蝶になりたい

いくつになっても、モラトリアム人生。
迷っているうちに、枯れる時期を過ぎてもまだ夢を見る・・・。

カールじいさんの空飛ぶ家

2009-12-16 | 映画
ディズニーピクサーの映画「カールじいさんの空飛ぶ家」を観た。
予告編を観たときから、絶対に見に行こうと思っていた。
予告リーフレットを読んだだけで、涙が出た。

愛する人を失って、思い出にどっぷり浸かる日々。
そんな、過去ばかりに生きるのではなく、前を向いて歩き始める、カールじいさんの決断、勇気、行動力。
じいさんというものは、とかく、ばあさんを失うと偏屈になりがちだが、
そういう苦境を乗り越える展開、ストーリー。
「グラン・トリノ」(クリント・イーストウッド主演)も、同じく、独居じいさんと、少年、(プラス、犬)の組み合わせ。
偏屈ながら、時代遅れと言われようが、
最後の最後まで自分らしい行き方を貫き通した、クリント・イーストウッド扮する、じいさん。
表現方法や味付け、ティスト、スタンスや、ストーリー展開は、「グラン・トリノ」とは全く180度違うが、
それぞれには、それぞれの良さがある。

3Dアニメ? CG? よくわからないが、
ハリウッドがこれで盛り返すか?!と、自信を持っている「3D映像」とかで、
とても精巧にできている。
(劇場で3Dメガネは貸し出されなかったので、画面から飛び出さなかったが)
表情は、俳優よりグンと上手く、心理がはっきりわかるように演技できている。
音楽と映像のテンポが、実に絶妙。
あり得ない展開だけれど、ハラハラドキドキ、迫力満点、とても楽しい。

いくつになっても、旅に出るには理由はいらない・・・・。

泣けてくる。
実は、美しい思い出の詰まった追憶シーンだけで、もう充分だった。
が、その後を生きていかなければならない。

追憶シーンをもっと長く充実させたほうが良かったのでは、という映画感想もあったようだが、
私は、あの、・・・あの短さが、よかった。
「よくわからんかったわ」という感想を発している若い女性もいた。
解釈の仕様、受け止め方は、ひとそれぞれ。
こと細かく、内容を説明はしていなかったが、
あえて、それは、観る側に、イマジネーションをふくらまさせる効果があると感じる。

感じない人には、感じないだろう。
メッセージを受け止めない人もいるだろう。
作り手の訴えたいことと全然違う、受け取り方をする人もいるだろう。
観る人の年齢や、経験による違いもあるだろう。
私は、私の受け止め方をした。
ナイーブで、力強くて、希望があって・・・素晴らしいパワーを感じた。

失ったものを追憶するばかりではなく、その思い出を糧にして、
毎日、1秒1秒、確実に時を刻む現実にも目を向け、前向きに生きるということ。
自分が変わるためには、最初の一歩が必要だということ。
旅に出ることは、人生の旅を切り拓くための、第一歩かも知れないということ。
私はこの映画から、そういうメッセージを受け取った。

心に、じんわり沁み込むものをいただいて、映画館を後にした。