伊藤之雄さんの緻密な資料の読込みと分析に感心する。
当方は早稲田の出身でありながら、大隈重信をよく知らなかった。わずかに、大隈を記念して熊のぬいぐるみが売られていること、アメフトがビッグベアーズとなっていることなどくらいだった。
本作は大著で厚い2分冊。明治を知る上でも役に立つ。知見は:
・佐賀の義祭同盟からの開国論、尊王思想
・藩閥(薩長)に対抗と協調
・経済運営の方針として生産・流通、事業の緩急軽重と官(民が取組めない事業)から民への委譲
・金融の信用重視と外債などの発行の先をみた運営
・司法省にも権力を伸ばす
・下野と東京専門学校(早稲田大学の前身 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E5%B0%82%E9%96%80%E5%AD%A6%E6%A0%A1_(%E6%97%A7%E5%88%B6))の創立、政治と法律重視、のちに理工学部も
・第一次大隈内閣(隈板内閣(わいはんないかく)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC1%E6%AC%A1%E5%A4%A7%E9%9A%88%E5%86%85%E9%96%A3)
・土地投機で財産を得る、地価の安い早稲田の開発利益享受
・輿論(理性)と世論(気分や感情)の区分
・ポピュリズム的手法(単純化、オーバーな表現、自力の創意工夫の喚起)で人気を得る→イギリスのグラッドストンの手法
・望みを捨てない→第二次大隈内閣( https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC2%E6%AC%A1%E5%A4%A7%E9%9A%88%E5%86%85%E9%96%A3 )と「諦めない」リーダーシップの発揮
・イメージ戦略
・記者の利用(メディアを押さえる)→今でも早稲田が多い
・いつまでも元気な「大平民」、125歳説
・平和を求め、科学・文化を理解→外国語はできなかったが
・文明論は「調和」を重んじ「公益」と「私益」の調和が発端、「官民」も調和
・欠点は「事に対して少しく真面目を欠く」、やや「誠意の乏しい」
感心した、納得した。おすすめだ
早稲田マンには必読だ。当方は、元気で、大ぼらとしつこさはなぜか受け継いでいる