マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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椎木町杵築神社正月の座

2013年03月19日 08時42分39秒 | 大和郡山市へ
正月元旦の朝に参拝する椎木町の宮座中。

座中は和装姿に下駄を履いて参集された。

杵築神社の正月行事の神事を終えれば正月の座の営みに移る。

座の膳はゴボウ、クロマメ、ゴマメの三種盛りの肴とアオマメのオニギリがつく。

上座に座る長老が述べる挨拶を経て登場する二人の当屋。

前年にタネオクリ(種送り)されたアオマメを育ててきた当屋である。

植えた種豆は立派に育って11月に収穫した。

一粒、一粒を選別して奇麗なアオマメを選び出した正月の膳に配られるオニギリに使う量は四合のアオマメ。

四升のモチゴメと一緒に炊く。

アオマメは擦らずにそのままの形で入れるという。

育てたアオマメは枯れることがないように気を配ってきた。

アオマメを選別して黒い豆を取り除く。

何日もかけて選別したという選りすぐりのアオマメは奇麗な豆。

次の当屋に継がれる。

それをタネオクリと呼んでいる。

代々継いできたタネは大切な正月の座の膳にさし出されるのである。

アオマメを入れてご飯を焚くのは大晦日の晩。

ひと晩かけてアオマメ入りモチゴメをオニギリにする。

平成3年10月に地域が発刊した『椎木の歴史と民俗』によればアオマメのオニギリは蒸した「キヨノメシ」であったと記されている。

「キヨノメシ」はおそらく「キヨウのメシ」であろう。

漢字を充てれば座の饗にだされる蒸し飯と考えられ「饗の飯」が「キヨノメシ」と呼ぶようになったと考えられる。

蒸した飯がどのような形であったのだろうか。

県内各地の事例から推定するに枡か椀に飯を詰めた形であったと思われる。



三種盛りとアオマメのオニギリはパックに詰めて座中の席に配られた。

白酒を入れた湯とうで座の人たちに注ぐアニ当屋とオトウト当屋。

受ける酒杯は素焼きのカワラケである。

こうして新年を迎えた椎木の座中は元日のひとときを過ごす。

(H25. 1. 1 EOS40D撮影)