンが布に気持ちが傾くのがよく解ります。
実は2年前の1作目を観ている時もそうでしたが、主人公のマギースミスとジュディディンチ、この二人のイギリス女優の組み合わせが好きです。この二人が出ている映画を初めて見たのは30年近くも前のこと、フォスター原作の「眺めのいい部屋」です。まだ、40代後半のこの二人の女優が出ています。DVDのおかげで、「眺めのいい部屋」は、私のリピート映画の一つです。お話の筋ではありません。イタリアとイギリスが舞台のこの映画の部屋の設えや食卓、お茶のテーブルを見るのが好きです。幾度見ても飽きません。映画で何処を見るかは人それぞれです。
今回の「マリーゴールドホテル」、ジュディディンチとマギースミスの掛け合いで面白い会話がありました。実際にもこの二人は同じ年です。映画の中で、足を煩っているマギースミスに「あなたが何ヶ月か先に歳をとるから、逝くのは私があとよ。」みたいなことをジュディディンチが言います。これは実際の二人にそのまま当てはまる年の差です。思わず、笑ってしまいました。
「マリーゴールドホテル」を観ながら、別の映画を思い出します。映画を観ながら、映画以外の何かを観ています。考えてみれば私の紅茶好きは、映画やイギリスの本の影響のような気がします。いいティーサービスが欲しい、 映画や本が教えてくれました。歳をとるって、積み重ねて来たものが、その人その人に沿って来るものなのかもしれません。私の観て来た映画、読んで来た本、それもまた私を作ってくれています。
見出し写真は、映画と関係ないイギリス人の書いた紅茶の本です。好きな布を見て、紅茶を飲む、もしかしたらそれだけで満足な私です。