マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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公納堂町阿弥陀さんの夏祭り

2013年11月15日 09時24分44秒 | 奈良市へ
江戸時代後期、元興寺の極楽坊が庶民信仰を広めるために近在一帯の十数か町に仏像を贈ったと伝わる「ならまち界隈」。

その一つにあたる奈良市公納堂町(くんどちょう)にはかつて阿弥陀さんを代々祀っていたあるお家に町内の人が集まって法要をしていた。

安置していたのは同家の庭だったそうだ。

30年から40年前だと云う。

さまざまな事情があって町内にある興善寺に預けることになった。

安置されたお堂は興善寺境内に建てられた不動堂・阿弥陀堂である。

公納堂町阿弥陀さんの夏祭りは15日。

いつしか集まりやすいその日に近い日曜日に移った自治会主催の夏祭り。

前日にはお寺境内の草むしりをするなど奉仕している。

公納堂町は清水通りの道筋に沿った37戸の家並み。

多くの観光客が訪れる。

清水通りは春日山から流れる伏流水。

水質が良いことから酒造りを営む酒屋さんは4軒もあったそうだ。

町内には井戸が多い。ほとんどが散水に使っているが、今でも飲料にしているお家が1軒あると云う。

災害時にはその井戸水が役立つのではと話す自治会長。



提灯を掲げた不動堂・阿弥陀堂に上がるのは地区の尼講の人たち。

狭いお堂に上がるには人数に限りがある。

役員たちは堂外で手を合わせる。

夏祭りの法要は阿弥陀さんの前に座った興善寺住職が唱える。

そして、尼講たちが木魚を叩いて般若心経を十巻唱える。



毎月の15日においても心経十巻を唱えている尼講である。

公納堂町の夏祭りは抽選会もある。

賞品を調達した役員さん。

本堂で籤を引く町内の人たちは参拝で賑わった。

80歳になるKさんが嫁入りしたころのことだ。

興善寺境内では盆踊りをしていた。

踊りの輪が二重にもなったぐらいに多かったと話す。

不動堂・阿弥陀堂に安置された仏像は阿弥陀立像、十一面観音立像、不動明王、行者さんなどだ。

木造阿弥陀立像は焼けた跡が僅かに見られる。

その姿が心苦しく、20年ほど前に職人さんの手によって塗り替えた。

光背はあとから付けたものと伝わる。

(H25. 7.21 EOS40D撮影)