マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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伊与戸の地蔵盆

2013年11月17日 08時17分33秒 | 田原本町へ
田原本町の伊与戸では集落を中央から分けて東・西の二カ所に地蔵尊を奉っている。

東・西それぞれに属する尼講こと大師講の婦人たちがお勤めをする伊与戸の地蔵盆。

地蔵尊の前に竹を2本立てる。

その間に架けた葉付きの竹で設えたのは提灯掛けである。

まるで横に広がった鳥居のような特徴をもつ形式だ。

提灯は子どもさんが居る家。各家が持ち寄った提灯には子供の名が書かれている。

東・西二カ所の地蔵盆はほぼ同時に始まる。

この年は西の地蔵盆を拝見した。

地蔵尊は「南無阿弥陀佛」の六字名号が刻まれた石塔だ。

それには小さな文字で由来若しくは名前らしきものがあるが、判読できない。

六字名号の石造物に違いないが、当地では地蔵さんと呼んでいる。

会所で毎月のお勤めをしている尼講。

お葬式の際には「なむあみだぶつっ」を唱えるそうだ。

地蔵盆のお供えは各家が持ち寄るお菓子であるが、石造物には当番の家が供えるダンゴがある。

かつては当番の家で作っていた。

米粉を挽いて作っていた。

ウルチ米にモチゴメを入れてカラスキで踏んでいた。

子どものころだというから随分前のことである。

挽いた米粉は湯で練って丸める。

煮立った湯に入れれば浮いてくる。

トリコ(取粉)を塗してできあがったダンゴは生来の米の味。

キナコを塗す、或いは醤油をつけてみたらし団子のようにして食べたと話す婦人たち。

お店で買ってきた三色ダンゴを供えてゴザに座る。

ローソクや線香に火を点けて始まった念仏は三巻の般若心経。

ゴザ外に立つ婦人らも手を合わせて唱える。

そのころにやってくる子どもたちは浴衣姿。

普段の伊与戸では見られないほどの子どもたちで賑やかになった。

外孫が大勢だと話す。

心経でお参りをされたあとは子どもたちのお楽しみ。

御供を下げて参拝者の子どもたちに配るのである。

子どもの目的はお菓子貰い。

親たちとともに並んだ行列が伸びていく。

箱から取り出したお菓子は箕に入れる。



それを行列に持っていく。

手を差し出す子どもたちには生まれたての赤ちゃんも並んでいる。

地蔵さんは子どもの守り神。

ありがたい御供を受け取れば東の地蔵さんに向かった。

到着したときには般若心経も終わっていた。

西と同様の三巻である。



ここでも御供貰いの行列ができあがる。

お菓子を貰って帰る子どもたちの姿を見送った東の当番の人は提灯を下げた。

(H25. 7.23 EOS40D撮影)