雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

朝な朝な ・ 万葉集の風景

2025-03-09 08:01:48 | 万葉集の風景

     『 朝な朝な ・ 万葉集の風景 』


 朝な朝な わが見る柳 鶯の
       来居て鳴くべき 森に早なれ

              作者不明

( 巻10-1850 )
       あさなあさな わがみるやなぎ うぐいすの
                 きゐてなくべき もりにはやなれ

意訳 「 朝な朝なに 私が見ている小さな柳たちよ 鶯が やって来て住みついて鳴くほどの 森に早くなっておくれ 」


* 万葉集の巻10は、ほとんどが作者不明です。
多くの歌を収集する段階で、作者がはっきりしない作品も当然あると思われますが、万葉集の場合、伝承の過程で作者名が分らなくなったという例は少ないような気がするのです。つまり、作者不明の多くは、意識的に記録されなかったような気がしてなりません。例えば、最初に収集に当たった人が、名前を記す必要がないと考えたとか、記録しても意味がないと考えたとかなどです。
あるいは、地方の農民などの場合、単なる呼び名しかなく、記録するほどのことはないと考えたのかもしれません。

* 掲題の歌も、どのような地域の、どのような生活を送っていた人物の作品かまったく分りません。
現代の私たちには、鶯と柳という組み合わせは、新鮮というか不自然というか微妙なところですが、作者の鶯や柳に対する温かな気持ちが込められているすばらしい作品と感じました。
この時代の庶民の生活がどのようなものであったのか知らないのですが、自然の流れをのびのびと受取っている様子を伝えてくれています。個人的に大変好きな歌です。

       ☆   ☆   ☆

 

                  

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核兵器禁止条約締約国会議 閉幕

2025-03-08 19:01:06 | 日々これ好日

    『 核兵器禁止条約締約国会議 閉幕 』

   国連本部で開かれていた 同会議は
  「核廃絶は単なる願望ではなく、世界の安全保障と人類の生存に絶対必要」
   などといった宣言を採択して 閉幕した                                 
   締約国には 米英仏露中の国連常任理事国をはじめ
   核保有国や 開発が噂されている国などは加盟しておらず
   米国の『核の傘』を頼りとしている わが国も加わっていない
   宣言の中に 「願望ではなく」という文言が 入っていることからも
   実現の難しさを感じる
   緊迫さを増している NATO加盟国からは
   今回は オブザーバー参加さえ 皆無だった
   戦力無しで 国家存立が可能なのか とも言え
   あまりにも 難しすぎる

                  ☆☆☆

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暖かくなったり寒くなったり

2025-03-07 19:09:22 | 日々これ好日

     『 暖かくなったり寒くなったり 』

    「三月はライオンのようにやって来て子羊のように去って行く」
    これは イギリスの諺だが わが国の三月も
    暖かくなったり寒くなったりと なかなか荒々しい
    それでも 球春到来 大谷さんも 日本のオープン戦も
    そして今日 選抜高校野球の組み合わせが決定
    いつの間にか 春のど真ん中になりつつある

                   ☆☆☆     

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悲しみの日々 ・ 望月の宴 ( 138 )

2025-03-07 08:01:47 | 望月の宴 ④

     『 悲しみの日々 ・ 望月の宴 ( 138 ) 』


さて、この数日間というものは、そのままにされていた故一条院の御座所の儀式や有様は、これというほどでもない御調度をはじめ、変らぬようそのままにされていたので、在世中と同様であったが、今日からは、御座所をお念仏のための御仏のおわします所にして、僧などが出入りする姿も畏れ多く、何かにつけ悲しいことである。
念仏の声が、日が暮れる頃や、後夜(ゴヤ・一日を六分した最後で、夜半から朝までの間。)などは一段と胸にしみて聞こえ、あれこれと悲しいことばかり多くお過ごしのうちに、お庭先の撫子を人が折り取ってお持ちしたのを、宮の御前(彰子)の御硯瓶(硯に注ぐための水を入れる器。)に挿しておかれたところ、東宮(敦成親王、この時四歳。)がそれを取り散らされたので、宮の御前は、
『 見るままに 露ぞこぼるる おくれにし 心も知らぬ 撫子の花 』
 ( 見るにつけ 涙がこぼれます 亡き院に先立たれた この私の心も知らない 撫子の花のように無心の若宮を見ていると )
と、お詠みになった。
また、月がたいそう明るく照って、故院の御座所であった所がはっきりと見えるので、宮の御前は、
『 影だにも とまらざりける 雲の上を 玉の台(ウテナ)と 誰かいひけん 』
 ( 亡き院の面影さえも とどめていない 雲の上(宮中と天上界を指している)を 玉の台(宝玉で飾られた楼閣)などと  誰が言ったのだろう )
と、お詠みになった。

いつしか御忌みも過ぎて、四十九日の御法事が一条院において行われた。その折の有様などは、今さらと思われるので省かせていただく。
宮がたのご様子はまことにおかわいそうである。
四十九日が終って、中宮(彰子)は枇杷殿(ビワドノ)にお移りになる。その折、藤式部(紫式部)は、
『 ありし世は 夢に見なして 涙さへ とまらぬ宿ぞ 悲しかりける 』
 ( 一条院のご在世中の世は 今となっては儚い夢であったと思うにつけ 涙が止まらないばかりか 御殿までお移りになることが 悲しい限りです )
と、詠んだ。

一品宮(イッポンノミヤ・定子出生の脩子内親王)は三条院にお移りになった。一の宮(定子出生の敦康親王)は別納(ベツノウ・一条院の東部分にある邸。)にお住まいである。
九月の頃に、弁の資業(スケナリ・従五位下右小弁兼東宮学士。一条院の入棺に奉仕した。)が一品宮に参上して、「山寺に先日出掛けましたが、岩陰の故院がいらっしゃいました所を拝見しましたが、感慨深く思いました」と言って、
『 岩陰の 煙を霧に 分きかねて その夕ぐれの 心地せしかな 』
 ( 一条院の葬送の地である岩陰に 立ち上る煙と霧との 見分けがつかず あの日の夕暮れのような 悲しい心地が致しました )
と、詠んだ。

一条院の御念仏、御読経は、一周忌が終るまで続けられるのであろう。
四十九日までの間は、同じように御忌に籠もっていらっしゃった故関白殿(道隆)の御子である僧都の君(隆円。伊周や定子らの末弟。)は退出なさって、飯室(イイムロ・権律師尋円)は引き続きそのまま残られたので、僧都の君のもとに歌を詠み送られた。
『 くりかえし 悲しきものは 君まさぬ 宿の宿守(モ)る 身にこそありけれ 』
 ( 重ね重ね 悲しいことは わが君のいらっしゃらない 宿の宿守りをしている この身であります )
僧都の君の御返しは、
『 君まさぬ 宿に住むらん 人よりも よその袂(タモト)は 乾くよもなし 』
 ( わが君がおいでにならない 宿に住んでいる 人よりも 遠くの他所からお偲びしている私の袂は 涙で乾く間もありません )

東宮(敦成親王)は、今は宮中にいらっしゃるので、中宮(彰子)はあれやこれやとお心を煩わせておいでの上に、東宮の御有様を案じる心配まで加わって、お気持ちの晴れることのない日をお過ごしである。

        ☆   ☆   ☆

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トランプ政権の申し立てを棄却

2025-03-06 18:45:33 | 日々これ好日

     『 トランプ政権の申し立てを棄却 』

   トランプ政権が申し立てていた 対外援助の凍結を
   連邦最高裁が棄却した との報道
   連邦最高裁は 保守派の判事が多数を占めており
   トランプ政権に 有利な判断が示される可能性が高いと
   予想する人が 多かったようだが
   保守派判事のうち二人が 反対に回り
   僅差で棄却となったようだ
   この結果の良し悪しを 判断する知識はないが
   やりたい放題に見える 大統領を
   ストップさせる 法の力も 存在しているらしい

                ☆☆☆ 

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鬼一口 ・ 今昔の人々

2025-03-06 07:59:20 | 今昔の人々

     『 鬼一口 ・ 今昔の人々 』


右近中将の在原業平と申されるお方は、御父上は平城天皇の第一皇子である阿保親王、御母上は桓武天皇の皇女であられる伊登内親王という、大変なお血筋のお生まれである。
御父上の阿保親王が政争に巻き込まれたり、誕生間もなくして臣籍降下なさったことが原因ではないであろうが、ご身分に似合わぬ自由奔放な行状が目立つ御方であった。
文才に優れ、容姿にも恵まれている上に、たいそうな色好みであったので、「世間で美人と評判の高い女がいれば、宮仕えの女であれ、高貴な人の娘であれ、一人残らずわが思い人にしよう」というほどのお方であった。

さて、ある人の娘に、「容姿がすばらしく、世に並ぶ者とてない」と噂されている女性がいると聞きつけて、業平は、熱意を込めて言い寄ったが、娘の両親は、「娘には、もっと高貴なお方を婿に迎えるのだ」と言って、それはそれは大切に育てていたので、業平中将といえども、とても手を出すことが出来なかった。
そうしているうちに、どのような手段を使ったのか、その娘を密かに盗み出したのである。

ところが、盗み出してはみたものの、とりあえず隠しておくべき所に困り、思い悩んだ末、北山科の辺りに、古い山荘が荒れ果てて人も住まなくなっている所があることを知り、そこに向かうことにした。
その山荘は、戸は壊れていて、室内の板敷きも無くなっているような状態で、とても立ち入れそうも無かったが、母屋とは別に校倉造りの倉があった。
そちらの方は、母屋よりは少しましなので、薄縁一枚を持ち込んで、そこに娘を連れて行って、共に寝た。
しばらくすると、にわかに稲光がしたかと思うと、雷鳴が激しく轟いた。
それがさらに激しさを増してきたので、業平中将は太刀を抜いて立ち上がり、娘を後ろの方に押しやって、太刀をひらめかしているうちに、ようやく雷鳴が静まり、やがて夜も明けた。

そこで、ようやく娘に声をかけることが出来たが、娘からは返答がない。
業平中将は不思議に思って、振り返ってよく見ると、そこには娘の頭と着ていた着物だけが残されていた。
業平中将は、何とも表現しがたい恐ろしさに襲われ、自分の着物を取るや取らずやで逃げ出した。
後になって分ったことだが、その倉は「人取りをする倉」と言われていることが分った。
そうすると、あの雷電霹靂は本当の稲光や雷鳴ではなく、倉に住みついていた鬼の仕業であったのだろうか。
それにしても、業平中将も罪なことをしたものである。

       ☆  ☆  ☆

    ( 「今昔物語 巻二十七の第七話」を参考にしました。 )

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タフさが凄い

2025-03-05 18:54:16 | 日々これ好日

     『 タフさが凄い 』

   トランプ大統領が 上下両院合同会議で
   就任後初の 議会向け演説を行った
   ウクライナ問題 入国管理 関税 等々
   話題は多く わが国でもライブ放送されていた
   内容云々は 専門家の解説に任せるとして
   何よりも 演説時間が1時間39分という タフさに
   なまじっかの根性では 渡り合うのは大変だぞ
   と 世界中に 改めて知らしめたような気がした
   さて 石破さん 
   野党相手に スタミナ切れしていないでしょうねぇ・・

                 ☆☆☆
   

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トランプ関税の行方

2025-03-04 18:39:38 | 日々これ好日

      『 トランプ関税の行方 』

    かねて発表されていた メキシコ・カナダへの
    25%の関税が 発動されたようだ
    中国へのさらなる上乗せ関税も 実施され
    中国は 報復関税を発表した
    次は ぼつぼつわが国あたりが ターゲットになりそうだが
    本日は 円安状態に ジャブを繰り出した
    トランプ関税は ターゲットにされた国のダメージが大きいが 
    米国の企業や国民も 少なからぬ影響を受けるはずだ
    どちらがどの程度困るのか 確認するためには
    すべての輸入品に 200%程度の関税をかけるのを
    試してみる価値は ないのかなぁ?? 

                ☆☆☆

    

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ランプの出湯 ご案内

2025-03-04 08:00:07 | ランプの出湯

         『 ラ ン プ の 出 湯 』

 

遠い昔のことになるが、ランプの出湯という案内に誘われて、信州の温泉を訪ねた。そこで私は不思議な体験をした ・・・

 

               全九回の中編小説です。ぜひ、ご一読下さい。

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今日はお雛さま

2025-03-03 18:56:16 | 日々これ好日

     『 今日はお雛さま 』

   今さら 雛祭りでもあるまい と言いながら
   あられを頂き ちらし寿司も頂いた
   一方 お天気は 荒れ模様
   風雨が強く 温度も下がり
   昨日のお天気は 一体何だったのかと思い
   ついつい 「さすが 女の子のお祭りだ」なんて
   言わなくてもいいのに・・・ 口は災いの元!!

                  ☆☆☆
   

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