『 一日も早い停戦が待たれるが 』
トランプ大統領の登場で ロシアとウクライナの戦争に
停戦への道筋が ほんの少し開けそうな気がしてきた
しかし 同時に どういう形になるのかが問題だ
事の発端は ロシアによるウクライナへの侵攻によるのだから
現在の戦線を 停戦ラインとするのは無茶だと思う
と言って 2014 年のクリミア半島侵攻以前はもちろん
3年前の国境線でさえ ロシアは簡単に飲むまい
「攻め込めば領土を増やせる」 という例は作ってはならないが
難しいところだ 世界の英知を見せて欲しい
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『 ご利益を前借りした男 ・ 今昔の人々 』
播磨国印南郡に極楽寺という寺があった。
その寺に、一人の入道(ニュウドウ・正規の修行を経ずに出家した道心者。)が住んでいた。名を公真(コウジン)といった。
その公真は、彩色した三尺の地蔵菩薩の像一体を造り、その寺の内に安置して日夜に手厚く礼拝し、怠ることがなかった。
その事情を尋ねると、先年、公真は重い病に罹り、数日伏せっていたが、そのうちに寝ているかのように息絶えた。
すると、公真はただ一人で冥途に赴き、閻魔庁に着いた。見回すと、その辺りには一千万人の人がいて、皆厳しく責めさいなまれて泣き叫んでいる。その声は、雷が鳴り響くかのようである。
公真はそれを見て、恐ろしさのあまり気を失いそうになった。
すると、その時、一人の小僧がいるのに気付いた。荘厳な姿をしていて、罪人たちの中に交じって門の外を走り回っている。
公真は傍らにいる人に、そっと「あの小僧はどういう人ですか」と恐る恐る尋ねると、「あれは地蔵菩薩に在(マシマ)す」と教えてくれた。
公真はそれを聞くと、小僧の前に進み出て、地にひざまずいて申し上げた。
「私は思いがけず此処に召されました。願わくば、地蔵菩薩様、大悲の誓願をもって、私を許しお助け下さい。地蔵菩薩様のご利益をお恵みいただく以外に、此処から逃れて故郷に帰る方法がありません」と。
小僧は、公真の両手を取って仰せられた。
「輪廻生死すべき罪は、容易く許されるものではない。だが、汝の父である安芸国の厳島の神主の重正という者は、先年、我が姿の像を造り、開眼供養を行った。そのため、我は汝の父の重正をすでに導いている。また、汝等をも怠ることなく守っている。しかし、汝は前世の罪業により此処に召されたのである。だが、そうではあるが、我は汝を救ってやろうと思う」と。
そして、公真の手を引いて、官人の前へ行って訴え、小僧自ら公真を門の外に連れ出して、手をもって公真の頭を撫でて、「汝は速やかに人間界に帰り、深い信仰心を起こして三宝(仏・法・僧)に帰依して、専らに善を行い悪を止めて、再び此処に来ることがないように」とおさとしになった、と聞いたところで公真は蘇った。
それゆえ、公真は地蔵菩薩の像を造り熱心に供養し奉っているのだが、公真は、地蔵菩薩のご利益を前借りさせていただいたのであろうか。
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( 「今昔物語 巻第十七の第二十話」を参考にしました )