岩波のジュニア文庫だが、素粒子についてはクォーク、レプトン、ボソンとか、電荷、スピン、ストレンジスとかあるが良く分からなかった。大体、入門書というのは難しい。マクロ経済でも入門書では全く分からなかったが、英文のマクロ経済学を2冊習うと良く分かった。<o:p></o:p>
増川先生は温和で面白い方だとお聞きしている。かつてMITで名刺を配って歩いていたノーベル賞の方とは大違いだそうだ。クォーク6個をお風呂で思いついたのも4個ではうまく行かないからと正直だ。文章にもおかしみがあり、また科学者の妙な性癖も描かれている。<o:p></o:p>
コラムが14本と7章 科学の役割と私たちの学び方 がとても面白い。コラムによると、「京大時代と堕落の10年」でクラシック音楽にのめり込み、オーディオに凝り、論文の生産性が落ちたというのは笑えます。LPのスクラッチ・ノイズか溝へのごみが嫌いでオープン・リールに録音したとありますが独特です。しかも家中にスピーカー配線をして切り替えていたとは。ちなみにベートーベンのピアノ・ソナタ、チャイコフスキーも贔屓なようだ。知り合いの理学系にも同じ傾向があるがどうしてだろうか。<o:p></o:p>
原子力も「安全性と利便性のトレード・オフ」について自動車を事例に採り上げ、原発が危険と承知の上でだましだまし使うべきだと明解だ。<o:p></o:p>
7章では、科学が法則性を確立し、(正しいものを選択するという)自由を用意する、これが科学の意義だとある。ただ、選択がまた原子力が兵器利用になった事例もあり使い方の選択も考えるという付記がある。<o:p></o:p>
基礎が大事で、原理と活用の事例説明や目前の科学遊びではなく長い時間が実用までかかるしくみをしみじみ書いてある。確かに、物理など基礎があれば、大概ものは時間さえあれば証明や理解ができる。<o:p></o:p>
肯定のための否定の作業について、「他の可能性の否定」で正しいものを浮かび上げる作業としている。黒い紙に白絵の具で白い丸を描くのではなく、白い紙のうえに黒い色を塗って白い丸を浮かびあがらせるようなものだ。<o:p></o:p>
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楽しく読める。大人にもお奨め<o:p></o:p>
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