雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

よくたきしめたる薫物

2014-07-07 11:00:17 | 『枕草子』 清少納言さまからの贈り物
          枕草子 第二百十四段  よくたきしめたる薫物
  
よくたきしめたる薫物の、昨日・一昨日、今日などは忘れたるに、ひき開けたるに、煙の残り香するは、ただ今の香よりも、めでたし。

火取り香炉に衣服をかけて、薫物(タキモノ・いろいろな香をまぜ合わせて作った練り香)でよくたきしめておいたのですが、昨日、一昨日ならともかく、今日となれば取り出すのを忘れていたということなのですが、香炉を開けてみますと、煙の残り香がするのですが、たった今たいたばかりの香よりも、上品な香りがするのですよ。


少々分かり難い部分があります。
「昨日、一昨日・・・」の部分ですが、香炉に衣服を掛けてたきしめるのですが、「一日や二日ぐらいはそのままにしておくことは普通だが、三日目の今日となれば、忘れていたとしかいいようがない」、といった意味のようです。
「残り香する」も「のこりたる」とする説も多いようです。ただ、香炉の煙が三日も残っているというのは無理があるように思います。
いずれもしても、少納言さまの時代、香りは重要な要素だったのでしょうね。
コメント
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