雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

物語は住吉

2014-07-25 11:00:13 | 『枕草子』 清少納言さまからの贈り物
          枕草子 第百九十八段  物語は住吉

物語は、
住吉。
宇津保、殿移り。国譲りは憎し。
埋れ木。月待つ女。梅壺の大将。道心すすむる。松が枝。
狛野の物語は、古蝙蝠探し出でて持ていきしが、をかしきなり。
物羨みの中将。宰相に子生ませて、形見の衣など乞ひたるぞ憎き。
交野の少将。


物語は、
住吉。(「住吉物語」というのが現存しているが、それは後世の物らしい)
宇津保物語、中でも殿移りの巻がいい。国譲りの巻は憎らしい。
埋れ木。月待つ女。梅壺の大将。道心すすむる。松が枝。
狛野の物語は、古い扇を探し出して持っていったのが、興味深い。
物羨みの中将。宰相の君に子を生ませておきながら、形見の衣を欲しがるのが憎らしい。
交野の少将。



物語というのは、男姓の学問としての漢詩漢文に対して、女性の趣味としての仮名文字を中心とした小説などを指します。
ここに書かれている物は、ほとんどが何らかの形で伝えられていますが、消えて行ってしまった物も含めれば、意外に多くの物語が読まれていたみたいです。
そして、それらが、少納言さまをはじめとした王朝女流文学者を誕生させたのでしょう。
コメント
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