マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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小林町杵築神社簾注連縄掛け

2013年03月05日 08時49分09秒 | 大和郡山市へ
度々訪れる大和郡山市小林町では年末の28日に左座、右座のトーヤが注連縄を作って杵築神社に掛ける。

旦那は仕事や身体が不自由やいうて両座とも婦人が注連縄を作っていく。

簾型の注連縄もトーヤが作るのではあるが作り方が判らないからと頼まれたH夫妻が支援する。

Hさんは農業を営む。

作業小屋はいつも賑やかな顔ぶれが集まる。

この日もほとんど同じ顔ぶれだ。



七、五、三の注連縄は15本。

ウラジロとユズリハを括りつけてできあがる。

一方の長い注連縄。

葉付きの笹竹を水平に立ててひと房ずつの縄を結わえる。

葉の方から順繰りに結わえる。

堅く縛ってその上に次のひと房。

この作業を繰り返す。

重ねた縄束をひと房ずつ手渡す。

次から次へと重ねていく。

長さが整えば端っこを括る。

こうして外れないようにした簾型の注連縄は2本。

3mもある長い方は一の鳥居に掛ける。

もう1本の注連縄は1m80cm。

これは本殿前の鳥居に掛ける。

房の数は46本と36本であった。

縄結いの藁はモチワラだ。

間隔は詰めるほどもなく開きすぎることなく適当な距離。

できあがれば中央にウラジロ、ユズリハを括る。

ユズリハは内に折れ曲がるようにしておく。

ダイダイも付けてできあがればはみ出た縄を挟みで奇麗に揃える。

昨年はSさんの倉庫だった。

そのときも支援したのがHさん。

40年間も支援しているというベテランの話にキツネさんの御供があったそうだ。

オッパンを割り箸で摘まんでアゲサンと共に地蔵さんに供えた。

そうしておくとキツネが食べに来ると話す。

昨年に聞いた家の正月のあり方。

門屋に飾った注連縄のユズリハにおっぱんを供える。

それはカンマツリとは云わなんだと話す。

それはともかく出来あがった注連縄は杵築神社の飾りもの。



本社、狛犬、燈籠に参籠所、地蔵さん、お寺、蔵などに飾る。

簾型の注連縄には名前なんぞなかったと云う。

右座のNさんの孫も応援にやって来た。

中学3年生の孫は逞しい。



高い鳥居に取り付けるには梯子が要る。

若者は難なく上に登って取り付け作業。

後継者は逞しく育っている。

そのような様子を拝見したいと仕事納めの日に民俗博物館の学芸員もやってきた。

来年の1月6日にはお祓いがある。

造営される本社、参籠所などを解体するお祓いである。



注連縄作りの最中に出てきた民俗文化の話題。

「なるかならんか」と言ってカキの木をナタで削る真似をする。

姉弟の二人でしていたと話すSさんは宇陀市菟田野が出里。

佐倉の地だそうだ。

実家のH家で行っていた「なるかならんか」の記憶。

クリの木もしていたそうだ。

クリの木も成り木。

いずれも実成りの木である。

その日は七草粥も炊いて食べていたそうだ。

作業の合間にぽっと出る大和弁。

トッキョリ、オマハン、ホテカラ或いはホンデナの言葉を連発するH婦人。

懐かしい言葉に思わず反応してしまった。

そんな話題は注連縄掛けを終えても連発する。



賑わいはもてなしのご馳走で満腹になった。

(H24.12.28 EOS40D撮影)