都市と楽しみ

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余震(アフターショック) ロバート・B・ライシュ:碩学の経験と知見、方策

2012-02-05 07:14:26 | マクロ経済

 クリントン政権での労働長官の経歴から格差問題と経済低迷の相関を解く、人間味あふれる碩学の著作。だが、論旨は既出であり独自の面白さがいまひとつ。<o:p></o:p>

 論点として米国近代資本主義では<o:p></o:p>

第一期(18701929)所得と富の集中<o:p></o:p>

第二期(194975)繁栄の共有→第二次世界大戦後の大繁栄時代<o:p></o:p>

第三期(19802010)繁栄が集中<o:p></o:p>

→レーガノミクス以降のことだろうか( http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%AC%E3%83%8E%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9 )<o:p></o:p>

とある<o:p></o:p>

・富裕層の隔離したコミュニティ(ゲーティッドなどエリア、オフィス・パーク、警備、学校)で公立からの離反<o:p></o:p>

・富の集中と消費の低迷→トリクル・ダウン・エフェクトの誤謬<o:p></o:p>

76年以降の生産性の向上とそれに対して中間層以下の所得の横ばい化、利益の富裕層への移行<o:p></o:p>

・富裕層の所得維持のこだわり「もう普通には戻れない」<o:p></o:p>

・リーマン・ショックでの納税者からAIGを経てゴールドマン・サックスへの30億ドルの流れ<o:p></o:p>

・富裕層の税率は15%(キャピタル・ゲイン課税)<o:p></o:p>

・富裕層の教育資金が潤沢で、子供が有利、「仕組まれたゲーム」<o:p></o:p>

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対応策として<o:p></o:p>

・負の所得税、炭素税の財源活用<o:p></o:p>

・富裕層の最高税率の引き上げ(55%とキャピタル・ゲインの所得通算 など)<o:p></o:p>

・失業対策よりも再雇用制度→スキルの育成、研修、訓練<o:p></o:p>

・収入に応じた累進型の教育振興券(School Boucher)の発行<o:p></o:p>

・卒業後の所得水準に応じた教育ローン返済→多く稼ぐものが多く返す<o:p></o:p>

・国民皆保険<o:p></o:p>

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結びとして、中間層が低迷すれば、富裕層にも経済低迷の余波がある。国民の怒りもある。新しい深刻な不況こそ「余震(アフターショック)」となる。<o:p></o:p>

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内容はごもっとも。日本でも、所得の捕捉(背番号制)や所得の累進課税の見直し(最高税率の引き上げ)がやっと行われている。また、生活保護か職業訓練かとの検討も端緒にある。<o:p></o:p>

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経済の成長から「配分」に移行しているのを痛感する<o:p></o:p>

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コメント
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