虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

「魔の2歳児」落ち着かせる方法

2022-11-06 15:08:46 | 子育て しつけ

★かんしゃくを起こしてばかりの「魔の2歳児」  落ち着かせる方法

『ナチュラルな子ども時代』(産調出版)という本によると、2~3歳児というのは、爆発的に意志が発達する時期なのだそうです。

だから、かんしゃくをしょっちゅう起こすんですね。

自意識が発達するにつれ、ここにいる「自分」と自分に脅威を与える「他人」がいるという状態になります。

「自分の意志」と「他人の意志」の対立に気づきます。

子どもの「意志の力のエネルギー」はとても激しいものです。

どんなに辛抱強くて理解ある親もついていけない…それが「魔の2歳児」(3歳の間もしっかり続く子も…)です。

この困ったおちびさんに、どう付き合えばいいのでしょう?
どうすれば、かんしゃくはおさまるのでしょう?

まず親は、この困ったちゃんぶりが、いつまでも続かないことを知っておかなくてはなりません。

4~5歳になると、「意志」は「創造的な遊び」という新しい方法で表現されるそうです。

それとわがままに見えても、愛情とサポートをたくさん必要としている幼児であることを片時も忘れるわけにはいきません。

かんしゃくを起こりにくくしたり、しずめるには、子どものエネルギーの出口を見つけ、積極的にそこにエネルギーを向けるように仕向ける必要があります。

わが子が2~3歳のころ、私が見つけたエネルギーの出口は、

・水遊び

・ころころ転がる遊び

・ふざけっこ

・豆の移し変えや砂遊び

・適度な散歩

などです。

本で紹介されていたのは、長靴をはかせて、水たまりでばしゃばしゃさせる、草の上で転げまわらせるなどです。

それでも、2~3歳の子どもはかんしゃくを起こします。

うちの子も、食事が気に入らないことからはじまって、作り直させたあとで、ひきつけを起すほど泣いていたことがありました。

幼稚園に上がるまで、夏の間は、毎日2回水遊びをさせていました。

水遊びは危ないので、注意してそばについていなければなりませんが、適度な疲れが、2~3歳児の激しいかんしゃくをしずめるのには効果ありますよ~♪

想像力を刺激する遊びを教えていくと、かんしゃくばかりの時期を早めに卒業するようです。


2、3、4歳の子たちと工作を思いきり楽しむには?

2022-11-01 10:12:11 | 工作 ワークショップ

2~4歳の子との工作が広がらない、「ママ作って」で終わってしまう、導入の仕方がわからない、途中でうろうろして飽きてしまう、発展しない……という相談のコメントをいただくことがよくあります。

そこで、2~4歳の子らの工作する姿を紹介しながら、どんなふうに工作が始まるのか、どんな点に気をつけているのか、どのように発展していくのか書かせていただくことにしますね。

4歳1ヶ月のBくん、4歳4ヶ月のCくんの工作風景です。

『しんかんくん いえにくる』という絵本を読み聞かせている時のこと。

二人とも、しんかんくんの話を聞いていたせんろくんが、「そおれい」と空に向かって、ぐんぐん伸びていくシーンに目を輝かせていました。

そこで二人と一緒に、両手を上げてグーンと伸びをしながら、「そおれい!!」とせんろくんになりきって遊びました。

反り返った自分の身体の上にNゲージを走らせながら、BくんもCくんも大喜びで笑い転げていました。

「そうだ、工作でせんろくんを作ろうか?」とたずねると、「作る」「作る」と小躍りしています。

 

虹色教室の工作は、たいていこんなふうに始まります。

といっても絵本の読み聞かせが工作につながる……というわけではありません。

子どものおしゃべりを聞いているうちに始まることもあれば、ごっこ遊びの最中に必要ができて始まることもあれば、素材と触れ合ううちに、始まることもあります。

共通しているのは、いつも子どもの心が何かに強く惹きつけられた時や、新しい発見をした時、心が大きく揺さぶられた時などにそれをきっかけに物作りをしているということです。

つばめの巣を見つけたこと、空を飛行機が飛んでいくのを見たこと、道で水たまりを発見したこと、エレベーターに乗ったこと、大きな石の下にだんご虫が隠れていたこと、テレビのリモコンスイッチを押すと音量がどんどん大きくなったこと、猫を触ってみたこと、スーパーでバナナを自分で買い物かごに入れたこと、おばあちゃんのお見舞いに行ったこと、お寿司がこぼれたこと、駅で「黄色い線の内側まで下がってください~」とアナウンスが流れたこと……

そんな何気ない出来事や絵本で出会うひとつのシーンで2~4歳の子どもたちの胸はいっぱいになります。

そんなささやかな発見に、心と身体のすべてを使って味わってもまだ足りないほど夢中になります。

 

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では、工作の世界を存分に楽しめるように気をつけていることについて書かせていただきますね。

2~4歳の子と工作する時、その時期、その時期の子が熱中する手先を作業ができるようにしておくと、自分で作ろうとする意欲が身に着きます。

たくさんシールを貼りたい、なぐり書きがしたい、鉛筆の先などで穴を開けていく、ちょっと力のいる作業がしたい、ねんどをこねたい、ちぎりたい、切りたい、トンカチなどで叩きたい、絵具を使ってみたい、セロテープで何でも貼り合わせたい……など、それぞれの子が繰り返しやりたがる活動を普段のいたずらや遊びの中で見つけておくようにしています。

 

 

↑ 子どもたちは、連結作業が大好きです。新幹線を作成中。

例えば、4歳のBくんとCくんでしたら、工作用の木片と木片をぴったり合わせて貼り合わせていく作業やクーピーペンシル2本を同時に使って線路を描く作業などがちょっと難しいので集中できるし、やっているうちに夢中になれる活動でした。

工作のお手本は、「子どもにとって魅力のある作業の一部を見せる」くらいがいいと思います。

子どもが自分でやりたくなったら、自由にまかせます。

お手本通りにできなかったり、お手本とはまったく別のものをを作りだしても本人に任せるのがいいと思います。

お手本を示すのは、子どもに利用しやすい仕掛けや道具の扱い方のアイデアを見せたいからでもありますが、一番の目的は、工作したくなるワクワクする気持ちを引き出すことです。

子どもの作業に極力ダメ出ししないようにします。

子どもなりのアイデアが出た時は、それをいっしょに膨らませるようにしています。

工作に慣れてくると、子どもはお手本がなくても自分でどんどん作品を作っていくようになります。

 

たとえば、Bくんはグーンと伸びたせんろくんが向かう、かんたろうのお家だった紙コップを口に当てて、ウァァァンという音を出しながら、「見て見て!面白いでしょ。」と言いました。

新幹線だった木片も口に当てて、「先生、見て、こうやってプーッてするんだよ」と言いながらハモニカを吹く真似をしました。

そこで、BくんとCくんが自分たちで自由に作る工作に飽きてきたところで、紙コップで作る電車のアナウンスのマイクの作り方を教えることにしました。

紙コップの底に鉛筆で穴を開けて(はさみで穴を少し大きくします)、コップの底にアルミ箔をかぶせて、周囲をセロテープでとめます。

写真を撮りそびれたのですが、上の写真のように紙コップに口を当ててアナウンスをすると、声が不思議なマイクを使ったように変化します。

 

3歳のAくんの場合、本人がひらめいたアイデアは次のようなものです。

粘土を何色か重ねてストローで抜くと、さまざまな色の重なりがストローの中に溜まっていきます。

このきれいなねんどの層を作る遊びは、教室でとても人気があるのです。

お手本を見せると、Aくんは自分でねんどを重ねてストローで抜きました。

 

それから、ねんどを抜いたのとは反対のストローの口から息を吹き込んで、きれいなねんどの玉を飛ばしました。

Aくんのアイデアのねんど鉄砲です。

しばらくねんど鉄砲で遊んだAくん。

↑ 自分で考えたストロー鉄砲に大満足の3歳6ヶ月のAくん

この鉄砲の弾を踏んだらやっかいなことになりそうだったので、紙袋に鬼の絵を描いて口をくり抜いて、玉入れの的を作りました。


数の敏感期と文化の敏感期

2022-10-18 13:22:14 | 幼児教育の基本

幼児期には、子どもが内側からの欲求で、数が好きでたまらなくなる数の敏感期が存在します。

大人が子どもを信じて、ゆったりと無駄な時間…子どもがぼんやりと想像の世界や思考の世界で遊ぶことを許してあげていたら、子どもは自分で数のルールを発見していきます。

また、幼児期の後半には文化の敏感期というものがあり、宇宙のこと、自然のこと、世界のことなどさまざまな身の回りの不思議や知識に強く惹きつけられる時期が存在します。

この2つの時期はとても不思議です。

 



虹色教室には、写真のような科学の本や図鑑類や学習漫画をたくさん置いています。それが、小学生になってから虹色教室に通っている子は、そうした本を読もうとすることはまずありません。
とても成績が良い子でもそうなのです。
でも、幼児期のこうした敏感期を大切にしてあげてきた子たちは、小学生になっても知識の本を借りたがり、休憩時間には図鑑を読みふけります。

この敏感期、良い早期教育によっては大きく花開き、まずい早期教育によっては壊されてしまうように思います。

良い早期教育というのは、子どもの好奇心に沿う大人からの期待を押し付けない教育です。

まずい早期教育とは、なぞなぞの答えを教えていってたくさんなぞなぞが出来る子にしようともくろむような、大人の考えを子どもに教え込む教育です。
なぞなぞの答えをたくさん教えると、他の子よりたくさんなぞなぞができるようになるように思えますが、子どもは発想を転換させ、イメージをふくらませ、自力で解くといった体験を失います。
足し算も、暗記させて解かせるようなことを繰り返すと、数の敏感期に自分で算数のルールを発見する力を失います。

また、しばしば早期教育は文化の敏感期をなくさせてしまいます。
どうしてそんなことが起こるのでしょう?

お年寄りは人生経験が豊富でも、算数の文章題や科学の問題を「そんなのできないわ」と言いますね。
すでにある知識が、純粋に自分で考える意欲を奪ってしまうこともあるのです。
子どもの学習への興味が、褒められることや大人を喜ばせることに占領されるときも、文化の敏感期はなくなるようです。

子どもは、知らないから、不思議だから、自分の身の回りの謎に惹きつけられます

早い時期に、大人の学習法で、世界をしらけた面白みのないものにしてしまってはいけません。
子どもは、実際見たり味わったり触ったり聞いたりしたものを、もっと知りたい、よく考えたいという子ども独特の心のあり方を持っています。


デュプロブロックで0〜2歳児のおもちゃ作り

2022-10-13 13:33:52 | レゴ デュプロ ブロック

レゴ デュプロ ブロックを買ったものの、まだ自分で何か作るのは難しい‥という0~2歳児のためのおもちゃを考えてみました。

写真の左に積み上げているのは「いす」です。



0~2歳児は「いす」にお人形を座らせるのが大好きです。
4色のはっきりした色が、子どもの色についての理解力も高めてくれますよ。
 
 
レゴ デュプロ ブロックを写真のように組みます。
ビニール袋をブロックではさんだら「乾燥機」のできあがり♪

色紙のお洋服を入れて、フーっと息を吹き入れると、洋服がくるくる回ります。

どうすればよく回るか工夫してくださいね。

将来、才能が伸びていくかどうかは幼児期にわかる?

2022-09-29 13:53:39 | 幼児教育の基本

まだ発達途上の子どもの能力は、ゆっくり大きく育つ子、自分なりの順序で育つ子、優越機能と劣等機能の関係などから、目に見える部分で比べても、あまり意味がありません。

私は他の子よりできることが少ない子や物覚えの悪い子の方に、将来すごく伸びていくすばらしいものを感じるときがあるし、何でもこなせ、テストで測れるものでは良い成果をあげている子に先の伸びの不安を感じることもあります。

幼い頃、接していて、今大きく成長した子たちに会うことがあると、その予感があまりに的中していて驚くことがあります。

もちろん、物覚えが悪いほうがいい…できることが少ない方がいい…などという表面的な判断ではないのです。

幼児期に表に表れている能力より、その潜在意識のあり方や方向性が、その子を将来に導いていく部分が大きい気がしているのです。

さまざまなことが、周囲の子よりたくさんできても、ままごとでは「ペット役」や「赤ちゃん役」ばかりやりたがる子がいます。
また、自由な時間に、疲れたサラリーマンのような疲れを癒す活動にばかり向かう子がいます。
そうした子は、周囲の期待に必死で応えてはいるけれど、本人そのものは、常に退行的なムードにとらえられている印象があります。
自分でより大きな夢を見つけたり、目の前の課題をできそうもないことでも「やりたい!やりたい!」とごねたりはしないです。
そうした子は、小学校にあがったとき、最初は成績が良いけれど、だんだん下がってきて、親御さんは「知っていることばかりで、勉強が面白くないようです」とおっしゃるのですが、実際には、無意識の世界の「退行したい」というムードに流されている様子です。

一方、できることは少ないし、手先も不器用だけど、自分は何でもできるし、何でもやってみたい!という幼児特有の自分を大きく大きく成長させようとする意欲の塊のような子がいます。
自分の作品はぐちゃぐちゃでも自信満々。
他の子は字を書けていて、自分は書けてなくても、その違いには気づかず、自分も「書く!書く!」とさわいでぐちゃぐちゃ書きをした後で、自分の作品に惚れ惚れしている子。
そうした子は、「できるようになりたい!」という前向きな意志を成長とともに大きく膨らましている場合が多いです。

5歳くらいになると大人が褒めてくれるからとか、やりなさいと言われるから…となどとは関係なく自分の知的好奇心からいろいろ知りたがり、頭を使いたい要求からゲームや頭脳パズルを欲しはじめます。
虹色教室でも、ゲームや学習をやめたがらず、半べそをかく子はたくさんいます。
4歳くらいまでの大人の評価を下さない態度と自己肯定感を育てるあるがままを認めていく子育てが、5歳以降の自分で成長しようとする力の大きさを決めていくようです。

私は、子どもが「何ができるか」より、「何をやりたがっているか」にだけ大きな関心を向けています。
ただそうして子どもが「やりたい」気持ちさえあればOK!で育てている子たちは、幼稚園で知能指数を測ってくれば、IQ150以上あったりするので、大人の心のあり方、まなざしのあり方は、子どもの知能にも大きな影響を与えているように思います。

意欲があってやりたくてする子は、親が子どものこなすワークのページ数を決めていてさせている子と潜在意識のレベルでは目指しているものがぜんぜんちがっていて、1年生くらいでも「●●の学者になりたい!」といった大きな夢を自分の心の中心にすえていたりします。
そうした子は、小学校受験でトップの成績を収めている子より将来有望な気もします。

幼児を育てる上での大人の仕事は、子どものあるがままを自分の潜在意識の部分からも肯定することにあるように思います。