雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

舞は駿河舞

2014-07-20 11:00:58 | 『枕草子』 清少納言さまからの贈り物
          枕草子 第二百二段  舞は駿河舞

舞は、
駿河舞。求子いとをかし。
太平楽。太刀などぞ、うたてあれど、いとおもしろし。「唐土に、敵どちなどして舞ひけむ」などきくに・・・。
鳥の舞。
抜頭は、髪ふり上げたる目見(マミ)などは、うとましけれど、楽もなほいとおもしろし。
落蹲は、二人して、膝踏みて舞ひたる。
駒形。


舞は、
駿河舞。特に求子(モトメコ)がとてもいい。(東遊[アズマアソビ]には五首の歌曲があり、第三の駿河舞と第四の求子だけに舞がある)
太平楽(天下泰平を祝う舞楽)。太刀などが、恐ろしいけれど、とても面白い。「唐の国で、敵同士で舞ったそうだ」などと聞くにつけても・・・。
鳥の舞(供養法会の奉納舞楽)。
抜頭(バトウ・長髪をふりみだし、恐ろしい面を付け、ばちをもって舞う一人舞。西域から伝わった)は、髪ふりあげた時の目つきなどは、気味が悪いが、音楽などもやはりとても面白い。
落蹲(ラクソン・「なっそり」という高麗舞は本来二人舞だが、一人舞の場合に落蹲という。なっそりのことを指している感じ)は、二人して、蹲踞(ソンキョ)の姿勢で舞うのですよ。
駒形(駒が戯れるのをまねた舞)。



短い章段ですが、内容はなかなか難解です。
この時代の舞は、その殆どが神や仏への奉納であり、祈祷であり、祈願だと思われます。一般庶民が娯楽として踊り舞うということもあったのでしょうが、その背景には、やはり、やるせない願いがあったのではないでしょうか。
ここに紹介されているものを見ても、少納言さまの時代、単に朝鮮半島や中国に限らず、さらに西の国からも伝わっているのですから、意外に国際交流が行われていたんですねぇ。
コメント
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