一般的に、エクイティ・ファイナンス(株式)は、デット・ファイナンス(社債)より割高になるのは投資家が負うリスクからして当然だ。89年ごろ、MIT Sloanで学んでいた頃、近くにリクルート運営の日本人サロンがあり日経新聞があった。記事に「エクイティ・大ナンスは0コストの資金で、社債は利払いがあり不利だ」とあった。MIT Sloan に帰って学友に話すと「それが日本のQuality Paperか!無知が信じられない!」との当然の返答だった。
2021年12月14日 Deep Insight(オピニオンhttps://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD0838Z0Y1A201C2000000/ )に中山敦史( https://school.nikkei.co.jp/lecturer/article?tid=NBS62Z )が「80年代~高金利~日本企業は高い株価を背景にエクイティ・ファイナンスで調達した安い資金」とまたまた間違っている。大体、上智大外国語学部卒という経歴の社員にファイナンスを語らせるのは如何なものかと思う。
エクイティ・ファイナンスは株価上昇や配当込みのリターンであり一概に「高い株価」だと安いというのは間違いだ。しかもバブル前の80年代は円高対策のため低金利( https://www.iecon.jp/loan/loan_kinri.html )でバブルの要因になったのは周知の事実で、当時は「高金利」ではなかった。また、バブル(株価暴騰)が顕在化してから90年以降政策金利が上がったのは「プラザ合意以降の日本経済とバブル」として分析した書籍・論文も多い。お読みになっておられないのだろうか。
その後の記事にある「金融敗戦」とあるが、デフレ時代、日本での実質金利(Real Interest)の低さは、円調達での日本不動産投資の多さを見ても分かる。つまり、不動産利回りと調達金利の鞘取り(Spread)が大きいからだ。金融の常識を疑う。しかも、また聞きのような記事でもある。
ファイナンスも経済史も知らない人間に日経は記事を書かせるのかと呆れる。しかも、エクイティ・ファイナンスについて30年前の間違いを繰り返している。