一部で有名な‘12年の著作。趣旨は欲しいものを買わず我慢して「貯金」すると「需要不足」になり、仕事が減って失業率が高まり、リストラとなり、経済はデフレとなる。
これは、日本が成熟社会であり、生産しても需要が伸びない(誰も今以上買わない)状況による。但し、発展途上国は生産により消費が伸びる(セイの法則)。
証明として、消費者物価(CPI)と名目GDPとも90年代から2000年代は貨幣供給が増大しても横ばいになった「流動性のわな」の成熟社会化を示す。70~80年代は貨幣供給と連動して成長があった発展の時期といえる。
さらに、2000年代の成熟化社会の始まった時期に、非正規雇用の解禁やリストラで正社員を含めた雇用人数とコスト削減が進んだ背景は実は時代に逆行していたという指摘だ。賛同する、低成長時代にマイクロな企業単位の効率向上策が、マクロとしての日本経済の成長低下とデフレを生んだという「合成の誤謬」だ。
消費か貯蓄かとの「時間選好」が、リストラの事例のトラウマなどでいざという時の備えとなりお金を使わない、またはお金を貯めるのが好きという選好性になり継続している:家計貯蓄(1,800兆円)。企業も銀行は不況時に金を剥ぎ取るというトラウマから内部留保を400兆円まで増やした。これに対し、政府は1,100兆円の負債がある。
つまり、GDP=Y =C+S+I+G+NX(消費+貯蓄+投資+政府+貿易収支)=生産=給与=消費( 3面等価https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E9%9D%A2%E7%AD%89%E4%BE%A1%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%89%87 )だが、継続した経済活動で、S(貯金)が多く、I(投資)に回されないと、次期のIが減り、その分段々とYが縮小するというもの。
なお、G(政府)については、G=G´(名目政府支出)-T(税金)であり、消費税増税(ΔT)としても、ΔG´(追加の政府支出)があり、マクロ的には変わらない。但し、使い道が、新規の雇用やサーヴィス創出の場合はΔG´によりYは拡大するというのも論旨だ
この雇用創出理論は、ロールズ( https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A3%E7%BE%A9%E8%AB%96_(%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%BA) )の第二原理にある「機会均等原理equality 」(及び、「格差原理」として、不利な立場を救うというのもあるが、これはアメリカでも議論となる)に通じる政策だ。
財政支出の具体事例として、未就業者に就業機会を与える、サーヴィス業のニーズを作る、楽しみを享受できる産業を育成するなどだ。
あわせて、高齢者の生活の質を向上させる消費への誘導(新規サーヴィスの創出)や、子育て支援は子供の生活の質を向上させるのが要点との指摘がある。なお、災害支援もロールズの平等原理と同じく、投資の効果として、雇用や新産業をもたらす効果がある。
賛同する理論だ。なお本書は下記著作に資料とされていた
https://blog.goo.ne.jp/n7yohshima/e/68d414424feba795bcbbca1f237ab099